夏川椎菜さんお誕生日企画にDTMで参加した話~「ラフセカンド」SynthesizerVカバー
2024年7月18日。夏川椎菜さん、28歳のお誕生日おめでとうございます!!!
今回初めて、夏川さんのお誕生日企画にDTMで参加させてもらいました。この記事は制作のウラ話などをまとめたものです。
話の発端はXでハレノバ実行委員会(@P_harenoba)、黄卵のやぴよ(@M_yapiyo)さんからDMをもらって、
とご依頼頂いたことでした。
DTMで?自分が「ラフセカンド」をカバー…?しかも夏川さんお誕生日企画用に…?
たしかに、DTMは細々と続けている趣味のひとつで、Xでも勝手に #TrySail_DTM部 などと名乗って投稿したりはしていました。そういうところを見てご依頼くださったようなのですが、これまでは本当にちょこちょこ遊んでいるだけで、まともな作品を公開したこともほとんどありません。ネットにはスゴいクリエイターさんがたくさんいらっしゃいますし、自分でいいんだろうか、と戸惑いもありちょっと考えさせてください、といったん落ち着くことに。
自分は夏川さんのファン歴がまだ浅い新米ヒヨコなので、お誕生日企画に参加できるのはうれしいけれど、夏川さんはめっちゃエゴサすることで有名ですし、お誕生日企画の作品ということになれば夏川さん本人が聴く可能性は高い・・・ということも考えて、めっちゃ迷いました。
でも、こんな機会はめったにないし、何より夏川さんのお誕生日をDTMでお祝いできるならやってみたい、そういう思いが沸き起こってきて、
「自分で良ければ、やらせてください!」とお返事したのでした。
完成版音源は5月に納品済で、実際に夏川さんに贈られる動画作品はやぴよさん側で制作されたので、どんな仕上がりになっているだろうと楽しみにしています。
自分は自分で、制作した音源に歌詞をつけたリリックビデオ的な動画をYouTubeで公開させてもらいました。それがこちら。
イラストは「様々な機械に囲まれて座っている可愛らしい女の子がカラフルなケーブルに絡まっている絵」をAI生成しました。自分が全く絵がダメなので止むなくAIに描いてもらいましたが、ヒヨコ群界隈には素敵なイラストを描かれる絵師さんがたくさんいらっしゃるので、自分がまた作品を作る際はいつかコラボできたらいいなあと勝手に思っています。(もしご興味のある方がいればぜひご連絡ください・・・!)
今回、DTMによる夏川さんの楽曲カバーをはじめてやってみて、様々な気づきがありました。以下、制作のウラ話などを書いていますのでDTMに興味がある方はお読み頂ければ。
制作コンセプトを決める
DTMに限らずなにかコンテンツ制作をやったことのある方はわかるのではと思いますが、適当に手を動かしていくと無限にやってみたいことがでてきて収集がつかなくなります。今回は締切もあり、社会人DTMerである自分は毎日制作時間が取れるわけでもなく、限られた時間で完成品を作るには「こういう作品にしたい」というコンセプト、方向性を決めなければ、と思いました。
今回は歌モノのカバー作品なので、どうしてもオリジナルと比較されることが想定されます。自分はオリジナルのアーティスト、制作陣を最大限リスペクトしたいタイプなので、コンセプトとしては大きく2つ、
1.オリジナルに似せようとし過ぎない、劣化コピーを作らない
2.かつ、オリジナルの世界観を壊さない、アレンジし過ぎない
ということを自分なりに決めて作り始めました。
Synthesizer Vの歌声データベース
歌モノを作るにあたり、歌ってもらうのは歌声合成ソフトのSynthesizer Vです。様々な歌声データベースがリリースされていて、それぞれ特徴があります。
Synthesizer V本体はすでに所有していて、今回の作品用にひとつ新規の歌声を導入することにしました。本体も体験版がありますが、歌声データは無料で使えるライト版があり、これで試してみて使いたいものを選ぶことができます。ちなみに体験版+ライト版でも基本的な機能は使えますのでとりあえず遊んでみたい、という方はぜひ触ってみてください。製品版を購入するとさらに使える機能や声の調整などが細やかにできるようになります。
夏川さんの楽曲カバーをするにあたり、「夏」の文字を冠した「AI 夏色花梨」をかなりギリギリまで迷いましたが、聴き比べた結果「京町セイカAI」を採用。
声や歌い方が似ているというわけではないんですが、ワンフレーズずつ歌わせてみて、夏川さんの歌声のキャラクターを表現でき、「ラフセカンド」の曲の持つ世界観やメッセージにマッチしている声を選びました。
歌声の生成と歌詞入力
制作の順序は人によっていろいろあると思いますが、歌モノなのでとりあえず歌声から。
ざっとメロディ・歌詞を入力しただけの状態、いわゆる「ベタ打ち」でもそれなりのクオリティで合成してくれるのがSynthesizer Vのすごいところです。細かな修正は後回しにして、まずはメロディと歌詞をベタ打ち。
入力していて感じたことですが、夏川さん自身が作詞した「ラフセカンド」はかなり細部まで考え尽くされた歌詞だと思いました。1コーラスと2コーラスで微妙に異なるメロにはまるような言葉選びや韻の踏み方、あと「音としてハマりの良い言葉」を並べるワードセンス。作詞家・夏川椎菜のこだわりや才能を、自分で入力してみて気付かされるというのは新鮮な体験でした。
主旋律が入力できたら、ハモリとコーラスも同じく打ち込んでいきます。違う声を使うことも検討しましたが、いろいろ試してみて今回はハモリもコーラスも全て京町セイカで統一しました。(若干メインボーカルと声色を変えたりはしています。)
トラック制作~インストゥルメント他
DTMでの制作には楽器に相当する音源(インストゥルメント)と音を加工するエフェクトなどを様々に使用していくことになります。
が、あらためて気づいた問題が。
バンド系のインストゥルメント、あまり持ってない・・・
「ラフセカンド」は、主にギター、ベース、ドラムが中心に鳴っています。それにシンセなどキーボード系の音がいくつか、という感じですが、いわゆるこういったバンド系のインストゥルメントを、ほとんど所有していなかったのでした。
もちろんたくさんの音源が販売されているのでこれを機に購入していってもよかったのですが、乏しいながら「手持ちの音源だけで作る」ほうが実力が試されるのでは、スキルアップにつながるのでは、と思ってしまい、新規にインストゥルメントなどの購入はせずに作ってみることに。これはこれで学びになったけれど、なかなか大変でした(自分のせい)。
以下、実際に使用した音源などを列挙してみます。
ドラム:MT Power Drum Kit 2
フリーのドラム音源。フィルとかも充実してて良いのですが、さすがにいろいろ調整が必要で、今回の制作はこのキットだけで作りましたが終わったあとに別のドラム音源購入しましたw フリー音源としてはとても良くできていると思います。
ベース:Ample Bass P Lite
これもフリー版なので音色とか設定に制限がありますが、「ラフセカンド」はそんなにベース音色が幅広く変わったりはしないので、これで行くことに。
ギター:SHREDDAGE 3 STRATUS
いちばん悩んだのがギター。「ラフセカンド」は全編通してギターが鳴っていて、ギターで雰囲気が決まってしまうところがあります。
いちおう少しだけギターを弾くので、ここは自分で演奏して録ってしまうか、と試しにやってみたのですが、演奏がヘナチョコすぎて全然安定せず、結局細かくデータ上で手直ししていくくらいなら打ち込んだほうがマシだ…と何度も試行錯誤しました。
音源はSHREDDAGE 3 STRATUS。音色はアンプシミュレータのAmplitube、その他いくつかのエフェクトで加工しています。
あと、どうしても音に迫力が欲しいとか物足りないな、っていうところだけちょびっとギター自分で弾いて足してます。いつもヒ労組の爆音ギターを聴いてる夏川さんに自分のギター聴かれるかもしれないと思うとめちゃくちゃビビってますが…笑
シンセ/キーボード:Analog Lab V
シンセ/キーボード的な音はだいたいAnalog Lab で作りました。オリジナルに似せようとしない、とコンセプトを定めて作ってましたが、割と雰囲気は近いものを用意できた気がします。
それ以外に、SE(効果音)的なものをいくつかSpliceから入手して足しています。
微調整・MIX作業
歌モノということで歌声の調整はある程度時間をかけました。Synthesizer Vはリテイクという機能があり「違ったパターンで歌って」っていうことを何度もやり直してもらうことができます。その中からイメージに近いものを選び、更に微調整、という作業を繰り返して仕上げていきます。
ボーカルが固まったら、各楽器のバランスを整えたりエフェクトを加えて聴こえ方を変えたり、いわゆるMIX作業を。これもコンセプトが定まってないと無限にどうしていいかわからなくなり、実はあまり得意じゃない作業です・・・。
ボーカルをセンターに置いて、ギターは少し右から聴こえるように、他の楽器は左に、などの配置も決めていきます。最終的にはボーカルがすっきり聴こえるように調整(したつもりです)。
こういった細かな調整を終えたら、書き出していちおう完成。あとは書き出したデータをヘッドフォンやイヤフォンを変えて聴いてみたり、スマホで聴いてみたりしてみます。視聴環境が変わってずいぶん狙った感じと違う、というところがあれば再調整してまた書き出し。というようなことを何度かやって、ようやく最終版に。
楽曲をDTMでカバーしてみて
ほぼ初めてやってみたのですが、めっっっっちゃ楽しかったです。
耳コピがあんまり得意でない意識があってなんとなくカバーに手を出していなかったのですが、やってみるとコード進行とかアレンジとかをなぞる中で楽曲に対する解像度がものすごく上がります。
今回、部分的な再生も含めたらたぶん数千回くらいラフセカンド聴いたと思うのでw、この楽曲の持つ世界観やメッセージは(自分なりにですが)思い切り深いところまで解釈できた感じがあります。
毎日少しずつ進めて1ヶ月半くらいかかったので、社会人DTMer的には(というか自分のスキルレベルでは)これくらいが限界かと思いますが、こういう作業を通じてより深く楽曲を楽しめたのはとても良い体験で、またぜひやってみたいと思いました。
(このくらいのクオリティでよければ、ですが)またご依頼があればぜひ参加してみたいと思いますし、個人的にもいろいろ作りながら精進したいと考えています。
貴重な機会をくださったやぴよさん、ありがとうございました。
そしてあらためて夏川椎菜さん、お誕生日おめでとうございます!!!
夏川さんとヒヨコ群のみなさんにとって良い一年でありますように!
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