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【SUGA FUTSAL ACADEMY】第3回「カウンターは“速くプレーすること”が正解とは限らない」

「カウンター攻撃からゴールを奪うにはどうすれば良い?」と漠然と聞かれたら、あなたならどう答えるだろうか。筆者はおそらく、「ボールを奪ったらできるだけ素早く攻める」と答えるだろう。相手DFが帰陣する前にシュートまで持ち込んだ方が、得点になる確率が高くなるからだ。

実際、キリカエ0秒というクラブ哲学が浸透しているすみだは、カウンターに転じる際の動き出しが非常に早く、そこから多くの得点を上げている。マイボールになった瞬間に走り出す……のではなく、次の展開を読んだ上でマイボールになる前からスタートを切れる選手が多いのだ。この数歩の差が、相手ゴール前で勝負を分ける。先ほど記した「ボールを奪ったらできるだけ素早く攻める」の最上級形である。

しかし、ここで一つ誤解のないように指摘しておかなければならないことがある。それは、すみだの高速カウンターは“キリカエ0秒だけで成り立っているものではない”ということだ。

確かに、キリカエ0秒はすみだの大きな武器だ。だが、その言葉があまりにも広く知れ渡ったがゆえに、しばしばその部分ばかりがクローズアップされてしまいがちだ。切り替えの速さ“だけ”が特徴のように思われがちだが、一見単なるスピード勝負にも見えるカウンターの中にも、実は状況に応じた様々な約束事が存在する。
チームとしてどうカウンターを仕掛けるかというガイドラインがしっかりと共有されているからこそ、プレー中の選手の選択肢が整理され、より連動性の高い鋭いカウンターが発動できるようになるのだ。

講義中に紹介された様々な理論のなかでも、筆者個人的に最もカウンターの奥深さを感じさせられたのが「テンポライズの重要性」だ。カウンターは前述の通り、基本的には縦に素早くボールを運ぶ。だが、須賀監督いわく「速くプレーすることが正解とは限らない」という。

「例えば、カウンターから相手陣内で2対2の局面を作ったとします。相手DFの3人目が戻ってくる前に、早めにシュートを打ちたくなる場面です。だけどもし味方の3人目が相手より先に上がって来れそうなのなら、あえてタメを作ることで3対2の数的優位が作れますよね。カウンターは基本的には速く攻めるわけですけど、状況に応じてゆっくりプレーすることも時には有効なんです」(須賀雄大監督)

カウンター=縦に速いというのは基本としてありつつも、そうした固定概念だけにとらわれない柔軟な理論を吸収できるのもこの講義の魅力の一つだ。

次回、第4回目のテーマは「守備」。ここまでの3回の講義は攻撃に関する話が多かっただけに、真逆のテーマの下どんな理論が、そして須賀語録が飛び出すのか。次回も一秒たりとも目が離せない講義になりそうだ。

文:福田悠

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