駄目なデッキを試そう

「駄目なデッキというものは、いいものだ。実戦で使えないコンボやシナジーの発見が、流行をすぎてしまえば、もう何の役にも立たないものだと思っている人もあるようだが、大間違いだ。ガラクトルシミールでも、根の道の浄化師でも、グリフィンの峡谷でも緑単ペインターでも、時間のゆるす限り試して置かなければならん。通常のリーグに直接役に立たないようなシナジーこそ、将来、君たちのデッキを完成させるのだ。何も自分の知識を誇る必要はない。試して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるということなんだ。カルチュアというのは、いろんなことをたくさん暗記している事でなくて、心を広く持つという事なんだ。つまり、愛するという事を知る事だ。駄目なシナジーなんて、試すと同時に忘れてしまってもいいものなんだ。けれども、全部忘れてしまっても、その試行の、訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。これだ。これが貴いのだ。
駄目なデッキでも試さなければいかん。そうして、その試行を、現状のデッキに無理に直接に役立てようとあせってはいかん。ゆったりと、真にカルチベートされたプレイヤーになれ!」
(「正義と微笑」より「パンドラの匣」を改変
新潮文庫収録)

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