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変態昔ばなし

☆-HIRO-☆ 番外
2023年12月10日(日)

※お断り
このお話しは「マタギの呪文」と言う特定の人物に向けて作られたものであり、ご本人と彼女をよく知る者以外にはあまり理解できない内容となっております。たまたま目について読まれた方にとっては“一体何を伝えたいのか”と首を傾げたくなる内容である事、どうかご容赦下さい。

ギンギンギンギン
♪ボウヤ〜いい子だネンネしな〜

むか〜し むかし 難波の国に変態をこじらせた、摩訶不思議な妖怪がおったそうな。

エロ話し、猟奇、愛コリ、きのこ叩き、時には廃墟観察などを好むと伝えられる。人畜無害らしいが、夜な夜な広場に現れては、無表情のまま遊具を揺すっているとか。それを見た者は石のように固まってしまうので、決して目を合わせてはいけないと言われている。

カタギの者は関わりを恐れ、妖怪 魔多餽と呼びこれを避け、日々の安寧を願ったと言う。

しかし妖怪魔多餽も生まれ落ちての変態ではなかった。
幼少期に爺さまに抱っこされた様子は純真無垢な姿であったし、10数年前でさえ、普通の姿で写っている。その後何が起こり、何がキッカケとなり変態へと変貌を遂げたのかは今もって謎とされている。

さてある日のこと、魔多餽がお供のハニワを引き連れて散歩していると…何やら子供たちが騒いでいるのに出くわした。
何しているかが気になり、よく見ると何やら白いモフモフした物を蹴って遊んでいる。
散々蹴りあって、もう飽きてきたのか、一人の子供が長い尾を持って振り回し始めた。
それを見て、やっとそれが“シマエナガ”のシマやんだと気付く。慌てて子供たちに駆け寄って話した。
「コレコレわらべよ、何と言う無体な真似をするのだ。お前が手に振り回しているのは雪の妖精とも呼ばれる希少な鳥であるぞ。すぐに放しておやりなさい」
「やだい、変態のくせに生意気言うな。せっかく見つけたのにタダではやられんやい」
「仕方がない。それではこの電動ハニワと交換してやろう」…「うへ、ご主人様ヒドイ!あっしを見限るんですかい」…「ふん、お主は動きが単調でもう飽き飽きしたわ。これも修行と思い新たな技を体得して来るが良い」
じつは、最近 魔多餽は電子瓦版で見つけた超弩級漆黒改に目を奪われて、即 注文したところだった。今まで共に過ごしたハニワの処遇をどうするか、思案していたのだった。
「なんかゴチャゴチャ言ってるけど話まとまったのか? まあ他の遊び道具くれるならこいつは放してやるよ」
「このハニワもたいそうな値打ち物、ぞんざいに扱ってはならんぞ」
「へへん、貰っちまえばどうしようが勝手だろ」…「ひええ、お助け〜」
子供たちは怯えるハニワを手に走り去って行った。

「どうも有難う御座いました」
変態ではあるが、動物は好きな魔多餽であった。
「一体なんで北の国の鳥がこんな所にいたのかえ」
「実は悪徳商人に捕まって、これまた悪代官に売られようとしていたのですが、スキを見て逃げ出したのです。ホッとして一休みしていたら、今度は悪ガキに捕まってしまって…」
「ほう、それは災難続きだったな。これでもう晴れて自由の身だ。達者に暮らすのだぞ」
「お待ち下さい。これから里の北海道まで帰るのですが、よろしかったら、一緒に空の旅に出ませんか」
退屈な日々を送っていた魔多餽には魅力的な提案だった。
「しかしその方の背にマタがっていくのもお主は辛いだろう」
「いえこう見えて結構力はあるので大丈夫です」
「それでは遠慮なく」

こうして魔多餽とシマやんの旅は始まった。
最初は見慣れた町を空から眺めるのが楽しく、魔多餽も子供のようにはしゃいでいた。
しかし、やがて景色も単調になり、奥羽に差し掛かると、森ばかりで関心を惹く物もなく、退屈してきた。
いつもの癖が出て、シマやんの上で体を揺すり始めた。
「ちょっ、ちょっと! そんなに動いたら真っ直ぐ飛べないですよ!」
シマやんがそう注意したにもかかわらず、魔多餽はノッてきて一心不乱に体を揺する。
「ああっもうダメ〜」
シマやんの体は傾き、魔多餽は投げ出されてしまった。

落ちていった場所は山の中腹。
幸い木々の枝がクッションになりどうにか無事に着地した。
しかし鼻を擦りむき赤く腫れてしまい、その上ウルシにでもかぶれたかブツブツとイチゴのようになってしまった。

さて、どうしたものか。とりあえずあたりをウロウロ彷徨い歩く。

少し離れた所では鉄砲かついだマタギ(猟師)が一服していた。
「まったく何も獲物がおらん。これでは正月も迎えられんべや」
その時赤い鼻が動くのを視界の片隅に捉えた。
「おや? 東北のこんな山の中にトナカイだきゃ? サンタが牽かせる内、一頭はぐれたんか。まあどうあれ鹿代わりと思って仕留めるか」
サンタのトナカイかもと思うと、ちょっと心も動揺し、狙いも定まらぬままズドンと一発。
「ありゃ、ハズしたかな?」

なんも考えず、のんきに歩いていた魔多餽(変態)は突然の銃声に驚き、足を滑らせ転げ落ちてしまう。

気がつくと、そこは柔らかい苔や木の葉などがモザイクのように敷き詰められた広場だった。
所々にポッコリときのこが生えている。
もう歩き回ってもどうしようもないし、シマやんが見つけてくれるまでジッとここで待つことにしよう。

する事もないので、手頃な枝を拾い、きのこをポフポフ叩いて過ごす。やがて熱中しだし回りも見えなくなり、頭の中にはギター持った本家どんが現われて、“Stand by me!“と叫んでいた。

魔多餽が我を忘れ、きのこをポンポン叩いてる音を聞きつけ、シマやんが舞い降りてきた。
「大丈夫でしたか?  もう暴れないで下さいよ」

それからは魔多餽もシマやんの背中で大人しくしていたらしい。

雪がチラつきだし、体も凍えてきた頃、ようやくシマやんの里に辿りついた。

シマやんの仲間一同に“命の恩人”と紹介されて大歓迎をうける。
「いやあ、よくぞシマやんを助けてくれました。実にいい人だなあ。変態だけど」
「まったくシマやんも心優しい人に出会えて良かった。変態だけど」

北国の山の幸、海の幸が出されて大宴会が始まり、飲めや歌えの大騒ぎ。

はてさて、その後、魔多餽は無事に難波の国へと戻れるのだろうか。
はてまた置き去りにされたハニワの運命やいかに。

続く…かもしれない。
(ダラダラと長くなり、オチも思いつかなくなったので、気が向いたら続きを書いてみます)


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