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【KOGURE FUTSAL ACADEMY】第3回レポート「シュライカー大阪が行なっていたオフェンス戦術」

16-17シーズンのFリーグで、33試合186得点という規格外の攻撃力を誇るチームを完成させ、シュライカー大阪を初のリーグチャンピオンに導いた木暮監督。戦術的な引き出しを無数に持っているのは疑いようもないが、そんな木暮監督がチームの攻撃を作る上でまず見るポイントは「チーム内にどんなタレントを持った選手がいるか」だという。この「タレント」というのは、何もリカルジーニョのような類まれな才能を持ったクラッキだけを指すのではなく、平たく言えば各選手の「個性」を指す言葉だ。

当然ながら、チームに15人の選手がいたとしたらその個性は15通りだ。攻撃的な選手もいれば守備的な選手もいて、技術やフィジカルだけでなく、性格によってもプレーは変わる。似たスタイルの選手はいたとしても、全ての局面で全く同じプレーをするということは有り得ない。監督はそんな十人十色の選手たちを上手く組み合わせながら、集団としての最大の力を引き出さなければならない。

攻撃的なフットサルを志向する木暮監督であっても、自分が理想とするやり方に選手をはめ込んでいくことはしないという。あくまでもまず選手のタレント(個性)があって、それをよく観察した上で、自らの引き出しの中からそのチームに最も合いそうなプレーモデルを探っていく。

「例えばAというチームを率いてから別のBというチームに移ったときに、Aで上手くいっていたやり方が必ずしもBでも通用するとは限りません。なぜならそこに属しているタレントが違うからです。以前のチームでピヴォを使った攻撃を構築していたとしても、次のチームにピヴォがいなければその攻撃は作れませんよね。ピヴォを置かないシステムを選ぶか、あるいはピヴォの適性がありそうな選手を見つけて育てていくなりしないといけない。単に自分の好みでプレーモデルを構築するのではなく、あくまでも“チーム内にどんなタレントがいるのか”がベースとなります」

各選手の特徴をよく見極めた上で、数ある引き出しの中からそのチームに最も合うプレーモデルを導き出し、的確に選手たちに落とし込んでいく。16-17シーズンの大阪の圧倒的な攻撃力も、単に選手個々の高い能力だけで成り立っていたのではない。チーム作りの段階からこうした的確な手順が踏まれていたからこそ、選手たちが元々持っていたポテンシャルが最大限引き出されたのだろう。

講義後半では大阪時代のトレーニング映像などを交えながら、当時のチームのオフェンス戦術が余すところなく解説された。Fリーグ発足以来続いていた名古屋の連覇を阻止しリーグ優勝を果たしたチームは、いかにして相手の守備バランスを破壊していたのか。そのメカニズムについて、映像とともに木暮氏自ら詳細に解説し尽くした。木暮氏の攻撃的フットサルの真髄を全身で浴びることができる、何とも贅沢な内容となった。

流れるようなボール回しや崩しを見ながら、その一つ一つをその場で瞬時に読み解いていくのは非常に難解だが、だからこそオンラインで何度でも映像を見直して復習できるのは大きなメリットだ。木暮氏の解説を聞き、時には映像を止め、内容を整理しながら進むことでその理論をより深く理解することができるはずだ。

筆者自身も現地で講義を聞いた後、自宅で再度その映像を見返すことで理解がより深まると実感している。毎回の内容の濃さ、深さは相当なものだ。あなたがもしフットサルを、あるいはフットサルに限らずフットボールをもっと知りたいと思うのなら、全6回のこの講義は間違いなく大きな財産になると言える。

文:福田悠

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