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シン・ゴジラ 安全保障

Prologue

「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」
小生も50になろうとし、中世の時代であればもう天寿を全うする時期であり、そうなると幸せとは何ぞやと常々思います。
人間は欲の塊なので、あれが欲しいこれが欲しいと思いそれが手に入っても、また別のものを欲しがる。欲望にはキリがなく、欲望を満たすことばかり求めすぎると、全てを貪り、餓鬼・畜生の外道へと堕ちてしまいます。
朝起きて、蛇口をひねれば水が出るお湯が出る。おなかが減ったらスーパーへ行けば食料は沢山売っている。体調が悪い時は病院に行けば薬がもらえ体調が良くなる。
当たり前の事が如何に幸せなのかを思い知らされます。
そんな身近な当たり前の幸せには、先祖先人の苦労があってこそ、今の幸せがあると思います。
お盆・お彼岸の際には先祖を供養し、かつ、国民の生命と財産を守ってくれている国家・国土にも感謝しています。
今、ウクライナの人々は毎日どんな思いで生きているのか?
紛争地帯の人は明日死んでもおかしくない気持ちで怯えながら暮らしていると思うと、改めて安全な国に生まれて良かったととても感謝しています。





Godzilla


2016年に映画館で上映され世界中で話題となったこの映画。
これまでのゴジラシリーズの特撮物とは違い、ロジカルでリアルガチな話。(これまでのゴジラは見たことがありません)

「旧日本海軍の亡霊」と自称する私は、『80年前の戦争でアメリカ軍にも上陸させなかった首都東京をゴジラから守る。その為には何としてでも!』 という玉砕覚悟の思いで観ました。

内容を要約すると、
自衛隊の出動には3つのいずれかの要件を満たさないと出動出来ない

1) 治安出動(通常の治安維持は警察権だが、警察で対応出来ないと判断された場合、自衛隊が出動)

2) 防衛出動(他国に攻撃された際防衛の為出動) 

3) 災害出動(自然災害・害獣駆除の為出動)

 シン・ゴジラはどうだったのか?

 


Story



東京湾沖に突如現れた謎の巨大生物を退治しないといけない。
巨大過ぎて警察では明らかに火力が足りない→治安出動断念 
熊の突然変異等の害獣駆除であれば災害出動できるが、巨大過ぎかつJR蒲田駅からJR品川駅まで池上通り・第一京浜道路沿いの街を破壊しながら進んでいる→害獣駆除どころの騒ぎではない→災害出動断念

消去法で、防衛出動しかないのだが、防衛出動は国際法上の自衛権行使、つまり武力行使を可能とする、言わば切り札である。どうしても慎重になる。
一夜明け、今度は川崎に上陸し武蔵小杉・大田区田園調布・世田谷・目黒・東京駅と首都の高級住宅地を中心にを破壊し続けるゴジラは、「どこかの国の兵器なのか?」という考えもある。
他国の兵器だった場合、日米安保を照らし合わせ、同盟国のアメリカ軍に救援要請を行う必要がある。

これがアメリカ軍から見た同盟国日本を守るための集団的自衛権。

 ゴジラが地球以外の星からやってきた生物の場合、地球全体で地球外生命体を倒す必要がある。

これは、集団安全保障という論理

 集団的自衛権と集団安全保障の違いを理解できる

 英語名では「Godzilla」というスペルになるため、God=神の使い と捉え少し楽しんでいるアメリカ政府の対応も面白く描かれている。

例えば 



米国に救援要請を求めた場合、同盟国である日本がゴジラに攻撃されていると同様の被害が自国に及ぼす可能性があると認められた場合、米国は集団的自衛権を行使し、武力をもって日本を助ける。
ゴジラが地球外生命体とわかった場合、国連安全保障理事会を緊急招集し、集団安全保障を取り決め、地球VSゴジラ という構造に変わる。

それは常任理事国5か国が「拒否権を発動しない」事が前提だが、いくら被害が東京とはい言え、地球外生命体が暴れまわって自国にも被害が及ぼす可能性があるのに、ロシア中国が拒否権を発動するとは思えない。

現実にはゴジラが「ワレワレハコノホシヲシンリャクスル」と明確に攻撃の意思表示をしてくれれば、集団安全保障を組み、地球VSゴジラという構造になるが、単に「ギャオーギャオー」と叫んで暴れているだけでは、それが攻撃しているのか、痛くて泣いているのか地球人にはよくわからない。

だから、この映画では自衛隊が出動するにも、治安出動なのか、災害派遣なのか、防衛出動なのか、その線引きを早急に行う事はとても難しいと描かれている。

 以上の事はガメラも同じ。モスラも同じ。

 

Mission


ゴジラの体内システムは核エネルギー活動が行われている、所謂原子力発電と同じシステムだった。
「原子炉は冷却して温度を下げないと連続使用できない」という欠点を逆手に取って、ゴジラの体温を上げ弱らせる「熱核攻撃によるヤシオリ作戦」に賭けた。



無人在来線爆弾として熱核攻撃を行う京浜東北線・山手線・東海道本線
無人新幹線爆弾として熱核攻撃を行うN700系
「熱核攻撃」で体温が下がらないため弱ったゴジラの口へ血液凝固剤を流し込み、ゴジラの活動を停止させた。


映画シン・ゴジラを通じ学んだこと

  1. 自衛隊の3つの出動要件の線引き

  2. 集団的自衛権と集団安全保障の違い

  3. 核エネルギーを濫用すると放射性核廃棄物からゴジラのような突然変異が生まれてしまうというフィクションな環境問題

  4. シビリアンコントロールの現実・課題

  5. 現状の自衛隊の火力・兵器不足

  6. 3.11以来、「想定外で対応が遅れた」は政府として免罪符にならない 3.11の教訓は生かされたのか?想定外へのロジカルとフィジカルの両面の対応力

を学ぶことが出来ました。

映画「シン・ゴジラ」を観て、かつ、今現在のウクライナをNEWSで見て、憲法について、安全保障について議論する必要があると感じました。

 


Epilogue

列車と言う商品をゴジラ退治のために熱核爆弾に魔改造し日本存亡の危機を回避して頂いたJR東日本の皆さん自衛隊の皆さん、御尽力有難うございました。

破壊される役を簡単に断ったJR東日本とは対照的に、映画開始20分程でゴジラにあっさり粉砕される役を自ら快く演じて頂いた京浜急行鉄道の社員の皆さま、懇ろに感謝いたします。

内閣総理大臣役を務め映画公開から2年後に急逝された大杉連さん、御冥福をお祈りいたします。

川崎蒲田田園調布世田谷目黒大田品川港千代田・東京駅・池上通り・第一京浜道路沿いでゴジラ被災に遭われた方々、御見舞い申し上げます。


筆者の思い


国民の皆さん、若者の皆さん、他国が日本を侵略しても、今の日本の憲法だと先に相手が攻撃しない限り、日本から危険を察知して先制攻撃することは出来ません。それは宇宙人が日本を攻撃する時も同じです。
日本国憲法の大前提である「国民の生命と財産を守る」ためには、明らかに敵が侵略してくると分かったなら、先制攻撃する場合も必要です。
また、地球のどこかで戦争が起きても、今の日本の憲法では戦争を中止・中断させる為に軍隊を派兵することは出来ません。
「自分の国は自分で守る」 が大原則ですが、実情は軍事大国と同盟を結び集団で安全を確保するべきです。その為には強く信頼できる国と同盟を組み抑止力を高め、その同盟国が攻撃された時は日本人も危険を冒してでも同盟国民を助ける覚悟も必要となります。

我が国は戦後80年になろうとしています。
80年前に作られた憲法が今現代の世界情勢に通用するのかしないのか?
通用しないのならどこを変更すればいいのか?を議論する必要があります。
議論にタブーはありません。
闇雲に「憲法改正は戦争につながる」という出鱈目に騙されずに、自分の頭で考えて大いに議論をして、日本を他国の侵略から、かつ、ゴジラから守って頂きたい。
陸・海・空・海兵隊・サイバー・宇宙・第六軍までの編成を頼むぞ日本 




 


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