「MVで、ピーマン食ってる小室哲哉は衝撃！」田中伊作さん③

⑨一番初めに行ったライブを教えてください。
(第2話からの続き)

金谷：厳しいことは言っても、やっぱり(TMのことを)好きですね。

田中：そうですね。好きです。好きだからと言って、すべてが良いとか素晴らしいとは思いません。他の小室哲哉好きの人って、小室哲哉の「全部」が好きなんですよ。
最近の(ブームのように)「推し」がいて、いっぱい応援してコンサートもどこにでも行って、お金をいっぱい使って、それが生きがいみたいな。そういうのは、僕はゼロなんです。

僕にも生活があります。「推し」のために何万円もかけて、全国行くなんてことは絶対にありません。それだけ現実の生活が充実しているってことなんですけど(笑)。
小室哲哉はハッキリ言って「生活に関係のない人」です。僕は本当に特定の人間を追いかけるってことを今までしたことがありません。人生の中で1回もないんです。

金谷：それでも、ここまでFANKSを続けている理由ってなんでしょう？

田中：それは不思議ですね。やっぱり面白いんでしょうね。好きなんだと思います、小室哲哉もTMも。今でも(コンテンツは)ちゃんと買ってるし。
でも、やっぱり僕は「生活」ってところをすごく考えてしまうので。実生活で「関わりのある人」か「関わりのない人か」はとても重要です。僕は、実生活で関わりのある人をとにかく大事にする仕事をしています。

若い頃は良いですよ、10代だったら働いていないし、生活とか分からないし。好きなアイドルを追っかけるっていうのも良い。今回も、(「DEVOTION」の)コンサートに行くけどね。(FANKSの)妻も行くって言うから行くけど、昔からグッズに何万もかけたりとかはしません。

グッズも「飾っておくだけ」とか「しまっておくだけ」っていうのはない。Tシャツも買うなら実用品として買います。外に着ていけないTシャツは買いません。タオルだって、買ったら必ず使う。それを取っておくとか、会場ごとに違うからって(買うような)、そんな生活の余裕は僕にはないですから(笑)。

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⑩一番好きなライブを教えてください (行ったことが無い方はライブ映像でも可) 。

田中：まったく逆の意味で印象に残っているのは、神戸の「HUGE DATA」のラスト。僕は当時は埼玉在住でしたが、さいたまスーパーアリーナには行かなかったんですよ。神戸ワールド記念ホールの最終日に行ったんです。

理由は2つあって。一つは(神戸でFANKSの方が不定期営業している)TMバーに行きたかった。もう一つは(金谷が運営をしていたFANKS Facebookコミュニティの当時の代表主催で) みんなでUSJに行ったじゃないですか。実はUSJに行ったことなかったので、「これは丁度いい！」と思って。「ついでに両方行ってやれ。」という感じでした。

この(神戸の「HUGE DATA」の) 2月15日の前の2月14日は、さいたまスーパーアリーナでモトリー・クルーだったんです。その前の週にさいたまスーパーアリーナでTMがやっていて。(2月14日の)3日前は神戸ワールド記念ホールでモトリー・クルーがライブをやっていました。丁度ライブ時期が重なっていたんです。

「どっち行こうかなぁ？」と迷っていた時に、FANKSの友人が「神戸のチケットあるよ。」って言ってくれて。しかも、「TMバーもやるよ。」「USJも何名かのグループで行くよ。」とお誘いがありました。
「じゃあ、さいたまスーパーアリーナのモトリー・クルーに行って、次の日、飛行機で神戸に行って、TMのライブ行けばいいかな。」と思って、チケットを取って行ったという訳です。

で、2月14日のバレンタインデーに「さいたまスーパーアリーナ」のモトリー・クルー公演で、がっくり落ち込む出来事がありました。1万2,000円のチケットを買ったんですが、お目当てのパフォーマンスが機械のトラブルで見られなかったんです。ステージセットが途中で壊れてしまって。

それでガックリ落ち込んで、その日は全然眠れなくて。眠れないまま僕は羽田空港に行って、2月の神戸空港に降り立った訳です。降りたらすごく寒いんです。強風がブワァーっと吹いていて。「さっむいなぁ。」と思って、さらに落ち込みました(笑)。

それで、今度はTMのコンサートを見たんですが、今度はセトリが悪くてまったくノレない。「CAROL」組曲だってそうだし、「STILL LOVE HER」もそう。「We love the EARTH」まで全然ノレる曲がないんです。

コンサート会場の中がまた寒かった。上着が脱げない。しかも、昨日のコンサートで落ち込んでいるでしょう？「こんなに寒いコンサートは初めてだ。」っていうぐらい、この時の神戸のコンサート心も体も寒くてよく覚えてます。
TMで印象に残っているコンサートって言うと、そういうことになりますね。良かったとか、悪かったとかじゃないんです。申し訳ないです。

コンサートの終盤に銀テープが、僕の前の席くらいまで飛んで落ちてきて。みんな後ろから走ってきて、「うわぁー！」って取りに行くんです。自分は取りに行く元気がないけど、いっぱい落ちてるから、周りの人がくれるんですよ。「あげます。」って。「ありがとう。」って銀テープもらったけど。なんの慰めにもなりませんでしたよ。

ここでノリノリのセットリストをやってくれていたら、「神戸まで来て良かったなぁ。」と思ったんだけど、「さっむいコンサートやりやがって！」って、さらに落ち込むという。「俺は何のために飛行機乗ってここまで来たの？」って。ずっとアタマに来てました(笑)。

金谷：(「さっむいコンサート」って)ひどい！(笑)。

(第4話へ続く)
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