見出し画像

イチジク浣腸

刺激のある生活を送りたい。最近そう感じることが多い。訳あって仕事を辞めて再就職活動をしてるいるが、上手くいかない。かと言って趣味がある訳でもないし、出かけるのも面倒くさい気持ちが勝ってしまい毎日やることもない。自分の中でフラストレーションの様なものが溜まっていくのを日が増すごとに感じているのだ。



*************


そんな時にオレはイチジク浣腸に出会った。浣腸の存在自体は知ってたが、別にやるほど困ったことはないので使ったことはないし、これからも使うこともないと思っていたはずだった………。

やろうと思ったきっかけは最近読んでいたBL小説を読んでやりたくなってしまった。遊び半分と小説の中の少年を気持ちを味わってみたいという好奇心だ。座薬で遊ぶとかいうふざけた考えをしてしまう辺り人間として何かが欠落してるのを感じる…。自分の中で2次元と3次元の区別は付いてるつもりだったのだが、好奇心には勝てずやることにしたのだ。思い立ったら行動!という行動力の無駄使いをし、近場のドラックストアに買いに行くことにした。

「どこにあるんだろう… 高いのかなあ… 」

なんて思いながら探していた。正直なところあまり無駄使いをしたくないので、高かったらやめとこうと思っていた。それに、本当に困っている人に失礼だし…。

「あ、あった…  え、安い」

見つけて値札を見ると200円の文字。意外とするのかと思っていたので驚いた。思いのほか安くて買うか本気で迷ってしまい、店内を三周ぐらいした。不審者オタク。

「…………………」

手にとって覚悟を決めた。それとイチジク浣腸だけ買うのは恥ずかしいので、適当に欲しくもないボディシートも手に取りレジへGO  嫌なことに店員さんが若そうな女の人だったので若干憂鬱な気持ちになりながら家へ帰った。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

とは言うものの、実行したのは買ってから2週間後。基本的には常に誰かいるのでやれるタイミングが中々ない。だが、今日は違う。親が寝ていて、兄が出かけているという最高のタイミングだ! これは今やるしかないと思い、急いで隠しておいたイチジク浣腸を持ち出して部屋に引きこもった。

「ふぅ………」

持ち出したイチジク浣腸の箱を見ていたら何故かドキドキが止まらなくなり、心拍数が上がってしまったので深呼吸をした。自分の中でこれはレポ書くためにやるだけであって、決してこれから派生する遊びの練習ではない… と言い聞かせていた。パッケージをマジマジと見て説明を読んだ。色々と書いてあり、注意事項に目を通してから問題がなかったので箱を開けた。 

「………おおぅ…」

思わず声が漏れる。中から丸くて先端が伸びている薄ピンク色の容器が2個出てきた。 意外と大きい。30gってこんなにあるんだ…。これを全部挿れるのか……。とりあえず容器のビニール袋を外す。そして躊躇いながらも先端の蓋を取る。ここまでは良かった。良かったんだが……。

「うぅ…… 自分の尻に物挿れるのってかなり怖い … 見えないから余計に怖く感じる……」

いざ、やろうとズボンとパンツを足元まで脱いでお尻の近くまで持ってきたのいいのだが、怖くて挿れる勇気がない。人間の構造的にもお尻の穴を自分で見ることが出来ないので、見えないところに物を挿れるのは恐怖でしかない。そもそもお尻は出す専用として教わってきたので、挿れることに対する抵抗はハンパない。今から自殺でもするのか?ってぐらい脂汗が出できてきた。拭いても拭いても汗が止まらない。体がバグってる。とは言え、自殺しようとしたことはないし、座薬注入で自殺する時と同じ気持ち味わえるなんて安い人生だなとか下らないことを考えてしまっていた。

「やるか… 起きたり帰ってきたら困るし」

時間もないので意を決して挿れてみる。そしてゆっくりと容器を押す。

「ん………? あれ? …おかしいな」

勇気を持って押したのはいいのだが、自分の中に液体が入ってきてる感じが全然しない。中に入ると異物感があると説明書にはあったのに。一旦押すのをやめてお尻の方を見ると床にめちゃくちゃ液体が溢れていた。多分、面と面は接しているのだが、しっかりとお尻の中に先端が入ってはいないのでお漏らしでもしたのか?ってぐらい零れ落ちていた。

「…えぇ…… マジかよ………」

思わず落胆してしまう。挿れたと思ったのに全然中に入っていなかったのだ。あんなに頑張ったのに…。 このままだと意味をなさなくなるので行為中断して詳しいやり方を調べてみると、「緊張すると肛門が引き締まるのでリラックスしてからしてください」と公式サイトのQ&Aにあった。 思わず1人で怒ってしまった。今から人生の分岐点になるかもしれないのに、リラックス出来るか??? ケツに挿れるんだぞ??? リラックスしてケツに物を挿れられる人間がいるんか????? やり場のない怒りを感じながら作業を再開した。

「…うぅん、これならイケる…かも…!」

体勢を変えて再挑戦。容器の中はまだ半分も残っている上に、捨てるのも勿体無いと思い試行錯誤をすればベストな体制が見つかるだろ… と考え、最初は和式で用を足す格好、俗に言うヤンキー座りでやっていたが、猫が伸びをするポーズでやることにした。これならそこまで溢れないと思ったからだ。ただ、このポーズスゲェ恥ずかしい。四つん這いになりながら片手で尻に座薬を挿れる絵面、完全に地獄絵図なのでは…?

「…この辺か?全然ワカンネェ……  う… 」

まさか自分の体で穴を探す宝探しをするとは思わなかった。なにこれ?拷問?  自分のことは自分がよく分かってるはずなのに、自分のアナルの位置が分からなくてこんなに困ることがあるなんて……  結局残りもうまく入ることなく使い切ってしまった。

「はぁ…… 月曜日の昼間から下半身丸出しにしてなにやってるんだろ…… オレ……」

みんなが仕事を頑張っている中、オレは座薬が挿れられなくて軽く泣きそうになっていた。しかも履いていたズボンやパンツが濡れていて最初から完全に抜けば良かったと後悔をした。後悔だらけの人生だな。途中リラックス出来る音楽を適当にYoutubeで再生させながらやっていたが、リラックスするどころか音楽と自分の行為がミスマッチ過ぎて全然集中出来なかった。

「どうしよう、これじゃ失敗だしレポ書けない…」

30gあったが多分1gぐらいしか入っていない。多少の腹の痛みを感じることはあったが、トイレに行きたくなるほどでもなく、あっさりと波は消え去ってしまった。

「……もう1個あるし、やろうかな。」

本来なら連続使用をするときは1時間開けるべきと説明書に書いてあったのだが、全然入ってないし大丈夫だろうと、ビニール袋を開けたようとさた時に…

わんわんっ!!!

「………!!??」

外から飼い犬の鳴き声が聞こえてビックリしてしまう。マズイ、帰ってきた…!! 自分が思っていたより兄が早く帰ってきたみたいで、思わず狼狽してしまう。 

「ヤバイヤバイ……!! とりあえず片付けなきゃ……」

バレたらめちゃくちゃ面倒くさい事になるのは安易に想像出来たので、とりあえずゴミ袋の中に使用済みの容器と箱を奥の方に捨て、未使用品は隠してなんとか事なきを得た。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「はああぁぁぁ〜〜………」

思わずクソでかため息をしてしまう。結局、ちゃんと出来ないまま終わってしまったので不完全燃焼だ…。 ゆっくりとやれる時間がないのが本当に辛い。詰めれば短時間でやれる作業ではあるが、慣れないと挿れるだけで数十分はかかってしまう。挿れるのに失敗したとしても値段は1個100円なので痛手ではない。挿れる覚悟を決めるための時間が欲しい。初めてのイチジク浣腸は失敗に終わってしまったが、諦めない。時間を見つけて再度挑戦したい。 そしてちゃんとしたレポを書くんだ…!! もっともっと色んなことするんだ…!!  無駄な熱意を感じながら初めての体験は終了した。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?