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『LOOK IN THE MIRROR』(2022.08.14発行予定)メイキング

はじめに

 こんにちは。今回ははじめての試みになりますが、本のメイキングのようなことをやっていきます。とはいえわたしはご存じの通り(ご存じの通り?)文字書きなので、汎用性があるのかと言われればなかなか微妙なところかもしれません。

 なかなか文字書きがどうやって原稿をしているのか、見かけるタイミングもないと思うのでこんな感じで原稿をやっているオタクもいるんだな~と思いつつ、そこまで真剣にならずに見ていってください。最大限非効率に、最大限感覚的にやってます。

前提条件

 とりあえず前提条件から埋めて行こう! 今回メイキングとして取り上げる本の内容や環境についてつらつらと。別の本では全然違う環境で原稿をしていたりするので……。

環境

  • 一太郎2020

  • Pomera DM250(限定白モデル)

  • HUAWEI MediaPad M5 Pro

 主に使用する環境は以上三点! それ以外にもPCを使ってはいるものの、使用マシンで違いなんてないしな~ということでカット。取り立てて可もなく不可もない、買ってから数年経過しているPCを使用しています。とりあえず一太郎が動けばOKです。

本の内容

  • 魔法使いの約束(めちゃくちゃ面白いスマホゲーム! ちなみに環境で挙げているタブレットにDLしている)

  • カップリングなし

  • 登場人物の過去に焦点を置いた内容

  • また、過去について作中で言及されている情報は少なめ

 内容についての知識は特に必要ないので、ざっくりと。一部手書きプロットや原稿を掲載している関係で、これくらいは知っておいた方がいいかな? という情報だけを添えておきます。では、前提条件はこれくらいにして、実際にメイキングに入っていこう! 完全に我流なので、混沌としています。

全体の流れ

 とはいえ、一から十まで説明されなくてもざっくりとした流れだけでいい! という方向けに、まずは全体の流れを。こんな感じで今回の本はできました。

  1. 革命軍というテーマが確定

  2. ネタ出しスペースを実施

  3. タブレットに手書きでプロット作成

  4. ポメラでプロット(便宜上補助線と呼称)作成

  5. 上記と同時並行で原稿

  6. 初稿完成

  7. 一太郎に原稿を流し込む

  8. タブレットで赤入れ

  9. 一太郎上で赤入れ箇所の修正

  10. 一太郎校正機能を使用

  11. 完成

 多い! とにかく行程が多い! いろいろなところを行ったり来たり、右往左往、とにかくすべてに文句を垂れながら原稿をする。もちろん、ここには書いていないだけで完全に原稿を放棄して今回の場合であれば『風花雪月無双』を七周し、本を読んだり散歩をしたりして現実逃避をしていました。

 どんな原稿の裏にも涙ぐましい現実逃避があったと思うと感動しますね。表には出てこない様々な右往左往の末に、原稿は成り立っている。とりあえず行程をつらつらと書いてみましたが、実際に現物を見ていただいた方がわかりやすいと思うので、以降でひとつひとつの行程についてもう少し詳細なところを見ていただければ。なお、このメイキングを作ろう! と思い立った頃には原稿中盤に差し掛かっておりまして、綺麗に時系列を追ったものではありません。あしからず。

構想

 まずは原稿に入るよりも前の段階から。敢えて名付けを行うのであれば、構想段階でしょうか。そもそも今回の本は先のイベントで発行した『BABY IN THE BAD EGG』(以下『BABY』)という本の前日譚に当たるものになります。『BABY』が想像以上にいろいろな方に読んでいただいたこともあり、どうして『BABY』に至ったのかも描きたいな~とうっすらと思いはじめたことがきっかけでした。ここで、「革命軍というテーマが確定」しました。

 ただ、次回作のテーマが確定し、以降半年? くらいなにもせずにぼーとしたりゲームをしたりしていたらあっという間に時間が経過していたのでビックリしました。『BABY』を出したのが2021年4月のイベントで、翌年の2022年1月(正確には全然違うかも……)に尻叩きの意味も込めて「ネタ出しスペースを実施」に至ります。

 これに関してはこんなことやらない方がいい! と思います。スペースのログは今ではもう残っていないのですが、物語の起承転結すべてこのスペースでぺらぺら話しちゃった。冒頭30分程度はひとりで「ネタ出しようのファイル開いたら『犬 セックス 交尾』としか書かれてなくてビックリした」みたいなことを話していたような……実際一太郎にそれだけしか書き付けられていないシートがあったので、フォロワーをスピーカーに招集し、フォロワーのリアクションを見つつ、こうしたら面白くなるんじゃないかな? と思ったことをジャストアイディアで行き当たりばったりで話しました。

 スペースを行った結果のネタ出しシートがこちら。

実際のネタ出しシート

 2時間くらいスペースで話していたように思いますが、これだけしか残っていなかった……実際に本に織り込んだエピソードもあるものの、「聖ファウストの絵本 著」(著ってなんだろう)に関しては完全に切り捨ててしまった。作中作を書こうと当時は画策していたのだが、もはやそんなことを行う元気は少しも残されていなかった。なんなら原稿に当てる時間もそこまでない状態で原稿をしていたため……。ということで、構想はこんな感じでやっております!

原稿序盤

スペースなどを行って(実際はフォロワーとの問答を経てかも)いい感じにネタも蓄積されたところで、いろいろなところに散らばったネタをどのように配置していけばいいのかを「タブレットに手書きでプロット作成」してまとめていきます。実際の手書きプロットはこんな感じ。

タブレットの手書きプロット

 スタイラスペンで思いついたままに書いているので、実際本になった時とは配置が違ったりとかは全然ある! ここでやりたいのは完全なプロット完成させるではなく、頭の中にしかないエピソードを目に見えるかたちで後世のわたしに伝えることなので。実際に本になった時とどれだけ乖離しようが、わたしが原稿をするための取っかかりになれば全然大丈夫。むしろそれで正解。

 とりあえずざっくりとでもプロットが完成したら、「ポメラでプロット(便宜上補助線と呼称)作成」に移ります。ポメラは分割表示や複数のファイルを比較しながら書くことができるので、補助線用のファイルと原稿本文用のファイルを両方とも開いた状態でプロットを進めていきます。ちなみに、プロットは下記の左側。

←補助線 本文→

 正直、ポメラで物語を書く上での補助線作成に入って来たら同時並行で原稿もやってるので序盤~中盤の境界はそこそこ曖昧。便宜上、以降から中盤。

原稿中盤


 便宜上とお伝えした通り、「上記と同時並行で原稿」をしています。上の画像を参照。

 左側が補助線になるので、こちらの内容をさらに詳細化するイメージで右側の原稿ファイルに本文を書いていきます。3ステップを踏んで、どんどん粒度を細かくしているような感覚が近いかも。正直、左側の補助線の段階でかなり細かく書いているところもあるので、そのままペタッと貼ったりとかも全然あります。物語の肝になりそうなエピソードは補助線の段階でガッツリと書いておいた方が、後続の物語で伏線として活用できたりもするので粒度を均一にしようとは特に考えてません。ほんとうに感覚でしかない。

 大体一章分の補助線作成、作成した補助線に基づいて原稿……のように、交互に書いていってます。物語の全体感は冒頭の手書きプロットで大体決まっているので、この書き方でも特に辻褄が合わなくなったりオチを見失ったり……とかは(あまり)ないです。

 そうこうしているうちに、「初稿完成」! その後ノーバンで「一太郎に原稿を流し込む」。そのままなにも考えずにPDF化してください。ほんとうになにも考えず。

原稿終盤

 ここまで行ったら後は大体微調整のフェーズ。上でPDF化した原稿に「タブレットで赤入れ」をしていきます。これもスタイラスペンでざかざか気になるところを書き出したり、好きな文章にマーカーをして自分を鼓舞したり、あるいは冒頭での記述と齟齬が発生している点がないか確認したり。今回に関しては、ここで齟齬が発生していた。

前半部
後半部

 冒頭で「為政者」としていたキャラクターを後半で「指導者」と描写してしまったので、記述を合わせてね! と後のわたしに伝言をしています。あとは前半で出てきたフレーズを後半でも出したいなと思ったりするので、その旨を書き入れたり。こんな感じで赤入れもそこそこラフにやっていきます。

 赤入れが完了したら、「一太郎上で赤入れ箇所の修正」を行っていきます。上でも書いた通り、「為政者」というワードを後半でも出すことで伏線(伏線かな)を後付けで入れてみたり。わたしの本にこういった繰り返し使用されるワードがそこそこあるのは最終こういったかたちで敢えて追加しているからだったりします。

 あと、これは地味に……もう4年くらい続けているんですが、一文がページを跨がないように最終ここで調整してます。この作業中にここにもやっぱりなんらかのエピソード入れたいなと思いかなり加筆が入ったりもするので、10Pくらいページが増えたりします。ここまで終われば終わりはもう目の前だ! 最後に「一太郎校正機能を使用」し、一太郎の力を借りて誤字脱字やスペルミスがないか最終チェック。ここで今回「BAD」を「BDA」にスペルミスしているのを発見。一太郎、ありがとう……!

完成

 お疲れ様でした! これで原稿終了です! 年明けにネタ出しスペースを行い、本格的に原稿を再開したのが7月、『風花雪月無双』を7周した末にようやく原稿が完成しました。月末あたりからいよいよほんとうに無理かもしれない……と思い表紙を自分で作るのを諦めてSKIMAにて原稿の作成を依頼したりしてました。結果、物凄くクオリティの高い表紙をいただいてしまい、この表紙に見合う内容になっているかかなり不安だったのですが、ここまでやってるんだから絶対いい本になってるでしょ! と最後に自分を鼓舞しておきます。

 つらつらと行程を書きましたが、どうでしょうか。参考になれば嬉しいです。一字書きのメイキングにすぎないので、繰り返しになりますが人それぞれの原稿方法があるかと思います。こんな方法もあるんだ、試してみよう~と思うもよし、面倒臭い! やってられっか! と思うもよしです。この世界に少しでも小説本が増えることを願って、今回は書かせていただきました。ありがとうございました!

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