優良認定 (2/4)
真帆の家に着くと、ちょうど自分の父親ほどの年齢の男性が出迎えた。
「お帰り。その子はお友達かい?」
「クラスメイトの沢村麻耶ちゃん」
「初めまして。お邪魔します」
「さ、行こう、麻耶」
玄関の先にある階段に麻耶を促す。その時、真帆が父親と目配せを交わしていることに気付いていなかった。
真帆の住む家は門扉を備えた庭付きの立派な一軒家で、真帆の部屋は2階にあった。
「すごいね、真帆。広いお部屋」
「そんなに見ないで。恥ずかしいわ」
「私なんてまだお兄ちゃんと一緒の部屋だもん。羨ましいな」
真帆のベッドの上で2人は横に並んだ。
「お兄さんと同じ部屋なんて、ちょっと羨ましい。だって、して欲しかったらいつだって…」
「あん、真帆ったら…ぁむ、む…」
自室に着いて、より大胆になった真帆が、麻耶を抱擁し、唇を重ねた。ひとしきり貪り合うと、
「ちょっと待っててね。何か持ってくるから」
そう言って、真帆は部屋を出ていった。
真帆は、飲み物がある台所へは寄らずに、真っ直ぐにリビングにいる父親のもとへ向かった。
「どう、撮れてる?」
「バッチリだよ、よくできたね、真帆」
父親が広げるノートパソコンの画面には、ベッドに腰掛けたセーラー服姿の少女が2人、抱き合いながら口付けを交わす映像が再生されていた。
「随分慣れてる感じの子だね」
「お兄さんと色々経験しているみたい」
「可愛らしい子だ」
「お父さん好み?」
「ああ、そうだね…」
「ねぇ、ご褒美…」
「仕方のない子だ…」
「お父さんの娘だもの…」
2階に麻耶を待たせたまま、真帆は自ら父親と唇を合わせ、父娘間での唾液の交換に興じた。
真帆が父親の異常な性癖に気付いたのは中学生になってからだ。リビングのテーブルに放置されたノートパソコンに、インターネットで収集したと思われる制服や体操服に身を包んだ女子中高生の写真が表示されているのを見てしまったのがきっかけだった。どうやら父親は、娘に自分の性癖を隠すつもりはなかったらしい。むしろ、見せつけてどう出るか反応を愉しんでいるようだった。
そして、そんな父親に嫌悪感を持つどころか、自分自身も父親の性的欲望の対象となることへの期待を自覚し、戸惑いながらもそれを受け入れていたのだった。
真帆の母親は、普通の親子の範囲を逸脱した父娘の関係に耐えきれずに、家を出ていった。自ら穢れゆく娘を抑えることができない以上、もう自分は用済みだと感じたのだろう。
真帆を待ちながら、麻耶は今日起きたことを頭の中で反芻していた。麻耶がなかなか帰らないように、真帆も教室を出ようとはしなかった。衝動的に抱きしめて真帆の唇を奪ってしまったが、真帆はそれを冷静に受け流して、麻耶は穢れていないと言い切った。どういう意味だったのだろう。
「いやらしい麻耶が欲しかった」
それは真帆の本心に違いなかった。そうであってほしかった。麻耶のことなら何でも分かる、という言葉どおり、真帆は私を理解してくれるだろう。真帆なら、血の繋がった兄との淫らで異常な関係もすべて受け入れてくれるだろう。真帆の清らかな部分は私が穢してあげる。でも、真帆の方が私よりもいやらしい女の子だったら、その時は、お願い、私を犯して…。
(ねぇ、真帆…。いやらしい私のことが好きなの?だったら、いいよね、こんなこと、しても…)
単なる友人関係が、より親密で危険な関係へと変わる最初の日。真帆が部屋にいないことは、足を踏み出すのに好都合かも知れない。親友のベッドの上で、そうする事が必要と言わんばかりに、太腿をMの字に開き、淡いピンク色の下着に覆われた秘唇に指を合わせていく淫らな少女。巧妙に隠された人工の目が彼女を見つめているとも知らずに…。
( 3/4へ続く)