送別会 (1/3)

登場人物

智希(僕):中学3年生

麻耶:中学1年生、智希の妹

遥香:中学3年生、智希のクラスメイト


1

 高校入学を控えた3月、僕は妹の麻耶と一緒に、クラスメイトの遥香を送り出すささやかな送別会を開いた。もう着ることのない中学の制服がドレスコードの送別会だ。僕らの学園は中高一貫だから、入試を経ずとも高校には行ける。けれど、遥香は将来の夢のために進学校の第一高等学校を選び、僕らとは別々の進路を選んだのだった。

 送別会の開催場所は、僕の住んでいる家の2階にある麻耶の部屋。夜は彼女の寝室ともなる部屋だ。好都合にも、両親は外出することになっていたため、親の目を気にする必要はなかった。

 送別の贈り物として遥香にプレゼントしたのは、僕と麻耶との「関係」。

 僕の「彼女」として、従順に僕の求めに応じてくれた遥香のために、僕は、麻耶とも仲良くなってもらい、高校が別々になって普段会えなくなる前に、3人で溶け合うような快楽の時を過ごしたいと思ったからだ。

 だから、僕は遥香の見ている前で麻耶にキスをしてみせた。普段は寝る前に2人だけで交わしている妹の麻耶との淫らな口付け。兄と妹との秘密の関係を、遥香に明かした最初の瞬間だった。

 遥香と「恋人」として付き合い始めたばかりのころ、僕は一方的に宣言した。
「僕は遥香以外の女子でも、可愛いと思ったらきっと犯したくなる。いいよね?」

 僕は、この頃には、自分の感覚が普通ではないことに気付いていた。だからと言って修正が効くようなものでもないだろう。これで切れるような関係なら、元々縁がなかったと思うしかない。

 遥香は静かに、でも確かな口調で言った。

「智希くんがそういう男の子だって、何となく感じてたよ…。だから智希くんに惹かれたの。そういう本音を隠さない男子…私は好きかもね」

 その返事を聞いて、僕は遥香に抱いていた印象が間違っていないことを確信した。僕らのありのままを見せても、遥香は必ず受け止めて自らの快楽に変えることだろう。
                     送別会 1 終(2へ続く)