アイドルの初恋って実らないものですか? #9 リメイク版
(21/10/10 公開作品)
○)さ、左東…
左)あ~あ、バレちまったか、○○のいない時にうまくやってたと思ったんだけどな~
○)お前…何で…
左)何でってか?むしゃくしゃしたからだよ
○)…そんな理由で菜緒ちゃんを精神的に追い詰めてたのか…?
左)そんなこと?何も知らねぇくせに…
○)…何かあったのかよ
左)…数週間前、練習場にとある高校がインハイ前の練習にやって来てな、その中の高1の子と手合わせをしたんだよ
○)おぅ…
左)10歳近く年下で階級が一つ下の子だし、俺がずっと日本一っていうのもあって驕ってたわけではなかったが、軽い気持ちで挑んだ
○)…
左)…コテンパンにやられたよ
○)…は?お前がか?
左)そうさ、数回やって後半の方に全力でやったんだが、だめだったな
○)そんなこと…
左)それに、そいつ競技初めて2か月だとよ、聞いた瞬間もうやる気が全く起きなくなったな
○)でも、その子は一つ階級下なんだろ?
左)今高1だから将来的にはもう一つ階級上げんだとよ
○)だとしてもそんなすぐに諦めるとか…
左)それほどの力の差を感じたんだよ、もう俺がどうこうしても無理だって程の差を
○)…
左)で、そんなショック受けた帰り道にお前がその子ともう一人可愛い子と歩いてるのが見えてよ、俺がつらい思いをしてるのにてめぇは…
○)…
左)ま、これがむしゃくしゃした理由だよ、後はその原因であるその子に危害を加えようって決めた、それだけ
菜)…最低やな
左)…あ?
○)おい、やめろ
菜)○○さんはあんたを目標に10年つらい思いをしながら頑張ってきたんや!それやのに一回負けたくらいでつらいってなんやねん!
左)…確か○○がおたくの初恋とかだっけ?
菜)…だから何やねん
左)その3人で歩いてたという時にちらっと聞いたんだが、いいのかなぁ?君調べたらアイドルなんだよねぇ?恋なんかしちゃって~
○)片想いなら別に
左)良くはないだろ~、これをファンの人に知られてもいいのか~?グループのエースがボディーガードに恋してるって~
○)…
左)そもそも初恋が実るなんてどこの物語だよ、それにおたくの職業なんか出会いが多いのに余計に叶うわけないだろ笑
菜)…
左)もっと言うと、人ってのはな夢と希望に燃えてるときは恋愛なんか必要ないんだよ
○)なんだよそれ
左)自分が一つのものに打ち込んで一生懸命やってるときに会いたいとかちっぽけなこと言われてみ?うざいぞ
○)だから片想いで
左)全国各地のドームや、全ミュージシャン憧れの東京ドームに立つことよりもお前を選ぶか?俺からしたらその時点で仕事を舐めてるとしか思えねぇんだよ
菜)…
左)そんな体たらくなくせに…よく俺の事最低とか言ったな…?
菜)…
左)ま、今日はもういいや、またいつか
○)いいわけないだろ
左)あ…?
○)こんなことして許されると思ってんのか?
左)…どうするつもりだ?
○)警察に突き出す
左)…こんな話を真面目に聞いてもらえると思ってるのか?けなされて終わりだろ、証拠もないし
○)証拠はある
左)あ?
○)ピッ、左)その原因であるその子に危害を加えようって決めた
左)…あ
○)きっちりボイスレコーダーも取れている、しっかり証拠となるだろうな
左)…
○)観念するか?
左)…くくっ、どうやって突き出すんだ?俺は逃げるしそもそもお前は俺を捕まえること出来んのか?
○)…
左)お前は俺に負けっぱなしなんだ、それに俺は最近まで練習をしてた、だがお前はかなり前にリタイアしている、力の差はより開いただろ
○)…だからどうした?
左)あ?
○)今のお前には全く恐怖を感じない、一回負けたぐらいでしょーもないことに走るお前なんかに負ける気がしない
左)…勝ったことねぇくせに生意気言ってんじゃねぇ!
一目散に○○の方に向かって走り出す左東
そのまま殴りかかるも大振りのためあっさりかわす…のだが
左)ガシッ
○)何ッ
それはフェイクで○○を捕まえるものだった、そしてそのまま力任せに投げつけようとするが
左)ん!?
○)…
ビクともしない
左)何…だと…?
○)残念ながら今でも体鍛えてんだよ、てめぇや昔の俺のような独りよがりの練習じゃなく、誰かのためになるような練習をやって来てんだ
左)だとしても今までなら投げられたんだが…
○)今までの俺とは違うって言ってんだろ!
左)黙れっ
というと体勢を変えもう一度投げようとするも空振り
しかし相手は日本一、○○も受けの体勢のみで何もさせてもらえない
両者ともフラストレーションが溜まり、左東が打撃戦に持っていく
だが普段打撃練習を行っていない左東のパンチは様々な武道を経験している○○には多少ほどしか効かなかった
左)はぁはぁ…
○)…お前喧嘩慣れしてないだろ
左)はぁ?
○)おらぁっ!
左)うおっ!?
一瞬のスキを突き、○○に振りかざした拳を掴み体勢を崩させ、左東が経験したことないであろう全力の背負い投げをお見舞いし、左東の体が宙に舞った
ドスンっ!
左)グハッ…!
思い切りアスファルトに背中を打ち付けた左東は呼吸困難になり起き上がることが出来なかった
左)ガハッ…ガッ…
○)…っふぅ、さすがにこれは動けないだろ…
左)ぐっ…あ…
○)…純粋なトレーニングだけをしてきたお前、一競技中のお前になら勝てるわけがない、だが誰かを守るためのいろんな手段を使った喧嘩なら俺は負ける気はしない。お前と戦ってる最中に気づいたよ
左)…
○)さてと、行くぞ警察に
虫の息だが反撃してくる可能性があるため、警戒しながら立たせるために近くに寄るが
左)いや…いい…お前の手を借りずとも立てる…
○)そうか…もしかしてまだやる気か?
左)いや…もういい…素直に行くよ
○)…素直だな
左)なんか…馬鹿らしくなった…自分がしょうもないことやってるなって…
○)そうだろうな
左)考えるとお前はすげぇよ…格上の俺を目指して10年も腐らずに頑張ってたんだから
○)…格上は余計だ
左)また…一から頑張るよ…あいつを倒すために
○)…そうだな
観念した左東を連れ、そのまま近くの交番に突き出した
そして色々聞かれ、解放されたときには丑三つ時の時間となっていた、もちろん菜緒ちゃんにはこうなることが分かっていたので帰ってもらっていた
そして自分は寮に戻る…
ガチャッ…
○)…疲れた
部屋に入り、ベッドに飛び込もうとするも…
○)…バサッ
?)あっ…
○)…何してんの、菜緒ちゃん
菜)えへへ…
○)…またマスターキー?
菜)そう
○)早く返しなよ…
菜)だって好きな時に○○さんに会えるように持っときたいねん
○)というか家に帰ったんちゃうん?
菜)うん…帰ったんやけどあんなことあったから○○さんに会いたくなって、タクシーで…
○)わざわざタクシー使ったん?
菜)うん…歩いたら怒るやろ?
○)そやな、暗闇に一人は…それに結構距離あるし
菜)やからもうタクシーしかないかなぁと思って
○)なるほど
菜)というか帰ってくるの遅いわ~、菜緒何回寝そうになったか
○)ごめん…じゃなくて来てるなんて知らんかってんから仕方ないやろ
菜)むぅ…
○)…というか明日も仕事やろ、もうこんな時間やし早よ帰って寝な、送ったげるから
菜)いや、今日は泊まるから大丈夫
○)…ん?
菜)ん?
○)だから明日の準備はどうするの?
菜)明日は昼からやから午前中に動けば大丈夫、それより…
○)…それより?
ギュッ…
○)え…?
菜)今日だけはこうやって寝させて…?
○)…分かった
菜)お、今日は素直やな
○)はよ寝たいだけや
菜)照れんでええで~
○)はいはい、早よ寝よ
菜)せやな~
○)よいしょっと
菜)…今日はありがとうな
○)全然ええよ
菜)...あんなこと言われたけどやっぱり菜緒は○○さんのこと大好き…
○)…うん
菜)確かに恋と仕事の両立は舐めてるって思われるかもしれん…
○)うん…
菜)でもそんな孤独より、二人で一緒に多くの壁を乗り越えたいし、絶対○○さんと一緒に夢叶えたいから、○○さんもついてきてな?
○)当たり前やんか、ずっとそばにいる
菜)ふふっ、おやすみ…
○)うん…おやすみ
to be continue…