細部に惹かれる

例えば同じ紋様が続く欄間の中に、一つだけひょっこり違う紋様が隠れているのを見つけた時。

入れた醤油が桜の形を描く醤油皿。

雨の日、カキモリ 文具店の入口に置いてあった折り畳み傘用の傘立て。

ほんの少しだけ窓側に角度を向けてつくられているロマンスカーの座席。

そんな細部に触れた時、ほんのり嬉しい気持ちが湧き上がる。顔も名前も知らない作り手と、少しつながった気がする。信じられる何かを見つけた気がする。

それはたぶん、作り手が、使う人や見る人のことを、それこそ細かく想像して、こんなものがあれば、こんなことをすれば喜んで、楽しんでくれるかなという想いが細部に込められているからだろう。

細部に触れることは、つくった人の想いに触れること。


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