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20年前に知った山城に辿り着くまでの戦

人生は、戦なのか…と、最近、あらためて思います。
わるい意味だけではなく、良い意味でも考えています。待っていても始まらないけれど、気持ちを持ち続けながら歩くと、どこかで結びつく日があるようで…

特別かわったことのない人生ですが、最近起きた棚ぼたのお話です。

お城博士、千田嘉博先生が名古屋に拠点を移されたことで、私の20年前の続きが始まったという経緯を書き留めておきたいと思いました。

自己紹介の様な、お手紙の様な…、文体は下手ですが、伝わったら嬉しいなと綴っております。

コロナ禍の頃、少し前から歴史の学び直しを始めました。
学生の頃にちょっと色々とあり、勉強も得意ではなかったのですが、好奇心は強かったので、タイミングがあれば何かと知りたい性格ではありました。
ただ、社会人になると、人生のほとんどが会社での時間に置き換わってしまう。大人になってから出てくる疑問を追求する時間がなかなか作れないです。

かといって、何かひとつでも「知りたい」という気持ちはずっとあり、度々、見たり触ったりして疑問に思ったことを空いた時間で調べて、埋まらない部分を空想する話をしたり。そんな話をすると「そんなに知りたければ、大学に行けばいいのに」と苦笑いされることが少なくなかったです。

学力は、無い。でも、考えすぎる部分があるらしい。仕事や生活に問題はないけれど、なんとなくウケがわるいキャラクター。自覚はしていのですが、性分なので変えられない…。黙々と考えているけれど、調べる時間はない…。ずっと、こんなループで過ごしてきました。

私は女性なので、女友達には部品や構造、素材に関しての疑問は特に嫌がられてた…と、今になって思い出します。当時の私には、服や靴を選ぶ時と同じくらい「すごく気になる!」問題でしたが、気づくと男性と話している方が、話が合いやすい…という流れが出来ていきました。

20年ほど前、お城の話になった時に「お城って、いっぱいあるからね~」と言われて、聞いてみると「山城」なるものがあると知り、「何それ、すごい面白い!」「野営のお城、わくわくする!すごい戦えそうな気分になってきた!作ってみたい~」と感激したのですが、お年頃もあってか、山城デートには連れて行ってもらえませんでした。(あの時、山城を一緒に巡ってくれたならば、信頼して結婚していたのに!夜景デートでは、心を動かされなかった私もおかしいのでしょうか…)

その頃は、素人が山城を楽しむ入口がなかったように記憶していて、周りでも存在は知っているけど、行ってどうするの…という感じで、断念。
地元に、徳川家の立派な城郭があっても、なんとなく「戦のにおいがしない…」という理由で、あまり興味がわかずにいました。そして、仕事に忙殺され忘れて行くことに…。

今になって気づいたのですが、やはり女性だと「戦争」というものに触れることが少なく、戦国時代の漫画や小説、映画にあまり触れていなかったのも、歴史への興味が途切れてしまった理由かもしれないと思いました。
男性は無意識に、成長の過程で小話や人物の名前を聞いて育ち、なんとなく基礎があることに常識の様なところがあります。

ここ10年くらいで、ゲームが先導して男女問わず、一気に歴史への入口が広くなったのを感じていました。ゲームが下手なので、そのブームにも乗ることは無かったのですが、古物商で働いてことがあり、模造刀から真剣、甲冑、槍…陶器や工芸品を「仕事の商品として」業務で触っていたのですが、やはり忙しくて考える時間もなく通り過ぎてしまったことは、今になり惜しい事をしたなと後悔しています。

ただ、短い休みで気になる所へ出かけるのは続いており、お寺、庭、民俗資料館へ、「観光」はしていました。でも、観光で1日終わってしまいます。

転職の時に、何かスキルアップをと思い、デザインコースのソフトウエアの復習・予習を希望したのですが、定員が埋まっており、案内されたのが「建築」でした。
受講の半年で、家を一軒建てられる技術の実技がありますと、熱くオススメされました。パソコンの前でマウスをクリックをして仕事をしていた私としては、筋肉勝負はたぶん無理で…、内容としては、すごく興味があったのですが、通える地域でもなかったので、他を訊ねました。

他に募集が空いているものは「造園」コースとのことで、通えそうな場所。ガーデニングも、植物に触れる仕事をしていたので、ここを出たらホームセンターで採用してくれるかな…花を咲かせるのも面白そう、という軽い気持ちで選びました。

しかし初日、先生が「えー、造園コースにガーデニングと書いてありましたが、今は先生が足りないということで私が呼ばれましたが、私は「日本庭園」のことを少し教えるくらいしかできません。」との説明。
先生の説明では、バラを咲かせるコツや、種を撒く時期、土の肥料などを知ることはできないらしく、かわりに竹垣を作る、松の剪定、ブロック塀の作り方、左官なとが授業内容だと説明されました。洋風ガーデニングの夢が崩れて、半年は土木をするという運命となり、がっかり。

始めは「次の就職に繋がらない…」という落ち込みでしたが、いやいや、私は、お寺や庭が好きで見てたじゃない。工作も基本、好き。長い間、パソコンの前に座って仕事することが長かったので、頭が切り替えられなかっただけで、半年だけ土木を楽しめばよいのでは?と。

しかし、気休めに授業を受講している方も多かったので、定年世代の男性が多く、男性が多いことに不思議はなかったのですが、「モノ作りを男性と一緒にする」というのが、これほど難しいのか!という経験をしました。
全てが初めてで、土木という体力が軸になる仕事ならではの独特さを体験できたのは、しんどかったけれど、今になっては「もう少しやりたい…」と、心残りがあるくらい、未知数な環境でした。

また、短い時間で半端に完結していく授業に「徹底的にやりたい」タイプにはイライラがあり…悔しさが。今でも機会があれば、紐のかけ方くらいはマスターしたいです。

でも、総合的には、とても良い経験をさせてもらいました。
人生で、竹垣を作るとか、なんとか結びの訓練をする。左官職人と喧嘩しながら、塀を作る。坪庭を作る。誰のアイデアを採用するか決める時の異様な空気、男性の嫉妬心が異常に強くて、その後の作業に支障をきたすと、物が仕上がらないという流れなど…初めてが、いっぱいでした。(笑)

さほど大きくない石が、いざ動かそうと思うと、想像以上に重い。男性でも容易に動かせない。三又という道具を使ったけれど、慣れていないと足の上に落ちる恐怖。(幸い怪我人はいなかったですが、事故の多さは想像がつきました。)
ノミで、ほぞ穴を正確に開けるのは難しく、材料が足りなかったり、先生も詳しくなかったり…。毎日が、トラブルでしかないような授業。
ただ、植物の手入れも含めて、土木は奥深いと分かり、かなり魅力を感じました。男性に生まれていたら、土木でインフラの工事に携わりたかったですね。

基本は体を動かすセンスが必要で、同時に頭脳もないとリーダー(指揮者)になれない。あと、技術よりも面倒なのが、人の心を集めることでした。男性同士も譲りませんし、女性の私なんかが班長になった時は…どうやったら動いてもらえるか…。

一度、組立てが上手くいかない時にポイントを指摘したら、目の前のおじさんが、突然キレて、かなり近いところで机に小刀をドスっと刺して威嚇されたことがありました。刺される…怖さ。
「これが鉈じゃなくてよかった…」と思っている自分がいて、刃物道具が身近にある場所は怖いなと。

肉体労働に入ると、空間と道具があるせいか、オフィスの仕事では経験しないイライラをよく見かけました。何度も「あ、ここで怒らせたら、平気で裏切られる…」イコール、怪我をするか、最悪刺されるかも…という空気がありました。(物騒すぎる授業)

長くなってしまいましたが、モノを作ることに付属する様々なトラブルや問題をたくさん経験できたことは、本当に幸運だったなと思います。(ちょっとマゾなので…笑)オフィスでは経験できないことです。

後に山城を考える時に役立ちそうで、あの時はしんどさもありましたが、今は好転ですね。『塞翁が馬』とは…、本当にあるらしいです。

それからも、なんやかんや人生に揉まれまして、突然、病に倒れて「あー、いつもながら運が悪い…」と療養に入って数年。完治は、まだの様ですが、「え、もしかして、今は時間があるのでは?」と気づき…。
ある程度、動けるようになってからは「今までやれなかった事で、何か出来る事」はないかと考えていたところ、「歴史」は心残りだと気づき、学び直しを始めました。

そこから本を買い始めたのですが「時間がかかりすぎる…私の人生は、いつまでかわからない。広く薄くでいい!」と、YouTubeも使い、3年ほどが経ちました。体調がわるいと数ヶ月はお休みなので、少しずつですが。

興味ある所から始めて、途中から通史が必要だとわかり、基礎をうすーく学びつつ、時々に気になっていたジャンルの本を読んでいました。
世間では、日本刀とお城が熱いというのは知っていたのですが、なかなか「戦争」に関することは気が進まず…、しかし、歴史を見てると、戦争、戦争、また戦争!「人間史って、戦争史なの?」と、やっと気づきまして。
歴史を知りたいけど、戦争は好きじゃないし、でも歴史は知りたい!と悩み続け…。

とりあえず、興味があった地層や瓦、陶器のあたりをウロウロしていた時に、千田先生の「山城」を紹介しているのを見て、20年越しに「や~ま~じ~ろ~!」と、心残りだった扉が開いたのでした。

タイミングも名古屋へ拠点を移される時で、県民としてより身近に感じました。番組も探して見るようになり、段々とお城から「戦」に目を向けるようになりました。「英雄たちの選択」も好きで、よく見ます。もう少しで、戦国時代に入れそう!(笑)

まだまだ入口なのですが、世界状況で、本物の戦争を毎日ニュースでみながら、心痛いと共に、戦争は単純なものではないという事実を知り、政治的な複雑さも痛感して、これは今、学ぶべきじゃないのかと思い至りました。

先日、豊田市の講演会に行くことが出来て、わくわくして聴き始めた冒頭に、千田先生が「戦争について」前置きを話されていて、泣きそうになりました。正確な言葉は覚えて居ないので、書くと誤解を招くかもしれませんので記しませんが、歴史を学ぶ時、人の心の有り方を忘れてはいないと思いました。

名古屋での公演も1つ参加できたのですが、お城初心者の私には全てが新鮮で、知識量がないので「へぇ~!」と聞きながら、時々「わ~、ここ…、あとから考えよう。」と、理由について気になることが沢山あり、毎回「課題が増えた!」と、やる気ムンムン(満々?)になって帰っています。

イベントの多くが1時間弱の講話で、何十年も研究してる方が、素人に近い人達も含めて話を届けるのは、かなり難しいだろうなと感じています。そして、皆さんはファンなので、10時間くらいは聴いていたと思いますし…(笑)
詳しい方もいるし、私みたいな素人もいる。でも、どちらにも発見があるように色々な話を入れて話してくださるので、面白かったね~と、帰り道で耳にすることが多いです。
自分に分からない部分の話でも、楽しくお城の話をしてくれる姿に、ほっこりします。千田先生が幅広く愛されキャラなのは、納得です。

歴史と戦争の学びで、学問として得るのは年齢的に難しいため、自分の好奇心に忠実に生きて行こうと思いました。やっぱり、ワクワクが何よりも大事だなと。

最近は、日本刀は本当に斬れるのか?色々な話を、ネットや本で見つつ、キッチンで料理しながら、出刃包丁で手羽先を叩き切ってみたりして…。人間の骨格図を見ながら、ここらへんなら折れる…私も簡単に骨折したし…とか。
女性ならでは…、血に関しては、やや体験が多い為、乾く時間や質感などで…これくらいで斬れなくなるのではないか?などと考えたり。
職場で苦手な人を見ると、接近戦の刀より、槍がいいな…と思ったりします。(想像が物騒ですが、言わなきゃ誰にも気づかれません。書いてしまいましたが!)

堀を登る時に、草履だと後ろがパタパタして邪魔になるよね…たぶん藁草履にスパイクを付ける編み方があるはず!と調べていき、「足半」をみつけて嬉しくなることもありました。あーわかる!ダイエットスリッパやハイヒールの時に、つま先で動く時に付く筋肉はここ!…など、女性視点からしか見えないならば、それでも良いのではないかと思い始めました。

時々、筋肉ムキムキに生まれたら、色々とやってみたいし、見える世界が違っただろうなと憧れます。
歴史は、ほぼ男性史で、戦争史であるという衝撃から、かなり壁があったのですが、地味に実感できそうな所から始めていこうかと。

今は、日本刀の前は…まず、火を焚く薪を切る斧がいる。掘りを作るにしても、食べ物作るにしても鍬がいるから、刀より農具が大事じゃないかな…、と考えたり。
掘る、耕すには、土の種類、感触を触りたーい!道具を作る為に、藁と麻と青苧の感触をそれぞれ試したい!という夢が次々と出てきます。

戦の準備の前の前ですが、ワクワクしています。いつになったら、戦に参加できることやら。頑張ります!

街に住むと、植物のこと、地面のことさえ分からないです。人間関係のことは、街の方が多様に経験できますが、人間は自然から離れたら学べないことを痛感するこの頃です。

数年、瀬戸に居たことがあり、山というのは発見がたくさんあって面白い!土にも色々あるし、釉薬が自然から取れるという当たり前のことも知らないでいたので、未知数な場所。知らない食べ物も沢山あります。
その経験から、現代育ちが歴史を読み解くのは、固定概念を外す所からかも?と、知識がなさすぎて方向が分からなくなることも多いです。

こんな調子ですが、結果的には、過去の失敗が色々と想像力を広げてくれることに感謝しています。
いっぱい体験をして、想像をして、人生での色々なトラブルに合うことも、全部材料のひとつとして考えていこうと。
そう考えると、歴史って自分が生きてること自体が栄養素なので、最高におもしろい学びなのでは!?と、テンションが上がります。

先日の講演で、「この時代に、庭園を造ることが流行った」という話を聴いて、そもそも庭園とはなんぞや?好きで見てきたのに考えたことなかった…。振りだしに戻りつつ、良い話を聞けてよかった!自分では、辿り着けない突破口。

「何故?」「どうして?」が大好物だけど、「当たり前の壁」という思い込みで止まっていて、疑問にも思わないことが多く、研究されている先生たちのお話は刺激があり、とてもありがたいです。

知識量の多さで、研究者、学問を大事にする方々の必要性を痛感します。

決められた仕事をこなすことも社会としては必要ですが、それ以外のことは知っても役に立たないという風潮が苦手で。
好きなことを掘り下げて、楽しそうに話す人は「生きてて良かった~!」というオーラが凄くて、こちらの寿命も延びるので、もっと歓迎されたら良いなと。

鍬の疑問から始めてしまいましたが、早いうちに山城へ辿り着きます!

人生、待ってみるものですね!
まさか、20年待ったら山城がメジャーになっているとは!

千田嘉博先生、考古学とお城の研究を一般に開放してくださり、ありがとうございます!
これからも、応援してます!

遠方でのお仕事が多そうなので、お体に気を付けて。

かしこ


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