かげとも

大人になったいま思い出すと、本当にあったことなのか、それとも子供ならではの空想だったのかわからないが、小学生の頃、僕の影は時々僕から離れて、いつも一人だった僕の遊び相手になってくれた。

一緒に鬼ごっこをしたり、本を読んだり、かくれんぼやジェスチャークイズをしたり。さすがに影踏みは無理だったけど、学校帰りにいろんな遊びをして過ごした。

特にかくれんぼではいつも負けていた。当たり前だ。物陰に隠れられたら見つけようがない。

「ずるいよ」というと、影は笑いをこらえるかのように肩を小刻みに震わせていた。

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