令和5年度予備試験論文再現答案

【総評】
・順位1,100位前後
・憲法D、行政法C、民法E、商法C、民事訴訟法C、刑法F、刑事訴訟法C、実務基礎F、租税法A
・お恥ずかしい答案(特に刑法)もありますが、次年度試験に向けて忌憚のないご意見等いただけましたらと存じます。
特に実務基礎の事実・評価について苦手意識を持っていますので、実務基礎についてご意見等いただけましたら幸いです。


【憲法】D答案
1 Xとしては証言を行うことは取材の自由を侵害するものであるから、証言拒絶が認められないことは憲法21条1項(以下法名省略)し違憲であるとの主張を行うことが考えられる。
(1)もっとも、取材の自由は21条1項により明文で保障されたものではなく、憲法上保障されないという反論が考えられる。
(2)しかし、21条1項は報道の自由も保障している。そして、報道は取材・編集・放送という過程を経るものであり、取材は報道の中において必要不可欠な行為であるといえる。そのため、取材の自由は憲法上明文がなくとも21条1項により保障されると解する。
(3)そして、Xに対して証言拒絶を認めず、証言を強要することはXの取材の自由を制約するものである。
(4)取材の自由については、自己実現・自己統治の価値を有する表現の自由に由来する重要な権利である。取材の自由は取材活動による人格形成に資する自己実現と政治的意思決定に参画する自己統治のいずれの価値も有するものであるからである。
 一方で、民事裁判における公正な裁判の実現という要請も求められる。これに対して32条の裁判を受ける権利は刑事手続きの中に条文が規定されており、民事裁判においては適用がないという反論も考えられる。しかし、公正な裁判の実現という公益は民事であろうと刑事であろうと重要であることには変わりはなく、反論は失当である。
 以上のように取材の自由について尊重されるべきという観点と、公正な裁判の手続きという観点の両者について比較衡量をして当該証言拒絶が21条1項により許されるかを判断すべきと解する。
(5)XはB県を拠点に主に環境問題について取材その他の活動を行っているところ、フリージャーナリストであるから記者クラブに参加しておらず、B県庁やB県警の記者発表に参加が認められていない。そのため、Xはインターネットを拠点に活動をしているが、若い世代を中心に関心を集め、インフルエンサーとして認識されつつ状況にある。
このような状況の中で、仮にXが取材源を明らかにしてしまった場合、そのような情報はインターネット上で拡散していくものと考えられる。特にインターネット上の影響力を有するXの場合についてはその懸念が特に強いものと考えられる。そうなった場合、今後Xに対して取材を受けようと思う人が減る可能性もあり得るものであり、今後のXの取材活動に大きな影響が生じることが予想される。
 しかし、Xは取材に際して乙の工房に通いつめ、乙の家族と自宅にまで執拗に押しかけており、エコフレンドリーという評判が低下し工房経営に悪影響が及ぶことを匂わせるなど脅迫に似た表現を行っている。また、実際の取材においても乙に対して強く証言を迫っているなど、相当性を欠く態様での取材を行っている。
 確かに取材の自由については尊重されるべきものであるものの、それは相当な態様による取材を想定しての話であり、相当性を欠くような取材態様については取材の自由として尊重されるものではないと解するべきである。
一方、本件の裁判において判断を行うためには甲の供述が必要不可欠な状況にある。
 以上を踏まえると、相当性を欠く態様での取材の自由は公正の裁判の実現の要請に劣るものであるというべきである。
2 よって、Xの主張は許されない。


【行政法】C答案
第1 設問1(1)(以下法名は行政事件訴訟法とし、法名は省略する)
1 「法律上保護された利益」(9条1項)自己の権利又は法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者について原告適格が認められる。そして、法律上保護された利益を有する者とは、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合に認められると解する。また、処分の相手方以外において原告適格が認められるかは9条Ⅱに基づいて判断する。
2 法は生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的(1条)とし、市町村においては一般廃棄物処理計画を定め(6条1項)、基本的には市町村の処理(6条の2第1項)とすることを求めつつも、委託事業者等への処理を行うことを許容している(6条2項4号)。こうした法の規定に鑑みれば、上記目的を達成することは一般的公益に含まれることは明らかである。
 一方、法は一般廃棄物処理計画の適合性について判断の上で7条1項の許可を与えることとしており(同5項2号)、当該計画の適合性に合致するか否かを行政庁の裁量に委ねている。そして、上記目的を達成するために当該計画の基本的事項(6条2項4号)についてB・Cの二社に一般廃棄物収集運搬業の許可を与え、大幅な変動がない限り、新たな許可を行わない者とするという内容を規定した。しかし、新市長に変わり、競争性を確保するため、浄化槽の設置件数の推移に応じて新規の許可を可能なものとし、B・Cのみとする規定について削除している。そのため、新計画に基づいて許可の判断を行うことが認められている以上は法が個別的な利益を保護しているとはいえないように思える。
 しかし、法は上記目的を実現するためにおおいて、6条2項1号において一般廃棄物の発生量及び処理量の見込みについても定めた上で一般廃棄物処理計画を策定することを求めているから、一般廃棄物処理計画についてはその趣旨を実現できるものではなければならないと考えることができる。そして、その計画を実現するために同4号の基本的事項についても必要な事項を定める必要があると考えることができる。そうだとすると、法は上記目的を達成するために、過当競争の結果として経営状態が悪化し、一般廃棄物収集業務に支障が生じる事態を回避し、適正な運営を継続的かつ安定的に確保することも要求していると考えることができる。そのため、法はCの個別的利益についても保護する趣旨を含むと考えることができる。
3 よって、Cは原告適格を有する。
第2 設問1(2)
1 訴えの利益とは、判決時において処分を取り消す必要性をいう。処分の効果が失われた場合であっても「回復すべき法律上の利益」(9条1項括弧書き)を有する場合であっても訴えの利益は失われない。
2 本件許可処分は令和4年3月31日が経過することによって効力が失われるものであるから訴えの利益は有しない。
 しかし、本件許可は7条1項によってなされるものであるところ、更新制度が設けられている(7条2項、4項)。そして、更新に際しては当初の許可処分のように7条5項の審査を全て行うものではなく、当初処分があったことを前提としてなされるものである。そうだとすれば、当初の許可処分について取消を行う必要性は失われていないといえ、訴えの利益は失われない。
第3 設問2
1 A市長に裁量権が認められるとしても、重要な事実の誤認又は著しく不合理なものとして裁量権の逸脱濫用がある場合においては違法であるという主張を行うことが考えらえる(30条)。
2 7条5項2号について
 A市では「一般廃棄物処理計画に適合する」という判断を行っているが、当該適合性の判断に際しては、浄化槽汚泥について今後は発生量及び処理量の減少が見込まれる中において、新計画において浄化槽の設置件数の増加、浄化槽汚泥について発生量及び処理量の大幅な増加が見込まれるという事実とは異なる記載がなされている。そのため、重大な事実の誤認があるものとして、2号該当性は認められない。
3 7条5項3号について
(1)A市では「申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りる」と判断をしているが、Dの営業所所在地はBと同一であり、D単独の社屋等は存在せず、Dの代表者はBの営業所内で執務を行い、Dの事業能力はBの存在を前提に確保されているに過ぎない状況にあった。さらにDはBの実弟であり、BDが業務提携契約を行って、Bが雇用する人員が随時Dに出向したり、Bが保有している運搬車をDも使用しているという状況を踏まえると、実質的にBとDは同一視することができ、Bが利益を拡大するためにDを利用する意図があったということができる。
 以上のようにDにおいては単独での事業能力を有しているという実態はないことから、上記判断においては重要な事実の誤認があったといえる。(2)また、上記状況であったにも関わらず、何ら必要な調査を行わずに3号該当性を判断したことは考慮不尽であり、裁量権の逸脱濫用が認められる。


【民法】E答案
第1 設問1
1 BはAに対して本件請負契約に基づく報酬請求を行うことが考えられる。これに対して、Aからは甲は現に修復されていない以上金銭を支払う理由はないと反論することが考えられる。報酬は仕事の目的物の引渡しと同時(民法633条(以下法名省略))に行われるものであるから反論が妥当するといえる。
2 もっとも、本件請負契約は本件損傷により履行不能(412条の2第1項)となっていることから、415条2項の損害賠償請求を行うことによって250万円の支払い請求を行うことは可能である。AはBから再三にわたって甲の保管状態について確認を行い、Aにおいても「問題がない」旨の回答をしていることから帰責事由(415条1項但し書き)があるため、Aの「金銭を支払う理由はない」という反論は認められず、本件請負契約に際しての損害について賠償責任を負うように思われる。
3 しかし、Aとしては641条により解除を行い、損害額を賠償すれば足りるとの反論がなされることが考えられる。
 ここで損害額の範囲(416条1項)としては、債務不履行があった場合の経済状態と債務不履行がなかった場合の経済状態の差額が損害の範囲となると解する。
 本件では未だ請負契約の履行はなされてはいないものの、Bは甲の修復に要する材料費等の費用一切として40万円を支払っているから、当該部分についてが損害の範囲として認められる。
4 よって、BのAに対する請求は40万円の範囲で認められる。
第2 設問2
1 小問(1)
 Dとしては即時取得(192条)により乙の所有権を得ていることから引渡請求をすることが可能であるとの主張をすることが考えられる。
(1)192条の要件のうち、「所有の意思」「善意」「平穏」「公然」については186条により推定され、「無過失」についても188条により推定される。そのため、Dとしては「取引行為」と「占有」を立証すれば足りる。
 もっとも、192条の趣旨は占有という所有権者たる外観を有する者との取引を行った者を保護するものである。そのため、即時取得が認められるためには所有権者の支配領域から離れ流通するに至った物について占有を確立したことが必要であり、占有改定の場合においては未だ支配領域から離れ流通するに至ったとは言えないから即時取得は成立しないと解する
(2)本件の場合、BD間では占有改定しかなされていないことから即時取得は認められない。そのため、Dの上記請求は認められない。
2 小問(2)
 Dとしては94条2項類推適用 により乙の所有権を得ていることから引渡請求をすることが可能であるとの主張をすることが考えられる。
(1)94条は虚偽表示があった場合の規定であるから直接的には適用できない。しかし、虚偽の外観がある場合においては類推適用することが可能であると解する。具体的には、①虚偽の外観があること、②その外観について信頼したこと、③その信頼につき帰責性がないこと、 という要件を満たした場合には94条2項類推適用が可能であると解する。
(2)本件の場合、CB間に虚偽表示はないものの、Dにとっては本件委託契約の契約書を介することで、Cから委託を受けてBが乙の売買権限を有しているかの外観が生じているから94条2項類推の基礎はあるといえる。そして、当該外観があり(①該当)、Dとしては正当な処分権限を信じて本件売買に及んでいるから当該外観を信頼しており(②該当)、何ら帰責性はない(③)ことから、94条2項類推により乙の所有権を取得する。
 よって、Dの上記請求は認められる。


【商法】C答案
第1 設問1
 乙社としては会社法831条1項(以下法名省略)に基づく本件決議取消の訴えを提起することが考えられる。
1 本件総会においてDを新たに取締役に選任する旨の議案の要領を本件総会の招集通知に記載することを請求したにも関わらず、なされなかったことは「招集手続き」に違法があるものとして取消事由があるとの主張が考えられる。
(1)上記請求は305条1項により認められる。甲社は公開会社であるから取締役会設置会社であり、乙社は全議決権1万個のうち1000個という「百分の一」以上について、令和4年6月頃から「六箇月」以上「前から引き続き有する株主」である。また、株主総会の令和5年6月29日から「八週間」前までに当該請求を行っている。そのため、上記請求は適用になされている。
(2)しかし、甲社は乙社の提案を無視しており、「招集の手続」の瑕疵があるといえ、取消事由が認められる。
(3)もっとも、裁判所による請求棄却がなされないかが問題となる。
乙社は1万株のうち1000株を有する株主であり、他の株主に対する影響力も大きいといえる。そのような株主が上記請求をする場合、他の株主の判断に大きな影響を与えることが考えられる。このような事情に照らすと、「重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさない」とはいえず、裁判所による請求棄却は認められないといえる。
2 本件総会においてEの出席を拒んだことは、「決議の方法」に違法があるものとして取消事由があるとの主張が考えられる。
(1)310条では株主の議決権の代理行使を認めているから上記違法があるように思われる。
 しかし、甲社においては代理行使をすることができるのは株主に限る旨の定款の定めがあることから、株主ではないEの代理行使は認められないという反論がなされることが考えられる。
 株主総会における攪乱防止のために相応しくない者の株主総会への参加を防止するという観点から、上記のような規定を定款で定めることは定款自治の観点から許される。しかし、攪乱のおそれがなく、株主の株主権たる議決権の行使を妨げる場合には不合理な制約であるとして定款の効力は及ばないと解する。
(2)確かにEは乙社の社員ではあるものの、Eの職務内容は乙社の決算期における書類の整理のみであり、それ以外に勤務の実態はない状況にある。そうだとすると、EはDの手足として代理権を行使することが必ずしも期待できないように思われる。
 しかし、EはDの子であることから、実質的にはEとDは同一視でき、Dの代理行使を適切に行うことができるものと考えることができる。そのため、代理行使によって攪乱が生じるおそれはないといえる。それにも関わらず、Eによる代理行使を拒絶していることから、「決議の方法」に違法があるといえる。
(3)また、前記同様に請求棄却がなされないか問題があるも、前記同様乙社の株主としての影響力の大きさを踏まえ得ると、請求棄却は認められないというべきである。
第2 設問2
 828条2号による株式無効の訴えを提起することが考えられる。
1 新株発行の無効事由について明文がなく問題となる。
 新株発行の場合には取引の安全性の要請が求められることから、重大な法令・定款違反がある場合に限って無効となると解すべきである。
2 有利発行の場合には株主総会決議が必要であるにも関わらず取締役会決議でなされていることが無効事由とならないか。
(1)「有利発行」(199条3項、201条1項)とは、資金調達ができる限度において旧株主にとって最も低額な価格をいう。
(2)本件の場合、1株当たり20万円が公正な価格である中で、10万円という半値で発行がなされていることから「有利発行」にあたる。そのため、株主総会の決議が必要となるはずである。
 しかし、新株発行は公開会社においては業務執行行為の一部であるといえるし、非公開会社のように持ち株比率維持の要請が強いわけではないことから、株主総会がなされていないことは無効事由にはならないと考えるべきである。そのため、上記無効事由は認められない。
3 通知・公告を行わなかったことについて無効事由とならないか。
(1)公開会社においては新株発行に際して、201条3項・4項に従い通知・公告を行うことが求められている。その趣旨は、210条の差止機会を与えることにある。株式発行の差止事由については株主にとって重大な権利であり、重大な違法があるとして無効事由になると解する。
 もっとも、差止事由がない場合にまで無効とする必要はないことから、会社側において差止事由がないことを立証した場合には例外的に有効となると解する。
(2)本件の場合においては、通知・公告がない以上、原則的に無効となる。もっとも、者側において差止事由がないことを立証した場合には有効となる。
4 以上から、上記乙社の主張は6か月以内に定期すれば認められるものの、差止事由ついて甲社が立証できた場合には認められないということとなる。


【民事訴訟法】C答案
第1 設問1
Yの主張としては、Xは訴えの交換的変更により当初の請求を取り下げしており、民事訴訟法262条2項(以下法名省略)により再訴禁止効が生じることから、改めて当初の請求と同一の訴えを提起しても却下されるという主張をしていると考えられる。当該主張は認められるか。
1 再訴禁止効が及ぶのは、当事者、審判対象が同一であることに加え、訴えの利益が同一である場合であることも要すると解する。再訴禁止効の趣旨は訴えを取り下げた者に対する制裁と濫訴の防止にあることから、再訴を行う正当な利益を有する者についてはこのような趣旨は妥当するものではないためである。
2 本件の場合、確かに当事者はXYで同一であり、当初の訴えは乙建物収去甲土地明渡請求であり、同一の訴えを提起しようとするものであるから審判対象としても同一である。しかし、Xが交換的変更により当初請求からY賃借権の不存在に訴えの変更を行ったのは、Yが真実は乙建物の所有権はYに帰属しているにも関わらず、増改築によって形状が著しく変更されており、乙建物はAら3名の所有に属し、Yは所有していないとの虚偽に起因する。当該虚偽があったため、Xとしては当初請求を維持することは不可能であると誤認し、訴えの取り下げに至っている状況にある。
 このような事情を踏まえると、Xにおいては改めて訴えを提起する正当な利益を有し、訴えの利益は失われていないと考えることができる。そのため、Xの訴えは再訴禁止効が働かない。
3 よって、Yの主張は認められない。
第2 設問2
 Xとしては前訴での和解契約の効力を否定し、改めて乙建物収去甲土地明渡請求をすることが考えられる。
1 和解調書の効力は確定判決と同一の効力(247条)であるところ、既判力が及ぶのが原則である。
 しかし、和解は当事者が相互互譲により訴訟を終了させる手続きであるから、当事者の意思表示の瑕疵については裁判所は介入していない。そのため、意思表示の瑕疵について効力を否定することは許されるものと解すべきである。
 そこで、和解調書の効力は、既判力を基本としつつ、意思表示の瑕疵により取り消すことができる効力であると解すべきである。
2 本件の場合、和解交渉の際にYは丙建物が取り壊されることとなり、今後は自ら乙建物を店舗兼居宅として利用するとの虚偽の説明をし、その結果錯誤に陥った結果やむを得ないものとして和解に応じている。そして、第一審では勝訴しており、控訴審がそのまま継続していれば勝訴したと考えていたことから、当該錯誤がなければ和解に応じることはなかったといえる。そのため、Xは錯誤により和解契約の無効を主張することが考えられる。
3 その具体的手段としては、①旧訴の申立(93条)、②新訴での和解無効の訴えの提起をすることが考えられる。①については旧訴の中の問題を処理するために認められるし、②については旧訴の効力を維持しつつ、旧訴の効力を否定する処理として認められる。


【刑法】F答案
第1 設問1(以下法名は刑法とし、法名は省略)
1 220条後段の「監禁」とは、一定の区画から出ることを不可能とすることをいう。甲は平屋建てで窓がなく出入り口が一つしかない小屋の出入口扉を外側からロープできつく縛り、内側から開けられないようにしたため、Xが小屋から脱出することを不可能としているから「監禁」したといえる。
 そして、Xという「人」について何ら法的根拠なく「不法」に「監禁」していることから監禁罪が成立する。
2 しかし、Xは甲が上記行為を行った午後5時5分からXが戻ってくる午後6時頃までの間に熟睡しており、一度も目を覚まさなかったのであり、監禁された認識はなく、監禁罪は成立しないのではないとの反論が考えられる。  
 監禁罪の保護法益は身体の自由であることから、現実に監禁の事実を認識していなかったとしても、物理的に身体の自由が制約されるような状況にあれば監禁罪は成立すると解する(可能的自由説)。そのため、反論は認められない。
第2 設問2
1 Xを崖から突き落とした行為について殺人罪(199条)が成立しないか。
(1)甲の認識では首を絞めた行為(第一行為とする)の時点でXは死亡したと考えていたが、現実には死亡しておらず、崖から落とす行為(第二行為とする)により死亡の結果が発生している。そのため、第一行為の時点で両行為を一体としてみて「実行」の「着手」(43条1項)が認められる場合には、全体の行為を一つとして殺人罪の「実行」の「着手」があったとみることができる。
ア 「実行」の「着手」があったといえるには、未遂犯の処罰根拠が構成要件的結果発生の危険性のある行為の惹起にあることから、構成要件的結果発生の現実的危険性のある行為に及ぶことが必要であり、その文言からも構成要件に密接的な行為であることが必要である。そして、準備的行為が必要となる場合においては、①準備的行為との間の時間的場所的接着性、②準備的行為との不可分性、③準備的行為の後の障害の有無、④準備的行為の成功可能性から判断を行う。
イ 本件では第一行為の直後に第二行為が行われており(①該当)、第一行為の後に第二行為を行うことを予定していた(②該当)。また、山中の小屋という二人きりの状況にあることから障害はなく、第一行為が成功する可能性が高い状況にある(③④該当)。そのため、殺人の「実行」の「着手」が認められる。
(2)そして、第二行為の結果により死亡結果が生じており、第一行為と第二行為を一体として一つの行為と見る以上、因果関係も問題とならない。(3)もっとも、甲が認識していた因果経過と実際に死亡結果が生じた因果経過が異なるため、因果関係の錯誤が問題となる。
ア 故意の本質は、規範に直面し反対動機の形成が可能であるにも関わらずあえて犯罪行為に及んだことに対する強い道義的非難である。そして、規範は構成要件として一般に示されていることから、構成要件レベルで符号しているのであれば故意を認めることができると解する。因果関係については構成要件の一要素であるから、同様に判断することができる。
イ 本件の場合は第一行為において死亡したという認識と、第二行為により死亡したというずれが生じているが、いずれの行為も人の死亡を発生させる危険性を有していることから殺人の故意を認めることは可能である。
(4)よって、殺人罪が成立する。
2 財布から抜き出した3万円について窃盗罪(235条)が成立しないか。(1)3万円という「他人の物」について「窃取」している。もっとも、甲はXが死亡したと考えているから、「窃取」が認められるか問題となる。
ア 死者占有であっても、その死亡に至らせた殺人犯との関係では占有を観念でき、窃盗罪が成立する。そのため、死亡したと思い込んでいた場合にも同様に窃盗犯の成立を妨げることはない。
イ よって「窃取」が認められる。
(2)窃盗罪が認められるためには不法領得の意思も必要である。すなわち、①権利者排除意思、②利用処分意思が必要である。
 甲はXの3万円について自己のものにしようとしているからいずれも認められる。
(3)よって、窃盗罪が成立する。
3 携帯電話について窃盗罪が成立しないか。
 携帯電話については、犯罪隠滅に使うために持って帰ったものであり、毀棄の意思ではなく②利用処分意思が認められるから窃盗罪が成立する。
4 罪数
 以上から殺人罪及び二つの窃盗罪が成立するが、いずれも併合罪(45条)となる。


【刑事訴訟法】C答案
第1 設問1
 本件住居侵入・強盗致傷の事実(以下事実①とする)に本件暴行の事実(以下事実②とする)に付加して勾留請求する場合、逮捕前置主義との関係で問題となる。
1 逮捕前置主義とは、勾留に先立ち逮捕を前置きしなければならないという考え方である。刑事訴訟法207条(以下法名省略)では「前三条の規定による勾留の請求を受けた…」という文言を規定しており、203~206条の規定による逮捕が先になされることを前提としていることから認められる考え方である。そのため、原則的には逮捕を前置きしない勾留については違法である。厳格な時間制限を課した刑事訴訟法の趣旨を没却するためである。
 もっとも、逮捕前置主義の趣旨は、捜査の初期段階では捜査状況が流動的であることを鑑みて逮捕という比較的短時間を前置きすることに身体拘束が必要最小限となることを図ることにある。そうだとすると、逮捕前置主義を徹底する結果としてかえって被疑者にとって拘束期間が長くなることは当該趣旨に反するものである。そのため、被疑者にとって不利益とならない場合には逮捕前置主義は例外的に適用されないと解する。
2 事実①について
 事実①については9月7日に通常逮捕がなされており、適法な逮捕が先立つ以上違法性は認められない。
3 事実②について
 事実②については逮捕がなされるH地方検察庁検察官Qに送致したにとどまり、適法な逮捕が前置きされていない。このような場合には事実①に事実②を付加して勾留請求することは逮捕前置主義に反するため許されない。
 もっとも、事実①については勾留請求がなされており、身体拘束が継続することが見込まれている。こうした中で逮捕前置主義を徹底して、事実②についても逮捕を行うとすると、甲にとっては身体拘束期間が長くなる結果を招くこととなり、不利益である。そのため、例外的に逮捕前置主義が適用されず、付加については違法とならない。
第2 設問2
1 再勾留が認められるためにはその前提となる再逮捕が適法であることが必要である。再逮捕は認められるか。
(1)再逮捕は199条3項により明文で認められている。もっとも、安易に再逮捕を認めてしまっては捜査機関による捜査権濫用がなされるおそれがあるし、期間制限を定めた刑事訴訟法の趣旨に反する。そのため、①新事情の発生により再捜査を行う必要性が発生したこと、②犯罪の重大性に鑑みて、被疑者の受ける不利益と比較してもやむを得ないといえる事情があること、③逮捕の蒸し返しとはならないこと、の要件を満たした場合に限って再逮捕が認められると解する。なお、逮捕勾留一回性の原則については同時において同罪についての逮捕勾留は一回までとする原則であるが、同罪について異時において逮捕勾留を行うことは同原則との関係では問題とならない。(2)本件の場合、事実①については逮捕・勾留をしたものの、公判請求するのは困難であると考えて、釈放するに至っている。しかし、釈放後の10月6日に別事件で逮捕され、その後の取調べにおいて、事実①について甲乙が相談し、乙が実行した上で甲が換金する旨の役割分担をして犯行に及んだという供述が得られている。このような新事情が発生したことにより再捜査を行う必要性が発生した(①該当)。
 また、事実②は強盗致傷という重大犯罪であることや、甲が本件暴行の事件の際には所在不明になるなど逃亡のおそれもあり、共犯者である乙は未だ発見されておらず、乙に対して働きかける等の罪証隠滅の可能性もある以上、再逮捕を行う必要性は高い状況にあった。
 確かに甲は9月7日から勾留延長期間が満了する9月28日までの一定程度長期間において身体拘束がなされているものの、上記のような再逮捕の必要性が認められる以上、被疑者の上記不利益を踏まえても、再逮捕をするやむを得ない事情があるといえる(②該当)。
 そして、新事情の発生をもとに再逮捕を行っているのであるから逮捕の不当な蒸し返しとはいえない(③該当)。
 よって再逮捕は適法である。
2 再勾留が認められるか。
 再逮捕が認められるとしても、再勾留まで認められるかが問題となる。基本的には上記と同じ判断枠組みにより判断されるべきであるが、上記のように極めて身柄拘束を行う必要性が認められる事情下においては、再勾留についても認められるというべきである。


【民事実務基礎】F答案
第1 設問1
1 小問(1)
 保証契約に基づく保証債務履行請求権
2 小問(2)
 Yは、Xに対し、金220万円を支払え。
3 小問(3)
(1)Xは、令和4年8月17日、Aに対し、本件車両を売った。
(2)Xは、同日、Aに対して、本件車両を引き渡した。
(3)XとAは、本件売買契約の代金の支払いについては、令和4年8月から令和6年7月まで、毎月末日限り10万円ずつの分割払とし、Aが分割金の支払いを2回以上怠ったときは催告等をせずに当然に期限の利益を喪失する旨を合意した。
(4)令和4年10月及び11月の各末日は経過した。
(5)XとYは、本件売買契約についての債務を保証することを合意した。(6)(5)の合意は書面による。
4 小問(4)
(1)必要である。
(2)期限の利益を喪失するのは分割金の支払いを2回以上怠ったときであるから、2回以上支払いを怠っているという事実を立証することが必要であるため。
5 小問(5)
 民事保全法2条に基づき預金債権の仮差押えを行った場合、民事保全法50条4項が準用する民事執行法150条により差押えがなれた登記がなされることとなる。
 もっとも、預金債権にはα銀行が自宅不動産に抵当権を設定しており、当該設定時の銀行借り入れによって預金債権の期限の利益は喪失されていることから、銀行はいつでも取立を行うことができる状況にある。そのため、先立つ銀行が上記差押えの時よりも優先されることとなる。
 Yとしては自宅不動産の時価が3000万円を超えているなど、預金債権に対して抵当権の効力が及ぶ場合には、劣後し、預金債権から十分な満足を得られない可能性もあるから、自宅不動産の時価を明らかにする必要があると考えた。
第2 設問2
1 小問(1)
 ①には「本件車両が補完基準に適合していない」が入り、②には「保安基準に適合している」が入り、③には「本件売買契約の解除の意思表示をした」が入る。
2 小問(2)
 民法123条におると、錯誤取消しは相手方に意思表示を行うことが必要であるためである。
第3 設問3
1 小問(1)
 「取消しをしていない」が入る。
2 小問(2)
 確かに保証人であるYは時効の援用をすることが認められている(民法145条)。
 しかし、Aは遅くとも令和4年9月15日の時点で本件車両が保安基準に適合しないことを知っているにも関わらず取消をしていない。そのため、契約当事者本人としては取消を行う意思はないといえる。そうだとすると、契約当事者の意思を無視して保証人が取消しを行うことができない。
第4 設問4
1 小問(1)
 ⑤には「Yの実印である」が入り、⑥には「Yの意思により押印した」が入る。
2 小問(2)
(1)本件売買契約書にはYの実印が押印されており、処分証書であるから民事訴訟法224条4項により本件保証契約がなされていたことが事実上推認される。そして、当該押印については、実印は原則的に本人が厳重に管理しており本人以外が使用することはないため、押印がなされている場合には本人の意思による押印であると推認される。
 これに対してYとしては、当該押印は冒用によるものであり、前記の推認は認められないと反論する。しかし、Yは賃貸借契約の保証人になるために実印渡した際に冒用したというものの、他の金銭消費貸借や車購入の保証人となることは認めている中で、賃貸借契約という仮にAの賃料未払いにより債務を負う可能性がある賃貸借契約のみ保証人となることは不自然である。Yは月15万円の年金暮らしで生活に余裕がない中で、Aは浪費癖があった中ではなおさらである。また、9日時点の日記で保証は断ったとの記載があるが、本件売買契約は17日であり、その後のAによる説得により考えを変えた可能性もあるから反論として認められない。
 むしろ、上記のような状況であるにも関わらず、実印を預けているということは本件売買契約においても保証人となる意思を有していたと見ることが自然である。
(2)本件保証契約を締結する際にYに確認したところ「Aからも聞いているので問題ない」という回答が得られている。そのため、Yとしても保証人となることを認めていたという事が推認できる。
 これに対して、Yとしては賃貸借契約の保証の話だと思って適当に相づちを打っていただけであり、保証人となる意思は有していなかったと反論する。しかし、「保証」という通常本人とっても重大な影響を与える言葉が出ているにも関わらず、話を理解せずに適当に相づちを打つだけということは通常考えにくい。そのため、保証人となることを理解した上で応対をしていたということが推認される。


【刑事実務基礎】F答案
第1 設問1
1 小問(1)
Vの被害品はリュックの中には財布が入っており、さらにその中にはNKカードが含まれていた。一方、Aが所持していたリュックの中にも同様にNKカードが含まれていた。もっとも、当該NKカードについての名義人が明らかではないところ、名義人がVであるとすればAが所持していたリュックがVの所持品であると結び付けられることから、捜査の依頼をしたものと考えられる。
2 小問(2)
(1)被害品はリュックサックである。そして、Aが当該リュックサックを所持していた。通常リュックサックは流通転々とするものではなく、仮にAが犯人ではないのであればAが犯人からリュックサックを譲り受けたことになるが、犯行が行われた午後8時頃からAが職務質問を受けた午後1時20分の間にそのような移転があったとは考えにくい。そのため、被害品を所持していたAが犯人であるという事が推認される。
(2)一方、Aはリュックサックは午後1時頃にX駅前のバス乗り場ベンチ横のごみは子に捨ててあったもの拾ったものである反論している。これに対して、X駅前に設置されていた複数の防犯カメラにおいてはAやリュックサックは撮影されていなかったことからAの反論は認められない。
 しかし、別の場所で拾ったという可能性を完全に排除することができるものではない。実際、リュックが盗まれた午後8時頃からAが職務質問を受ける午後1時20分頃までの間のAの行動について追えているわけではない。そうだとすると、Aがリュックを拾った場所時間を錯誤しているという可能性も完全には否定できない。そのため、上記事実だけをもって犯人性を断定することはできない。
第2 設問2(法名は刑事訴訟法)
1 小問(1)
(1)甲案について
 確かに82条、207条により勾留理由開示の請求を行うことはできる。しかし、勾留されている被疑者を解放するという目的を達成するためには理由を開示したとしても直接的に達成することができるものではない。むしろ、勾留理由について把握している状況であれば、丙案の対応による方が直接的に上記目的を実現できる手段であるといえる。そのため、甲案にはよらなかった。
(2)乙案について
 保釈請求(88条~)については被告人勾留に関する規定である。Aがなされているのは被疑者勾留であるから保釈請求は認められない。そのため、乙案にはよらなかった。
2 小問(2)
 429条1項2号により勾留の理由・必要性(87条)がなくなったことを理由に準抗告をすることができる。被疑者勾留について被疑者を解放するためには当該方法によるしかないため、丙案によることとした。
第3 設問3
1 強盗致傷が成立するためには反抗抑圧するに足る暴行があり、その結果として傷害の結果が生じることが必要である。Aの以下行為について反抗抑圧するに足る暴行があったかについて検討する。
(1)Aの右手がVの頬と鼻に強く当たった行為
確かにVの目の前に火花が散ったような衝撃があったものの、Aは逃亡しようとして捕まれた左手を振り払って、右手を勢いよく後ろに振った際に当たっただけであり、Aとしても故意に攻撃をしようとしたものではなく偶然的に当たってしまったに過ぎない。実際医師の診断でも特段怪我はないというものであり、攻撃の程度としても小さいものであったといえる。このような状況を踏まえれば、反抗抑圧するに足る暴行であったとはいえないと考えられる。
(2)両手で押した行為
 Aの当該行為にBは尻餅をついて倒れたが、前記同様怪我もなく、反抗抑圧するに足る程度の暴行とは言えない。
(3)足を滑らせて転倒し、足首をひねった行為
 これはAによる直接的な暴行によってではなく、単にVがAを追いかけようとした際に芝生が濡れており足を滑らせて転倒した結果生じたものに過ぎない。そのため、Aの暴行と傷害結果との間の因果関係が認められない。
2 以上を踏まえると、強盗致傷として立証することは困難であり、窃盗及び暴行で公判請求を行うこととしたものと考えられる。
第4 設問4
1 設問(1)(法名は刑事訴訟法として省略、規則は規則とする)
 検察官面前調書は伝聞証拠(320条1項)により証拠能力が認められないのが原則である。例外的に326条による同意があれば証拠能力が認められるが、その不同意を主張している。
 そのため、321条1項2号による伝聞例外が認められるとの主張をすべきである。
2 設問(2)
 309条1項・規則205条1項本文による異議である。他の場面で怪我をした可能性もあるため主張した。


【租税法】A答案
第1 設問1(法名は法人税法)
1 小問(1)
(1)益金
 22条2項によると、甲土地の譲渡価格2,000万円が益金として計上されるのが原則である。
 もっとも、本件売買では時価3,000万円の甲土地について2,000万円で譲渡しており、低額譲渡がなされている。22条2項が無償譲渡の場合においても益金として計上することとの調和から、低額譲渡の場合であっても適正価格との差額分について益金として計上すべきである(南西通商事件参照)。
 そのため、2000万円及び適正価格との差額1000万円について合わせた3000万円が益金として計上される。
(2)損金
 まず甲土地の譲渡価格2,000万円について22条3項1号により売上原価として損金に計上される。
 そして、時価との差額1,000万円については「別段の定め」である34条役員給与として損金に計上されないのではないか問題となる。
 34条1項各号には該当せず、34条1項本文括弧書きにも該当しない以上、役員賞与として損金不算入となる。
2 小問(2)
 Yは上記1,000万円については役員給与であると考えており、その場合には源泉徴収義務(所得税法183条)を負うこととなる。しかし、A社は源泉徴収を行っていない。そのため、納税告知(国税通則法36条)を併せて行っていると考えられる。
第2 設問2(以下法名は所得税法)
1 小問(1)
 60条の趣旨は課税の繰り延べにあり、贈与等により無償で資産を譲り受けた者においては通常所得税を支払うための資産を有していないという実情を救済するための制度である。このような趣旨に照らせば、60条1項1号のいう「贈与」とは無償贈与を指すものであると考えるべきであり、負担付贈与契約は含まれないと解すべきである。
2 小問(2) 
(1)Bの所得税
ア まず本件売買によって生ずる所得は譲渡所得(33条)である。譲渡所得の採用する清算課税説は、所有者が資産を保有している期間における増加益について所有者の支配から離れた際に所得として捉えて課税を行う考え方であり、資産の譲渡に際しては無償有償を問わずに所得として認められる。そのため、本件贈与においても譲渡所得が認めらえる。
イ 本来は譲渡時の時価である5,500万円が36条1項により収入として計上されるはずであるが、2,500万円の金銭支払債務をCが引き受けるという負担付贈与契約をしていることから実質的に2,500万円で譲渡しているのと同視できる。そして、「別段の定め」として59条1項2号・所得税法施行令169条により2,500万円は5,500万円の「2分の1」以下であることから同規定により5,500-2,500が譲渡所得となり、取得費2,000を控除した1,000での譲渡をしたこととなる。
 そして、2,500万円については別途収入として計上される(36条2項)。(2)Cにとっての甲土地の取得費
 Cにとっての取得費は60条が適用されないことから、実際に取得をするに至った負担相当額2,500万円が取得費となる。
3 小問(3)
(1)Bの所得税
 小問(2)同様に考えると、甲土地は取得時時価3,000万円であったものの、うち1,000万円については役員賞与として認定されているから取得費2,000万円であり、小問(2)同様の結論となる。
(2)Cにとっての甲土地の取得費
 小問(2)と変わるところはない。

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