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【SUGA FUTSAL ACADEMY】第1回「ジャイアントキリングを起こすための思考・戦略・戦術」

フウガドールすみだのクラブ哲学として、今や日本フットサル界ではよく知られた言葉となった「キリカエ0秒」。この言葉が生まれるきっかけとなったのは、2009年の全日本選手権だった。

グループリーグでFリーグ王者・名古屋オーシャンズとの対戦が決まったフウガ目黒。当時はまだ関東フットサルリーグ所属で、完全プロチームの名古屋とは圧倒的な戦力差があった。週3回という少ない練習量の中で勝利の可能性を少しでも高めるにはどうすれば良いか――。

須賀監督が導き出した答えは、「一つの戦術だけを集中的に強化する」ことだった。やらなければいけないことはいくらでもあったが、あれもこれも手をつけてしまうと効果が薄れてしまう可能性があったからだ。

当時の名古屋はスーパーなタレントを数多く擁していたものの、現在の名古屋ほど切り替えの早い勤勉なスタイルではなかった。須賀監督はそこに狙いを定めた。

「当時の名古屋の唯一のウィークポイントは、攻撃から守備への切り替えの遅さでした。逆に自分たちのストロングポイントは、そこで最後まで走り切れる部分だったので、名古屋に本気で勝つならそこを突くしかないと。そこをチームに徹底的に落とし込むべく、全体の8割くらいの時間をひたすらカウンターの練習に充てました」(須賀)

ボールを奪ったらいかにして最短でゴールを目指すのか、誰がどのようにボールホルダーを追い越して行くのかなど、カウンターの決まり事を徹底的にチームに刷り込んだ。結果的にグループリーグでは名古屋に敗れたものの、その後決勝で再戦し、日本フットサル史に残るジャイアントキリングを果たすこととなったのだ。

当時はまだ「キリカエ0秒」というワードこそ無かったものの、“0秒で切り替えよう”という意識がチームに浸透。後にクラブ哲学ともなる言葉が誕生するきっかけとなったのだった。

決勝戦の実際の映像が流れるなか、当時名古屋のキャプテンとして試合に出場していた北原氏が「このシーン、守り方を間違えてるんですよ、僕」と指摘した。前半11分、カウンターからの荒牧太郎のゴールでフウガが1-1の同点に追い付いたシーンだ。

「この荒牧のゴールは、僕のシュートがブロックで跳ね返されたところから始まっています。後ろに残っていたのはシジネイ1人で、フウガはボールを拾った荒牧とブロックした佐藤亮が並走。2対1の状況になっていました。本来であれば僕はボールホルダーの荒牧ではなく、逆サイドの佐藤を追わなければならなかったはず。だけどこの映像を見ても分かるように、僕はボールを持った荒牧の方を追ってしまったんです」(北原)

確かに映像を見返すと、北原は荒牧を追走しながら後方に残っていたシジネイに「佐藤をマークしろ!」と指を差して指示しているのが分かる。結果的に北原は荒牧に追い付くことができず、シジネイも中途半端なポジショニングになり、荒牧にフリーでシュートを打たれてしまった。痛恨のミスだった。

「僕はこういう判断ミスに関しては少ない方だったので、このシーンを見るだけでも、この試合のフウガの鋭いカウンターに対して僕自身いかに冷静さを欠いていたかが分かると思います」(北原)

まさにあの日、実際にピッチで対峙した北原氏の言葉だけに、説得力抜群だ。このように須賀監督のメソッドについて北原氏の視点からの解説が入ることも、この講義の大きな魅力の一つだろう。様々な角度からの解説や投げ掛けがあることで、講義のクオリティはより高いものとなる。次回以降もテンポの良いトークセッションを繰り広げてくれるはずだ。

第2回目以降は、より具体的な戦術などに関する講義に入っていく。須賀監督が実際にどのような戦術を用いているのか、またそれをいかにしてチームに落とし込んでいるのかなど、目から鱗の講義となることだろう。

フットサル指導者の方はもちろん、サッカーの指導者の方にとっても間違いなく学び多き内容になるはずだ。ご自身のフットボール観を広げるきっかけにしてみてはいかがだろうか。

文:福田悠

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