理想の職場・・・

今の会社に入社して、早いもので26年が過ぎました。私が入社した当初は、セクハラだのモラハラと言ったハラスメントはまだ世間に認知されておらず、上司は遥か上からものを言い、部下はそれに従うだけ。断ればそれなりの制裁を受けました。今思うと、ゾッとするような考えが当たり前のように思われていた。
有給休暇は、辞める時に使うもの。社内規程に基づき、所持できる有給休暇の日数以上のものは、全て切り捨てられた。風邪は病気じゃない。熱で休んだら、誰が代わりに配送するの?職場で怪我をするのは自分の不注意。お前の不注意に労災なんて使えるか。始業時間の30分前に出勤するのは当たり前。残業は、自分の手が遅いから。それに払うお金はない。飲み会やるから強制参加。不参加の場合は、会費だけ払うこと・・・。
挙げたらきりがない・・今では考えられないような事が、一般的に行われていた。様々な法律の改正により、現在では上記のような事は全く行われていない。まさに、”昔の常識は、今の非常識”となっている。
その現在において、考えさせられることがあります。
私の思う”理想の職場”とはどのようなものなのだろうか。また、従業員の思う”理想の職場”とはどのようなものなのだろうか。
理想の職場とは?と聞かれ、真っ先に思い付くのは、「構築された従業員とのコミュニケーション」かな。
一般的には、多くの方は「従業員とのコミュニケーションがしっかりと行われている職場」と考える方が多いのではないか。挨拶がしっかりとされ、従業員同士の人間関係も良好。私も、そう思います。ただ、一方で偏ったコミュニケーションの構築は、一歩間違えると不平等な扱いが生まれる職場になると考えます。例えば、コミュニケーションの一環と称して、飲み会を行ったり同じ趣味を楽しんだり、全員ではなく一部の従業員とコミュニケーションを構築した結果、同じ時間を過ごし、コミュニケーションを構築した従業員に対し、何かトラブルであったりルールから外れた行為があった時に「これくらい見過ごそう」という考えが生まれ、注意が出来ない上司が出てしまう。コミュニケーションはとても大切。それは分かっている。しかし、偏ったコミュニケーションは、行うべきではないと思う。
かといって、職場の従業員を集め、食事会や飲み会を開催する事は、24時間稼働しているこの職場では物理的に不可能。では、どうすれば平等にコミュニケーションを図る事ができ、公平に勤務する事ができる環境を整える事ができるか。一つの手段として、個人面談の実施。実際に行ってみると、普段は聞く事ができないような悩み事や愚痴、文句なんかを聞く事ができる。
これにより、従業員との距離は一気に縮まった。多くの従業員は、「こっちの話を聞いて欲しい」というのが、すごく強く思っていた。話してくれたことに対し、多くの事は対応が可能であり、その場で取り組みを約束した。しかし、中には出来ない要望もあった。それに対し、「考えてみる」とか、「時間ちょうだい」などと先延ばし的な事を言うと、「だめだこりゃ」と一瞬で信用は失う。出来る事はしっかりと取組み、出来ない事ははっきりと出来ない事を告げる。それが、従業員との信用を深くするコツなのかもしれない。それによって得た信頼関係は、ちょっとやそっとじゃ壊れないと信じている。「あの人に相談すれば、何とかしてくれる」という部下からの信頼。「あいつに頼めば何とかしてくれる」という部下への信頼。私が思う理想の職場環境になくてはならない信頼関係だと思う。
理想の職場にはもう一つあって、「組織の整備された職場」と思う。
会社には、何となくピラミッド型の組織があり、てっぺんには所属長がいて、底辺には作業員がいる。というのが、一般的なイメージではないだろうか。しかし、このピラミッドをしっかりと理解し、取り組んでいる従業員が何人いるだろう。正直、私の所属するセンターには、その意味を理解している者は、ほんの一握りだと思う。組織に従い、何かトラブルがあった時には上長に報告する。これをしっかりと行う事によって、会社の指示系統がしっかりと機能する事が出来る。
この”報告’という単純な事が出来ない事が多い。そんな中、一番起きて欲しくないのが、担当者や部下からの報告ではなく、お客様からのお問い合わせでトラブルが発覚する、いわゆる「情報の逆流」である。これは、お客様からの信用を著しく失墜させる事。この事態を防止する為には、どうしたら良いか。私が上長に報告する時、様々な事を想像する。「なんて言われるだろう」「なんて叱られるだろう」。悪い事を報告する時にはマジでドキドキする。
私が思うに、スムーズな報告が行われるには、部下が上長に対して良い事も悪い事もしっかりと報告がし易い環境を作る事だと考える。特に悪い事は、自身がやらかした事でなくても報告するには勇気がいる。それを、いかにしっかりと報告が出来るようにするか。それには、やはりコミュニケーションの構築が、必要不可欠と考える。普段全く会話の無い上長に報告するのは、とても嫌なもの。日頃から会話がある事によって、相手の人物像や考えが何となく分る。その中で、報告しやすいオーラを出すことによって悪い事も報告してくれると考えます。
色々と書きましたが、私の思う理想の職場は、組織の正常な形成とコミュニケーションの構築された職場。それにより部下は働き易い環境となり、上長は職場での様々な状況を把握する事ができ、トラブルに対して速やかに対応する事ができるでしょう。そんな職場となる事を目指して、日々従業員と向き合っています。


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