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小さきものの世界

人間の視点からは雑草とか藪とかひとくくりにされてしまう世界にも、小さく美しいものがたくさん存在する。

花屋さんに並ぶような華やかな姿ではなくとも、わずか数ミリの世界に目を凝らすと、あちらこちらに可憐な花を咲かせる植物が精いっぱい生きている。

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植物も、虫も、動物も、次の世代を残すために生きる姿は本当に美しい。

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小学生の頃、夏休みの自由研究でキアゲハの幼虫が羽化するまでを観察したことがある。この夏、久々に幼虫を見つけたので、子供たちに見せてやりたくて虫かごで飼っていた。すでにさなぎになる一歩手前まで育っていたので、観察を始めて数日でさなぎになった。
そろそろ蝶が出てくるころかなぁ・・・、とワクワクしながら待っていたのだが、ある日、衝撃の事実を知ることになる。 

いつものように虫かごを覗くと、体長3~4㎝くらいの虫がいた。ふたの網目から入れる大きさではない。まさか、と思ってさなぎをよく見ると・・・穴が開いている。
キアゲハの幼虫の体内に寄生したその虫は、アゲハヒメバチという寄生バチだった。幼虫の小さなときに体内に産み付けられ、その成長と共に育ち、さなぎの中で全てを食べつくして成虫となって出てきたのだ。

美しい蝶が成長する過程に、こんな残酷な世界があることを知った。「残酷」というのは平等ではないかもしれない。蝶にとっては残酷でも、寄生バチにとってはそれが生きる手段なわけで、人間の好みで生き物に優劣をつける必要はない。

みんな必死に生きている。私も、あなたも、小さきものたちも。


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