見出し画像

東京モビリティショー 「脱炭素」アピールで見たトヨタと中国メーカーの差

少し前の話になってしまいますが、2023年10月末から11月初めにかけて東京ビッグサイトで行われたジャパンモビリティショーに行ってきました。コロナ禍で中断されるまでは東京モーターショーの名で親しまれた自動車の一大見本市です。

とはいえ私はマイカーを所有もしていないし、特段クルマ好きでもありません。はっきり言って門外漢ですが、それでも、各メーカーの技術力、デザイン力、戦略などが見比べられて好きなイベントで、これまでも何度か訪問してきました。

今回は特に、こんなブログを始めたこともあり、各メーカーの「脱炭素」戦略はいかに、という視点で眺めてみました。

私がもっとも注目していたのは、自動車販売台数世界1位のトヨタ。もはや日本経済を背負って立つ立場ですから、何を見せてくれるのか気になっていました。

しかし、トヨタの展示には正直、うーん、と思ってしまいました。

メインにドーン!と据えられていたのはSUVのFT-3eや、スポーツカータイプのFT-Seというバッテリー電気自動車(BEV)です。


トヨタのSUVタイプのコンセプトモデル「FT-3e」

なんですけど、これらの性能やコンセプトなどについての説明とかは特になく。すごい人だかりが出来ていて、私も集団心理につられて写真を撮りましたが、何が優れているのか展示を見ただけではわからなかったんですよね。

よし、それなら各社がやっているパフォーマンスタイムで説明を聞こうと待ち構えていたんですが、30分ほどあったこの時間は、すべてダンサーや音楽家たちによるダンス中心のパフォーマンス。しかも、そのパフォーマンスは人々の困りごとをクルマが解決していく、といったお芝居仕立てだったんですが、「月にいるウサギを数えて欲しい!」といった、フンワリとしたお話が多く…。



ダンスが中心だったトヨタのパフォーマンス
「月にいるウサギを教えて欲しい!」の課題をクルマが解決!?

いや、ダンスパフォーマンスのクオリティ自体は素晴らしかったんですが、せっかくビッグサイトまで来たんだから、トヨタの大戦略とか理念の一端でもいいから見せてほしかったな…というのが正直な感想です。

勝手に感じたこととしては、メインのコンセプトカーがSUVやスポーツカーという「重厚長大」一辺倒なラインナップだったことからも、トヨタは「脱炭素」についてはあまり優先的なアピールポイントにしていないのかな、と受け止めてしまいました。EV化を進めるにしても、環境負荷の高い「デカい車」、「速い車」という従来通りの発想で今後もいいのかな、という疑問を覚えました。

環境配慮という点では、使用済みアクリル樹脂を車体に使い、なおかつ小型車である「SUSTAINA-C Concept」をコンセプトカーとして展示していたホンダのほうが積極的に見えました。


ホンダの「SUSTAINA-C Concept」はコンパクトカータイプ

ただ、レクサスブランドのほうでは航続距離1000キロを実現するバッテリー電気自動車を展示するなど画期的な技術も紹介されていました。もちろんトヨタほどのメーカーですから、驚異的な頑張りでEVの開発を進めていることは間違いありません。あくまで今回のモビリティショーにおける打ち出し方、という点ではあまり脱炭素志向を感じられなかった、ということです。

こうした路線は、日本の消費者側の興味のなさを反映してのものなのか、はたまた経営陣の考えが反映されているのか…。しかし、あの革新的なハイブリッドカー・プリウスをつくった会社なのだから、世界が「脱炭素」へと舵を切ろうとしているこの時代にもっと強いメッセージ性を打ち出す余地はなかったのかなあ、と思ってしまいました。

この点、対照的だったのは、いま急速な勢いで世界のEV市場を席巻しつつあるという中国のBEVメーカー・BYDの展示です。


「脱炭素」アピールは明確だったBYDのブース

「COOL THE EARTH BY ONE DEGREE(地球を1度冷やす)」、「TECHNOLOGY GREEN FUTURE Hello e-Life.」といったキャッチフレーズが大画面に表示され、ブースの片隅に置かれたトレッドミルで歩いたm数によって「地球を〇度冷やす」といった結果が表示されるなど、全体的に「脱炭素」や「気候変動対策」に直結するアピールがなされていました

また、パフォーマンスの時間は主にEVのモーター性能をアピールする映像が流され、4輪それぞれが独立したモーターで駆動するため一つのタイヤがパンクしてもコンピューターによる制御でそのまま走行できたり、停車したその場で360度ターンができたりといった、モーター駆動のBEVならではの特徴がアピールされていました。

うお、すごい…と思わされたこのパフォーマンスに要した時間はおよそ7分。「カッコいい」イメージづくり重視に見えたトヨタのダンス30分と比べると、簡潔明瞭・実利的で、その差が際立ちました。

ちなみにBYDのブースには日本メーカーでは時代の変化からか「激減」した薄着のキャンギャルがこれでもか、というくらい大勢いらっしゃり時代錯誤感も満載だったので、BYDの展示が素晴らしかった、とも軽々には言うべきではないでしょう。あくまで「脱炭素」アピールという視点では対称的に見えたということ。

他の日本メーカーも、前述のホンダがもっとも頑張っている感じがしましたが全体的にトヨタと大きな差はなく、BEVは各社展示しているものの「脱炭素」アピールはあまり積極的にしていない、という印象でした。むしろ、今後は自動運転が普及してクルマの中でも映像、音楽、ゲームなどのエンタメが楽しめるよ、的な話がメインなようでした。

まあ、私は今回かなり「偏った」視点で眺めてきたのでこういう感想になってしまいましたが、各社とも営利企業ですし、やっぱり消費者が求めていることをやっていくのが基本なのでしょう。だから、消費者が変わらない限りは大きな流れが変わることがない、ということなのかと思います。言いたい放題の感想を書きつらねてしまったこと、どうかお許しください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?