エセ科学に騙されるな
機能性表示食品・サプリメント・健康器具など、眉唾物の商品が世の中には溢れかえっていますよね。
販売会社はどういう気持ちで開発して販売してるのか聞いてみたいものです。
もちろん、プラセボだと割り切って使っているならいいんですが、情報を盲信している人に関しては、日本の教育の失敗だと同情します。
ひどい例で言えば、「ありがとう」と声をかけながら水をやった植物はよく育つ、みたいな話です。
自分が小学校2年生の時の道徳の授業で出てきたんですが、化学を無視して道徳を教えるなんて最悪ですよね。そのカリキュラムを先生が疑わずに純粋無垢な子供たちに教えていることに鳥肌すら立ちます。
電磁波がどうとか、宇宙のエネルギーがどうだとか、そんなのは一種宗教性を帯びてる気がするのでもはやそれとして置いておいていいのですが、一般の人が容易にエセ科学にアクセスできる現状がよろしくないと思うのです。
よく言われる例ではGABAとかコラーゲンとかですかね。経口接種では意味がないと指摘されていますね。例えばコラーゲンは食べてもアミノ酸に分解されしまいます。原料が増えても実際にコラーゲンが合成されるわけではないのであまり意味がない、みたいな話ですね。似たようなので言えば水素水ですね。そもそも製造時に高圧で溶け込ませたとしてもマーケティングの勝利なんでしょうか。
とはいえ、逆に意味がないというエビデンスを自分が見たわけでもないので闇雲に批判もできません。とりあえず水素水の効果について考えてみましょう。
まずはそもそも水素が効果あるのかという点ですが、慶應と東京医科大学による論文がありました。
「水素ガス吸入療法の可能性」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/medicalgases/22/1/22_14/_pdf
どうやら有意な差は出ているようです。ただ今回は吸入という方法をとっているので、水素水には一般化できないでしょう。
そして以下のドキュメントでは、水素水の作用機序については未解明であることに言及した上で、ヒドロキシラジカルに対する還元性に基づき、「動脈硬化症におけるアテロームの増加,糖尿病における脂肪代謝,ストレスによる認知機能低下,薬物 によるドパミン神経細胞の変性,シスプラチンの腎毒性,慢性移植腎症,心臓や肺の放射線障害などがそれ ぞれ改善された」としている。
一方でこの論文で「高濃度水素水」と表現されているものの具体的な濃度は示されていないが、「飽 和 の 1 / 20濃 度 の 水 素 水 を 飲 用 させても神経傷害を改善する」という主張に対するエビデンスが示されておらず、信憑性にかける。
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/perspective_geriatrics_49_680.pdf
そもそも水素の溶解度は非常に低く(1.6ppm)、市販の水素水では溶存水素が検出されなかった例もあるという。
国民生活センターからちゃんと怒られてますね。
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20161215_2.html
いろいろ調べた結果、水素ガスの効果についても基礎研究段階であり、市販の健康増進を謳う水素水にはほぼ効果がないと思っていいのではないかと思います。
こんな感じで大体の「擬似科学」商品はまあ怪しいガチですね。全くないとも言い切れないものからこそ、難しい文句や数値を並べることで一部の消費者を囲い込めるのでしょう。
とにかく、情報を鵜呑みにせず、批判的に物事を捉えることを大切に生きていきたいですね。