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【KOGURE FUTSAL ACADEMY】第2回レポート「攻撃の局面における認知・決断・実行」

この日の講義は、平たく言えば「木暮監督が目指す攻撃(基礎編)」といった内容だった。FP4人が連動するシステムの話に入る前段階の、1~3人での攻撃方法、及びその考え方が映像を交えながらレクチャーされた。

各局面で選手たちにどんな判断を求めるのか。また、その判断基準はどんな部分なのか、そしてそれはなぜなのかといった具合に、「木暮監督のチームは攻撃の際にこういう考えでプレーしている」という話が余すことなく披露された。

講義終盤は3人でのコンビネーションの話に入り、「カットの動き」(3人が1列に並んだ状態から真ん中の選手がそのラインを一歩外れて前方へ出てパスコースを増やす動き)のような戦術的な動きについての解説もなされた。だが、そんなやや上級編ともいえる戦術理論が学べるのと同時に、一般の指導者がすぐにでも参考にできる基礎的な理論も随所に散りばめられているのが、木暮氏の講義の特徴だ。その一つに、「認知・決断・実行」についての解説があった。

プレー中、選手は周りの状況をより正確に素早く「認知」し、その状況の中でどんなプレーをするのか(パスなのかドリブルなのかなど)を「決断」し、実際に「実行」に移す。試合中は常に「認知・決断・実行」の連続であり、すべてのプレーがこの流れで行われる。この考え方は競技レベルではかなり一般的なものとなっているが、少年サッカー、少年フットサルチームではまだまだ完全には浸透しきっていないのが現状だ。木暮氏がこんな例え話をした。

「あるチームに、ドリブルが得意な選手がいたとします。スピードがあって、両足でボールを扱える。フェイントも良い。ボールを運ぶ技術は高いのに、試合になったらすぐに取られてしまう。そこで「何故取られるのか?」という原因を指導者がしっかり見抜いてあげないといけません。例えばですけど、対面のDFの後ろにカバーリングが来ているのに無理に突っ込んで取られているのだとしたらその状況を「認知」できるように導いてあげる。「2人目が来ているのなら他が空くはずだよね?」とアプローチしてあげるとか、ですね。指導者はエラーが起こったときにその原因をしっかりと見極めて、的確な分析と指導ができないといけません」

この「認知・決断・実行のうちのどこでエラーがあったのか」をしっかりと見抜くのは、良い指導をする上でとても重要なことだ。指導者に分析力や洞察力が無ければ、印象論だけでの根拠の無いフィードバックになってしまい、結局選手自身は何を直せば良いのか分からないまま漠然と練習を続けることになってしまう。だが、日本の指導の現場では「認知」と「決断」の区別が曖昧で、未だに実行(特にボールタッチ)の部分にばかりフォーカスされてしまっているケースが多い。筆者自身もこれまで育成年代の現場を取材した際に幾度と無くこうした状況を目の当たりにしてきた。こういった“初歩的だけど重要”な部分への気付きが多々得られるのも、「KOGURE FUSAL ACADEMY」の面白さである。

何度か述べてきたように、木暮氏の理論は体系的で、理解するには全体感を掴みながら要所を押さえていくのが大事だ。「それだと途中から参加しても意味がないのではないか」「1、2回目に参加していないから付いていけないのではないか」と思う方も当然いるだろう。だが、心配は要らない。オンラインコースなら第1、2回も振り返って閲覧していただくことができる。従って、2回目までをご覧いただいた上で3、4回目の講義にご参加いただけるのだ。

これほど有益でチーム強化のメソッドが詰まった講習会は他にない。第1回のレポートにも記したように、フットサルを学ぶ場としては間違いなく今日本で最もハイレベルな場だ。木暮賢一郎のメソッドに、1人でも多くの方に触れていただきたいと思う。

文:福田悠

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