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小林信彦 『大統領の密使 (角川文庫)』角川書店 1974年10月刊  『大統領の晩餐 (角川文庫)』角川書店 1974年10月刊  各務三郎「ミステリがオシャレだったころ」『はじめて話すけど… 小森収インタビュー集』フリースタイル 2002年7月刊

小林信彦 『大統領の密使 (角川文庫)』角川書店 1974年10月刊
単行本 早川書房 1971年7月刊
『ハヤカワ・ミステリ・マガジン』1970年10月号〜1971年4月号連載

「天を駆けろ 地にもぐれ 狙った獲物にまっしぐら
奇想天外 痛快無比 抱腹絶倒 珍無類 奇妙 珍妙 奇天連教
世界制覇は もうすぐだ
すっこけ ずっこけ がんばろう
ビバ ビバ! オヨヨ! ビバ! オヨヨ!」

奥付ぺージにあるメモによれば、
1978年2月25日、都下国立市(くにたちし)の古本屋谷川書店で購入。

沢野ひとし(1944.12.18- )
「国立市・谷川(やがわ)書店の親父は、その時なぜ首をしめられていたのか」
『本の雑誌』17号 なんだ文句あっか陽春号 1980年
『古本の雑誌 別冊本の雑誌 16』本の雑誌社 2012年10月刊 p.65-66
https://www.facebook.com/tetsujiro.yamamoto/posts/6622249564516293
https://www.amazon.co.jp/dp/4860112342

1972年6月、都立北多摩高校三年生の初夏から、私が自転車で通っていた国立市旭通りのジャズ喫茶「喇叭」へ行く途中の「谷川書店」。
十歳年上なサーノさんは何年頃からの常連だったんだろう?

谷川さんは鉛筆書きの売値を消しゴムで消してから渡してくれる店でした。そんな古本屋さんは、他には無かったなぁ。
なので、いくらで買ったのか不明ですけど、
それなりに使用感のあった文庫本ですから、
200円ぐらいだったでしょう。
300円以上だったら、当時の私には、高いなぁ~。
渋谷・東急名画座が300円の時代でしたから。

聖心女子大学図書館に就職する直前に購入したのか、
もっと前に読んでいたような気がするのだけれど。

小林信彦 『大統領の密使』は、子供向けユーモア小説として始まった
『オヨヨ』シリーズ
『オヨヨ島の冒険』朝日ソノラマ 1970.5
『怪人オヨヨ大統領』朝日ソノラマ 1970.12
『オヨヨ城の秘密』晶文社  1974..
の大人向け第一作。
実に見事な本格推理小説でもあります。
『大統領の晩餐』に続きます。乞うご期待!

小林信彦 『大統領の晩餐 (角川文庫)』角川書店 1974年10月刊
単行本 早川書房 1972年3月刊刊
『ハヤカワ・ミステリ・マガジン』1971年6月号~12月号連載

「さってもならんだ菜単に
舌鼓うつ武勇の騎士よ
清湯燕窩 蟹粉魚翅 紅焼海参 八宝果飯
おまけに ダイナマイトが150トン
いざ来い オヨヨ大統領
ビバ ビバ オヨヨ! ビバ オヨヨ!」

奥付ぺージにあるメモによれば、
1978年4月12日、広尾商店街の古本屋沢田書店で購入。
聖心女子大学図書館に就職した直後だなぁ。
学生の頃に読んでいたような気がするのだけれど。

「2DKの団地に住む旦那刑事は、ひとり台所に閉じこもって、無念無想、料理に専念しているのであった。
これこそ、彼が孤独になれる唯一のときであり、固有時との対話をおこなえる空間を所有し得るところのものであった。彼が<突出>したこのキッチンこそ、彼の怨念の<解放区>であった。
「どこへ行ったのか、オヨヨのやつ」
彼は中村屋のボルシチに、タバスコ・ソースを落としながら呟いた。彼の手にかかると、罐詰のボルシチは、必ず、カレーになった。」
p.231「第十五章 Red Roses for A Blue Lady」

『大統領の晩餐』は、『大統領の密使』の次の、
大人向け「オヨヨ大統領」シリーズ第二作。
次作『合言葉はオヨヨ』に続きます。
乞うご期待!
『合言葉はオヨヨ』朝日新聞社 1973.2 『週刊朝日』連載
『秘密指令オヨヨ』朝日新聞社 1973.6 『週刊朝日』連載
『オヨヨ大統領の悪夢』角川書店 1975.8 『野生時代』連載

小森収『はじめて話すけど… 小森収インタビュー集』
和田誠装丁 フリースタイル 2002年7月刊
http://www.amazon.co.jp/dp/4939138089 http://d.hatena.ne.jp/pelebo/20111003/1317645574

1958年生まれのフリー編集者、演劇評論家、書評家・文芸評論家、小説家による2001年に行われた七篇の対談集。

1973-77年に大学生だった私(1955年生まれ)には、昔観た映画や読んだ本の話題が満載で何とも面白い本でした。

各務三郎[1936- ] ミステリがオシャレだったころ
皆川博子[1929- ] 皆川博子になるための136冊
三谷幸喜[1961- ] 理想の作戦ものを求めて
法月綸太郎[1964- ] 本格推理作家はアントニー・バークリーに何を読みとるのか?
石上三登志[1939-2012 ] 札つきファンのミステリの接し方
松岡和子[1942- ] 戯曲を翻訳する幸せ
和田誠[1936- ] バタくささのルーツを探る

「小森 私が今回調べて改めてびっくりしたのは、[『ハヤカワミステリマガジン』への]小林信彦さんの起用についてです。

もちろんパロディの「中年探偵団」(1969年9月号)があって、すぐに「深夜の饗宴」(1969年10月号〜1970年9月号)が始まるんですが、一年くらいで、またすぐに『大統領の密使』(1970年10月号〜1971年4月号)が始まる。切れ目がないんですね。
[1972年1月号まで]ほぼ毎月、なにかの連載が続いてるんです。

各務 そうかもしれない。あの人はユーモアというものを非常に高く買ってるわけでしょう。俺も結城昌治は『白昼堂々』で直木賞を取るべきだったと思ってたくらいだから、小林さんはユーモアのあるもので直木賞を取れる、取るべきだと思ってた。

小森 ということは、あいだに「深夜の饗宴」はありましたが、『大統領の密使』みたいなものは、最初から狙っていたということですか。

各務 そういう小説で、直木賞を取れるはずだと。取れば、日本の小説も変わるんじゃないかぐらいのことは、若気の至りで、考えてはいた。

『大統領の密使』なんて、いま読んでも、いい作品だと思うんだけどね。かなりユニークなものだけど、今度は、それを評価する批評家がいない。

小森 オヨヨ大統領シリーズは、最初子ども向けで二冊出てますね。

各務 それを大人向けでやりたいという話が、小林さんから来てると思う。こっちの発想じゃない。ああいうものを載っける媒体はないわけ。そうすると、『ミステリマガジン』なんかは一番都合がいい。

小森 それを受ける各務さんの側の思惑というのは、なにかあったんでしょうか。

各務 どこかで料理をやろう、と

小森 『大統領の晩餐』は最初から計画にあった?

各務 それは、もう(笑)。料理が入ってくると面白くなるはずだし、元々、料理のことを書いた本は好きだったんだ。そういうのを小説で書いたのは、あまりないしね。」p.24

各務三郎・太田博(1936.10.20-) 早川書房『ミステリ・マガジン』元編集長
https://ja.wikipedia.org/wiki/各務三郎

小林信彦(1932.12.2- )
読書メーター 小林信彦の本棚(登録冊数134冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091202

小林信彦『大統領の密使/大統領の晩餐 小林信彦コレクション[3]』
江口寿史 装画 フリースタイル 2019年7月刊 472ページ 1,944円
https://www.amazon.co.jp/dp/4939138852
未購入



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