街のリズム

まだ誰もいない早朝の商店街。

音を立てずにそうっと歩く。

しばらくすると、どこかでシャッターが眠そうに開く音。

遠くでぷわーんと遠慮がちな電車の警笛。

まばらな鳥のさえずり。立て付けの悪い雨戸を開ける音。

オーケストラのチューニングのような、街の音の重なり。

そして音はだんだんと増えていく。箒で道路を掃き清める音。自転車のベル。車のウィンカー。駅へと向かう足音の重なり。

チューニングが終わり、その街のいつものリズムが流れ出す。

たぶん世界中の街には、その街だけのリズムがあるんだろう。

初めて訪れた街になぜか居心地の良さを感じるのは、わたしの街のリズムと合っているからかもしれない。

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