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世界の洋上風力発電所の規模を日本と比べてわかった「圧倒的格差」

日英「最強対決」では20倍の大差


ふと思い立って、現在、世界に存在する(あるいは計画中の)洋上風力発電所の規模(設備容量)と日本のそれを比較してみました。

結果は以下の表の通りです。

表・世界の洋上風力発電所の規模比較

・・・いかがでしょうか。規模感の違いを分かっていただくために、表だけじゃなくて、グラフもつくってみました。

グラフ・世界の洋上風力発電所の規模比較

世界といっても大規模なものを実現しているのは現状、ヨーロッパなので日本VS欧州という比較になっていますが、まさに「圧倒的」な差が生じているのがわかります。

この中でも圧倒的に1位のドッカーバンク洋上風力発電所は、イギリスのヨークシャー沖に現在建設中で、一部はすでに発電が始まっています。

高さ260メートルの風車が277基並び、設備容量は3600メガワット(3.6ギガワット)。600万世帯に電力を供給できるというから驚きです。現状、こちらが世界最大規模の洋上風力発電所ということのようです。

表、グラフを見ていただけるとわかるように、イギリスはそれ以外にもホーンジー1・2、ロンドン・アレイという巨大洋上風力発電所を次々と建設しています。

イギリスは国として、2030年までに洋上風力で50ギガワットの設備容量を備えることを目標としているとのこと。日本の風力発電(陸上も含む)の2022年末の設備容量が4.8ギガワットですから、その10倍です。超野心的な数字、と思いきや机上の空論ではなく本当に作っているわけで、さすが現実主義の英国人、という感じがいたします。

ひるがえって日本の洋上風力はどうかというと、国内最大規模の石狩湾洋上風力発電所が2024年1月に商業運転を開始しています。風車14基で設備容量は180メガワット(0.18ギガワット)。ドッカーバンクに比べると20分の1の規模。「最強対決」では、完膚なきまでにイギリスに負けてます。他の欧州諸国の洋上風力発電所と比べても、ずいぶん小規模なのがわかります。

同じ島国なのになぜ・・

風車1基あたりの設備容量でいうと、ドッカーバンクが13~14メガワットなのに対して石狩湾は8メガワットですから、それほどの差はありません。違うのは基数、つまり全体の規模感です。日本も洋上風力の建設がこれから進むと言われていますが、商業運転が本格化するのは2030年代になると言われています。

ここまで見てきて、イギリスも日本も同じ海に囲まれた島国なのに、なぜここまで大きな差が生まれてしまったのか。と、素朴な疑問が沸いてきます。

あるいは日本の一部で巷間言われているように「再エネはお天気次第であてにならない」「やっぱり火力と原発に頼るしかない」というのなら、なぜイギリスはじめヨーロッパの人々は、ここまで超速で洋上風力の導入を進めているのでしょうか。彼らがこぞって愚かだとでも言うのでしょうか。

もちろん、イギリスはドイツと違って原発の利用も継続していますから、必ずしも「再エネ100%で行こう」と言っているわけではありません。が、そんな保守的な側面もある彼らにして、洋上風力はバンバン導入しているというのは、「そこに実利があるから」と考えるのが自然ではないでしょうか。

といったことを、こういった数字の比較などもまじえて今後も考えていきたいと思っております。


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