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日本の「踏み絵」について言及したフランス啓蒙主義者の風刺小説

[ヴォルテール] 『カンディード、あるいは楽天主義』 [1759年] [ジュネーヴ刊?]
[Voltaire], Candide , ou L'Optimisme, traduit de l'Allemand de Mr. Le Docteur Ralph. [1759] <R23-38>
12mo(16.3x9cm), 237pp, table of contents, contemporary calf binding, decorative spine in compartment, title lettered in gilt to spine, but fade, top of spine and corner bumped, wear of binding
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フランスの啓蒙主義者ヴォルテールが楽天主義/最善説(Optimisme)を批判する目的で刊行した風刺小説『カンディード』。本書において主人公たちは旅の途上で戦場の惨禍、嵐、地震災害、略奪、異端者への火刑と、ありとあらゆる自然や人間による悪を体験することになります。

その悪行の一つとして、1755年のリスボン大地震を体験した主人公たちが災害後の街で略奪に走るバタヴィア出身の水夫を咎めようとするも、水夫は日本に四回旅をしてきて、四回も踏み絵を踏んできたと開き直るシーンが描かれています。

ヴォルテールはその著書『習俗論』の執筆において、イエズス会士ピエール・シャルルヴォア「日本の歴史」やエンゲルベルト・ケンペルの「日本誌」から日本についての知識を得ていました。本書『カンディード』でも「踏み絵」への言及があることから、イエズス会やオランダ東インド会社を通じてヨーロッパへと伝えられた鎖国時代の日本についての知識がヨーロッパの啓蒙主義者の創作活動に生かされていたことを確認することができます。

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