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ビバ!女子旅

コロナがすこし落ち着き、各地で旅割キャンペーンなるものが開催されるなど「対策をしたうえでなるべく外出しましょう、経済を回しましょう」というムードになってからしばらくたったある日。近所に住む夫の妹①(夫には妹が2人いる)から突然、神奈川に住む妹②のところへ遊びに行かないかとお誘いを受けた。
そのころ、体調を崩し休職中だった私。このまま仕事を続けるか、それとも辞めて少し養生するか、悩んでいた時期だった。
一緒に話しを聞いていた夫が、私の代わりに二つ返事で「いいね、行っといで!」と言う。妹も「ほらほら、じゃあ来週、新幹線の切符買いに行こう!」となり、あれよあれよという間に行くことが決定。
聞けば、妹①の娘も一緒だという。彼女が赤ちゃんの頃から毎週のように遊びに行ったり来たり、姪っ子というより娘のように親しみがある子だ。大学に進学していて地元を離れているので、そういえばしばらく会っていない。それはまた楽しそうだ。急にふってわいた話だが、予定の日が近づくにつれ俄然わくわくしてきた私であった。

そもそも、だ。いわば「小姑」との旅行に、もしかしたら、気乗りがしない!やだー!と思う方もいるかもしれない。(偏見?)
しかし私の場合、この「小姑」たちが大好きなのである。ヘタな友人よりもずっと好き。一緒にいて楽しいし、信頼できるし、嫌な感情を抱いたことが一度もない。

私は東北の田舎町に嫁いできた。わりかし遠いところから。親戚もいない、行ったこともない、まったく縁もゆかりもない土地へ。
言葉、生活習慣、もろもろ、本当に同じ日本か??と思うほどショックを受けながら必死に毎日を過ごした。しかも夫の両親と同居していた。義両親はとても良い人たちで、なんの文句もなかったが、やはり最初は辛かった。夫の前で何度泣いたことか。実家の両親にもグチったことは数えきれない。ずいぶん心配をかけたと思う。
そんな私を気にかけ、支えてくれたのが妹①だ。車で30分ぐらいのところに住んでいた妹は、やはり旦那様のご両親と同居する嫁だった。私の不安や苦労がいくらか理解できるのであろう妹はいつも私の味方だった。そして家事育児がすばらしくデキる人だった。「立派に完璧にこなすスーパー主婦」というよりは、「手際が良く温かいおかあさん」だ。特に育児に苦しんでいた私はものすごーく助けられたものだ。
話がそれたが、そんなわけで私は妹たちが大好きなのである。

いよいよ出発の日がきた。電車の中で、久しぶりの姪っ子と並んで座る。背がすらっと高く、スタイルの良い彼女。すっかり女子大生らしくお化粧をして、素敵なワンピースでスタイルの良さが際立つ。あらまあ可愛い。私にも子どもはいるが、男ふたりなのだ。女の子ってやっぱいいわね~。

さっそくおしゃべりに花が咲く。彼女は無事に終えたばかりの就職活動について話し始める。道中長いのだ。たっぷり聞こうではないか。お互いに持ち寄ったお菓子をつまみながら、ときどき窓の外の景色についてコメントしながら。なんと楽しい時間だろう。旅が始まってわずか数時間で、私はすでに超絶楽しかった。あと何日もこんな楽しい時間を過ごすなんて、私どうにかなっちゃうんじゃなかろうか?体力はもつのだろうか?途中で倒れたりしない?そんな不安が頭をよぎるほど、なんかありえないくらい楽しかった。

まずは東京に降りると、妹②が迎えにきてくれていた。東京駅の向かいのKITTEとかいうところで待ち合わせ。なんですか、ここは?ここに来ただけですでに楽しいじゃないか。田舎者の私は、あふれる都会の雰囲気にめまいをおこしそうだ。そして都会っぽいすてきなファッションの妹②。ああ私は今東京にいるのだ!テンションがあがる。
なんでも妹②は、おのぼりさんの私たちのために、ある程度これからのプランを考えてきてくれているという。
★このまま中華街へ行き、晩御飯を食べる。
★そのあと夜の横浜を散歩。なんか夜景がすごくキレイらしい。
言われるままについて歩く私たち。迷わず移動できるのがありがたい。おのぼりさんは大概、電車に乗るだけでも一苦労だし、ただでさえ広い駅構内を迷いながら歩くことで疲れ果てるのだ。われわれは普段、徒歩5分のところでも車で移動する田舎の民。歩くことにそもそも慣れていない。

団体旅行の添乗員よろしく、片手をあげながら颯爽と(それでも恐らく普段よりはゆっくり歩いてくれている)私たちの前を歩く妹②。はぐれものがいないか時折振り返りながら目をくばってくれている。興奮気味に地元の方言丸出しでおしゃべりする私たちに合わせ、一緒に方言で会話してくれる。なんて良い人。この妹②もまた、住まいは遠かったために頻繁には会えなかったものの私の心の支えとなってくれたひとりだ。

おしゃべりに夢中になっていても添乗員のおかげで気が付いたら中華街へ到着。
おおお~なんか見たことあるぞ、このギラギラの門。嬉しい。
すぐに晩御飯の予定だが、一応観光客らしくちょっとは食べ歩きなんぞしてみたい。ゴマがびっしりついた丸いものを食す。あんこが美味しい。あれ何て名前だっけ?ゴマ団子?
そして辺りの雑貨屋などにも寄ってみる。なにを見ても魔法にかかったように楽しい。楽しいが、なにも買わなかった。買わずとも満足。
いよいよ歩き疲れたので晩御飯へ。並ぶのは避けたい。食べ放題の店にしては比較的空いている店を見つけ、迷うことなく入店。
と、ここで妹②の一人娘が学校帰りに合流。学校帰りに中華街で待ち合わせできるなんてさすが都会のオシャレJK。
制服姿にリュックを背負って現れた姪っ子②。あらまあ可愛い(本日二度目)。
彼女は偏差値の高い学校に通っている。髪のまとめ方、アクセサリーのチョイス、ナチュラルだが血色の良いメイク、どれもそこはかとなく上品さが漂う。しかしながら、やはり今どきのJKらしく真っ白なブラウスの襟の開き具合やスカートの丈、自分をきちんと可愛らしく見せる術を知っている。眩しい。眩しすぎる。もはや私はおっさんのようだ。JKがこんなに眩しいなんて。しかし断っておくが決していやらしい目で見てはいない。

お腹も満たされ、夜の横浜を歩く。
港の見える丘公園。なんと美しい。こんな素敵な場所があるなら人々が集まって当然だ。我が家の周辺は日が沈むと人影などない。いるのは野良猫ぐらいのものだ。集まりたいとも思わない。
あまりの違いに、意味もなく(※個人の見解です※)海を眺めている人や、いちゃいちゃするしか用事などないであろう(※個人の見解です※)カップルが私の居住地区の人口よりも多くいるさまを目にしても、さもありなんと思う。
散歩の〆はなんとロープウェイに乗るという。なんですって?ロープウェイと言えば山を登っていくためのものしか知りませんが?こんな都会にそんなものが・・・ありました。
信じられん。何のためにあるのだ?完全にアトラクションではないか。都会はすごいな~。こんな金があるなら私の住んでいる町の公共交通機関をもうちょっと充実させてほしいものだ。一瞬心の中で悪態をつくが、乗ってみれば楽しいったらありゃしない。美しい夜景にうっとりである。

こんな調子なので、滞在中の出来事をすべて記そうと思うと大変な超大作になってしまうからそろそろやめておこうと思う。
いえね、私だって、テレビもスマホも見ていますから。都会がこういうものだってもちろん理解しているのですよ。ただ、実際に来て、感じて、その都会の雑踏の一部に自分がなるということは興奮するものです。

都会のいろいろを味わいカルチャーの違いを肌で感じながらも、単純に心底楽しかったのが「女子旅」だったこと。
滞在中、とにかくショッピングに費やした一日があった。洋服、靴、コスメ、雑貨・・・女子5人、各自あーでもないこーでもないと気が済むまで眺め、購入を迷い、さんざん時間を使って結局買わないとか、そんでさすがに待たせたかな?と思い辺りを見回すと、いやいやみんなまだがっつり物色中だし・・・こういう気楽さ、たまらなく嬉しい!夫と息子ふたりの家庭環境では味わえない楽しさだ。

コロナ渦に関係なく、これまで私はあまり旅行らしい旅行はしてこなかった。今回思いがけず誘ってもらい実現した楽しい女子旅。こんなに楽しいならぜひまた行きたいものだ。
可愛い姪っ子たちと一緒だったのもまた良かった。自分も若返ったような錯覚に陥る。しかしそれは帰宅し、棒のようになった足と急に襲い掛かる疲労を感じたとたん、やはり錯覚だったことを知るのである。

悩んでいた仕事については、旅を終えすっきり気分転換した勢いで辞めてしまった。その後の私の養生ライフについては・・・また機会があれば書いてみようと思う。

ビバ!女子旅!!


#わたしの旅行記


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