見出し画像

カラーダイヤモンド鑑定、よもやま話

前回、ホワイトダイヤモンドについて書きましたが、その続きの前に、カラーダイヤモンドの鑑定について、少々お話したいと思います。
以前、カラーダイヤの鑑定について、泣く子も黙るGIA(NY)のことは、こちらへ書かせて頂きました。↓

今回は、GIA以外の鑑別機関についてのお話です。
ちなみに、私は以前よりカラーダイヤ鑑定はA鑑しか使いません。よって今回のお話はその前提で進めます。

以前、ある方よりこんな質問を受けました。「カラーダイヤ鑑定の権威はGIAですね、なら、同じ石をCGLやAGTが鑑定して、各機関が異なるグレードを出した場合、やはりGIAが正解ですよね」と。

この問いに対する私の考えは、こう。
「いいえ、カラーダイヤの鑑定にコレが正解、GIAが正解など決して一概に言えないと思います。A鑑諸機関が異なるグレードを出したなら、それは《各機関の見解の相違》によるものです」

2022年現在、機械でなく人間が鑑別鑑定している以上、各機関の全てのグレーダーが全員同じグレードを出すなど、そもそもありえません。各々違う結果が出ても仕方ないでしょう。そんな時、私の場合は各機関の結果と石を見比べ「自分が一番しっくりくるグレード」を選び、自分にとっての正解とします。無論、それがGIAでなくても。
私は以前から、繊細なカラーダイヤの色彩は、日本人の豊かな感性があってこそ正確な判定をしている印象を持ってきました。(これはGIA批判ではありませんので、あしからず)

実際、私は自己所有の鮮やかなピンクをA鑑3社に出したことがあります。
結果、GIAはfancy vivid pink、AGTとCGLはともにfancy vivid purplish pinkでした。
その石は明らかに紫みがあり、私の目では間違いなくfvppに見えるため、GIAのストレート判定には甚だ疑問を持ちました。
GIAはカラーダイヤでは世界的に通用する権威ある機関ですが、外国人の見え方や感性の違いのよるものか不明ですが、こうしたケースもままあるため、私は日本のA鑑の判定を信頼してきました。

ここで、先日起きたある事例をご紹介します。
発端は2020年の秋、もともと「fancy orangy pink」B鑑付の石を購入した私が日本のA鑑へ出したところ「fancy brownish pink」と判定されたことに始まります。褐色みピンクにオレンジやブラウンがつくことは当然の結果であり、そのどちらがついても不思議はありません。実際その石は褐色みこそあれ、しっかりとした綺麗なピンクに見えました。
私は当初、A鑑でも同じorangy pinkが出たら嬉しいと考えましたが、残念ながらbrownish pinkとの結果に、B鑑のグレードはやはり甘く付いていたのだからA鑑のbrownishが正しいのだろうと、その石を仕舞い込んでおりました。そして今年に入り、ふと思い立ち、あらためて以前提出したA鑑へその石を出したのです。
同じ石も時期を変え鑑別に出すと、鑑別基準の変化等により、運良くグレードがアップすることも、ないとは言えないため、淡い期待を持って。

しかし、その結果は予想を遥かに裏切るものでした。
一年前、fancy brownish pinkであった石は、今回「fancy light pink brown」と判定されました。
fancy→fancy lightへワンランクダウンのみならず、brownish pink→pink brownという強烈なランクダウン。
当初グレードはbrowishとは云え末尾ピンクのピンクダイヤでしたが、ピンクブラウンは末尾ブラウンゆえ、もはやブラウンダイヤです。ピンクとブラウンでは、皆さんご存知のとおり価値評価に雲泥の差が。
「ブラウニッシュ」ピンクは、ブラウンがかったピンクな意、ブラウン要素は比較的少なめで末尾ピンクが重視される判定ですが、pink brownの場合、ピンクとブラウンが同等、半々だがよりブラウンが勝るとされます。
よって、末尾ピンクのブラウニッシュピンクに比べ、明らかにピンク要素が少なくなった「ブラウンダイヤモンド」くわえてダメ押しにfancy lightと。これは、2ランク?いや3ランクダウンと言って過言でないダウン。

結局、私は2020年に先方が「fancy brownish pink」を出していることを伝え、それを確認した機関は、fancy light pink brownから「fancy brownish pink」へ判定を変更して下さいました。
ちなみにこの石だけでなく、同時に依頼したその他ダイヤ数点どれも美しい新規石でしたが、ほぼ全て明らかに私の予想より厳しい結果が出ました。(その後、このブラウンピンクの件も鑑み、ご変更を頂きました)

皆さんがこの話をどう思うか、私には正直わかりません。
しかし、私が感じたことは以下。
カラーダイヤの鑑定は、人間の目に拠る以上グレーダー次第、運によるものも大きい。
ちなみに、今回は日本の機関なため、過去の判定を鑑み、こうした柔軟な対応を頂けました。たいへん有難く、感謝しています。
しかし、GIAはそうはいきません。
GIAならクライアントの話に耳を傾け過去の結果へ戻すなど、絶対にやりません。そして、何故してくれないか理由を尋ねても、おそらくこう言われるに違いないのです。「以前と今では、鑑別基準が変わりました」の一言で終わり。
GIAは、今現在出す結果が絶対であるため、新たな結果を決して覆しません。
ちなみにこれは、あくまで私の私見ですが、GIAは誰が見てもわかりやすい美色には、わかりやすいグレードを出す傾向があります。しかし、我々日本人にこそわかる微妙で繊細な色彩には、それらを無視するかの如く厳しいグレードを出す印象が強いです。
例えば、冒頭に述べた明らかに紫味のあるピンク(日本A鑑はfvpp)をfvpはまだ全然良い方で、brown系やgray系、deep等やや褐色や色調の暗い石には、割ととんでもない低グレードを出すような。
ちなみにB鑑でbrown系ピンクは、A鑑で末尾ブラウンになる可能性はじゅうにぶんにあると思われます。
B鑑全てがそうとは思いません。B鑑の石でも勿論、美しい石に正当なグレードの付いた石もあることでしょう。
しかし、B鑑以下で気をつけたいのは、browishなど判定のついた褐色みのあるピンクです。それは、A鑑でpinkish brownと出た石をB鑑以下は末尾ピンクを出す可能性もあるということです。

ちなみに、A鑑であれど今回のように厳しい判定と真逆に、何故この石にこの高グレードが付くのか?という不思議な石も存在します。それはGIAも然り。

鑑別機関は、信頼できる機関であってほしい。私は、美しさに欠ける石に見合わぬ高グレードは希望しません。

美しい石には、素直にそのグレードを。そうでない石にはそれに見合うグレードを、ありのままに出して頂けたら幸いと心から思います。
最近のカラーダイヤ鑑定に於いては、仲間の業者様複数社からも同様のお話を頻繁に耳にしておりましたので、今回、敢えて書かせて頂きました。
尚、このお話は直接、鑑別機関様へお伝え済でございます。

今回は、鑑別機関にまつわるお話でございましたが、次は、ホワイトダイヤの続きを書きたいと思います。ではまた。

私の長年の夢、それは、自分で仕入れた良質なカラーダイヤモンドを、シンプルで使いやすいジュエリーに仕立て、お値打ちにカラーダイヤモンドファンへお届けすることです。よろしければ、ご支援頂けますと幸いです。