就活生は人事部と恋愛してはダメです!...よね? #6 リメイク版
(21/10/2 公開作品)
――6月
この頃になると一次選考まででお役御免の自分は少しずつ仕事の内容が楽になっていった
そして、加藤さんとは先月の終わり頃から顔を合わせても笑顔であることが多かったのでとても安心した
そんな中、とある日の夜にアパートに帰っていると…
加)疲れた~…
○)あれ?加藤さん?
加)あ!○○さん!お疲れ様です!
帰宅途中の加藤さんに出くわした
○)うん、お疲れ様です、バイト終わりですか?
加)いえ、今日は研究室に…
○)そうなんですね、大変ですね
加)○○さんのような仕事に比べたら楽ですよ~
○)へぇ~、そういえばウチの面接明日でしたよね
加)ご存知なんですか?
○)もちろんですよ、人事部なので、頑張ってくださいね
加)はい!頑張ります!もの凄く対策しましたし!
○)そうなんですか?
加)はい!いろいろ面接も経験して、よく聞かれるような質問内容もしっかり答えられるように練習しましたし!
○)なるほど、ウチは1次でほとんど決まりますからね
加)ということはやっぱり完璧に受け答えしないといけないんでしょうね
○)…どうだろうね
加)だって○○さんの会社、応募人数多いでしょうし、その中で一気に削るとなると失敗できないですよ~
○)まぁそう思うよな
加)それでも絶対受かってみせますよ~
○)じゃあ今日はゆっくり寝て明日に備えてくださいね?
加)分かりました!○○さん面接官ですか?
○)明日にならないと分からないんですよね~
加)本当ですか~?
○)ここで嘘つく理由がないじゃないですか…
加)そうですね…
○)まぁどちらにしても頑張ってくださいね
加)ありがとうございます!ではまたいつか!
○)そうですね、では
そして翌日…
○)…っふぅ
上司)お疲れ
○)あ、お疲れ様です、後ウチのグループ何人でしたっけ?
上司)えっと、4人だね
○)ということは後2時間くらいか…
上司)だな、よし、次の人だな、えっと…加藤さん…かな
○)え…?加藤さん?
顔写真を見るとはっきりと加藤さんだった
○)マジか…正直やりたくなかったな…
上司)よし、時間だから入ってもらうか
○)そうですね
事務の方に入ってもらうように指図をし、自分も椅子に浅く腰掛ける
コンコンコン
○)はい、お入りください
加)失礼します!ガチャッ…
ドアが開かれると、そこにはスーツをビシッと着こなした加藤さんが立っていた
椅子までの道中で俺のことを確認したのだが、こういう場面も予想していたのか動じる様子がなく、内心良かったと思った
椅子に掛けてもらって加藤さんにとって勝負の時間が始まった
上司)では自己紹介をよろしくお願いします
加)はい!○○大学大学院△△学科の加藤史帆と申します!本日は御社で働き貢献したいことを大学での経験とそこから学んだことを通じて伝えていければと思います!よろしくお願いします!
上司)ありがとうございます、それではさっそく学生時代に…
ここからは様々な質問を加藤さんに投げかけた
ガクチカに始まりそこから学んだこと、自己PRと長所、志望動機と企業について…
もちろんそれぞれ深掘りしていくため、準備が出来ていない人は何度も詰まるのがいつものことである
ただ加藤さんは詰まることなくすらすらと答えていた
そして面接予定時間が迫ってきたころ…
上司)ほぉ、なるほどね
○)…
上司)では他の面接官の方々、何か最後質問ありますでしょうか
加)…
○)…ではいいですか?
上司)おう、どうぞ
○)…先ほど弊社が第一志望だとおっしゃっていただいたのですが…
加)はい!
○)それは非常にありがたいことですし、他社さんとの比較を交えても教えていただいたんですが…
加)はい
○)その他社さんっていうのは一部ですし、首都圏内であれば同じような企業はもっと他にありますし、何を基準にするかにもよりますが、はっきり言って弊社よりも優れた企業に至っては調べれば全然存在します
加)…
○)話を聞く限り、そのような企業を全部調べたわけじゃないんですよね?
加)まぁ、そうですね…
○)その中で絶対に弊社じゃなきゃいけないという確実な理由はもうないですか?
加)あ、えっと…
○)…
加)そちらに関しては――
突然の○○からの厳しい質問に戸惑いが…さらに答えてもこれまで通り深掘りしていくのだが、予想していない部分の質問だったので今まで通りにはいかない…
そのため今までに比べて一番詰まり、必死に伝えようとするので精いっぱいだった
加)…なので、御社に入社したいという想いが強いです
上司)…ふむ…
○)...分かりました、ありがとうございます
上司)それでは、本日の面接は終了いたします、結果は後日連絡いたしますので
加)はい、分かりました…失礼します
ガチャッ…
○)…
面接を終え、会社で仕事をし、帰宅、そしてゆっくりしていると…
ピンポーン
○)ん…?誰だろ
そう思いつつ覗き穴を覗くと…
…誰もいない…ので開けると
○)…あ、荷物来るの今日だったっけ
置き配で荷物を頼んでいたんだった…ということで荷物を持ち顔をあげると
○・加)あ…
ちょうど帰宅してきて、目を真っ赤にした加藤さんと出くわした
加)…最低ですね…私は本当に本気だったのに
○)…
加)あんな質問して答えられなくして…結局初めから○○さんは私の事落とすつもりだったんですね…
○)…
加)…もう関わらないでくださいね
ガチャン
○)…
to be continue…