スポーツ人材への投資

新型コロナウィルスの影響でありとあらゆる主要スポーツイベントが中止や延期、無観客試合となってます。
政府からの突然の全国休校要請。多くの議論があるけど、今はとにかく国民一丸となって取り組むしかないかと。あとは歴史が評価してくれる。現時点においては政府の評価を下すことは無意味。
そんな中での大迫選手の快走は、国民に力強い前向きマインドを与えてくれたような気がしました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この一連の事態を通じて、あらためてスポーツの価値を感じずにはいられません。東京や名古屋などのマラソンを楽しみにしていた市民ランナー達。JやB他プロスポーツが開催されない物足りなさ。画面を通して感じられるプロ野球無観客試合の孤独感。いかにスポーツが人々に不可欠な存在になっているものか。

スポーツの価値は高い。でも「スポーツにかかわる人々へ投資が少ない」というのが自分が抱えている問題意識です・・。

高い報酬を得ているトップアスリートは多い。しかしその裏方の、イベントを運営する社員・スタッフへの評価は相変わらず高いとはいえない。

スポーツ業界の給料は年齢×10万円といわれている(葦原一正著「稼ぐがすべて」)ので、50歳の平均年収は約500万円。収入の観点からすると全く魅力がない業界。「やりがいさえあれば」という純粋さだけではどこかで限界が来る。

以前、川崎フロンターレが営業の契約社員を月給15~20万円で募集したことがあり、その報酬の低さが物議を醸したことがあった。

https://www.frontale.co.jp/info/2016/0516_7.html

リバプール大学というフットボールビジネスの世界最高峰の大学を卒業したことがある人と話をしたことがあるが、その方でさえも

「同じことやるならスポーツ業界以外の方が稼げる」

と。

僕がスポーツマネジメントを勉強したいと思った時にヨハンクライフ大学のインターネット留学を選択したのは、自分のビジネスキャリアを中断してまで現地留学しても、それに見合う収入を得ることがスポーツ業界では期待できない、と考えたから。

加えてクラブスタッフの労働環境は厳しい。人の流動化が激しい業界ともいわれている。

産業・企業を支えるのは人材で、それが全てといって過言ではない。働く人にとって魅力ある業界でないと、未来に繋がらない。単純に考えるとスポーツ業界の未来は厳しい。スポーツの活性化が人々の幸せにつながるのに、これではまずい。

それではなぜ年収が低いのか。それは日本スポーツのエンターテイメント性が低いことが大きい。

試合は単に「人々に見せればいい」と解釈され、特別な創意工夫なく事務的に運営をこなせばいいと認識されているのでは?プロ野球やJリーグでは親会社からの出向組も多く、スポーツビジネス専門家でなくても運営できると「勘違い」されている部分が多々あるのでは?その結果、人材投資への意欲が非常に低くなっている。

応募する側に目を向けるとすると「スポーツが好きだから」「収入は二の次」という理由で単純にスポーツ業界を希望する若者は非常に多い。
しかし実際の業務はマーケティングや総務、経理など、スポーツと直結しない業務も相当多い。単純にスポーツが好きというだけでこの業界をこなせるのか?例えば体育大学出身でスポーツの勉強しかしてこなかった学生がクラブスタッフとして戦力になるものなのか・・。

クラブ運営側からすると親会社からの出向や縁故関係で(優秀かどうかはさておき)人は確保できている中で、「好待遇でなくても人は確保できる」と甘えてしまっている面は否めない。こうして需給バランスにより、待遇面の改善が図られることなく現在に至ってしまっていると考えられる。

結局はGAFAが最たるものだが、社員1人あたりの生産性を上げないと本人達にとっても産業にとっても、そして社会にとってもプラスに結びつかない。
スポーツ業界が社会から認められる(お金を投資してもらう)ためには、組織も人も、未来への投資意欲が必要となる。

現在のスポーツ産業が約5兆円といわれているが、アメリカは60兆円といわれている。数字が全てではないが、この差はあまりに大きい・・。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?