梅の香と天気雨
Ⓚ「ナウシカちゃん。梅のいい香りがするね。もうすぐ春だよなぁ🌸」
Ⓝ そうですね~風さん。春一番はいつ吹くんですかね~♬
私は早くその風に乗って新しい未開の地へ旅に出かけたいですわ!!
Ⓚ 梅の花ってなんでこんないい香りがするんすかね。わしはここに来るたびに、この花たちが散った後に、たわわに実る青い梅を思うんですわ。
Ⓝ また素敵な歌が創作されそうですね!?今度はどんな楽曲になるんですかね!楽しみですわ。
Ⓚ そう、あの、今ね、少しだけ情景が浮かんだんですけれども・・・この梅の咲く丘に二匹の狐が楽しそうにはねてて…
Ⓝ あら。もしかしてさっき見た稲荷神社の狐さんのことかしら?
Ⓚ …かもしれんのんじゃけど、一匹の狐がもう一匹の方にそっと近づいて、このピンクの梅の花を耳に飾ってあげてんすよ💕
Ⓝ まあ!なんて粋なプレゼント!それから?それから?
Ⓚ んで、しばらく二人は梅の木を巡りながら楽しそうにしてるんだけど、やがて時は6月の青い梅の頃になって、空は晴れているのに雨が降ってて…
Ⓝ もしかして、それ、天気雨の「狐の嫁入り」ってことですか!?
Ⓚ うん。ま~そうなんだけど、それがね。そこにいるのは一匹の狐だけで…
Ⓝ 風さん。どうして一匹なのですか?
Ⓚ 女の子の方がね、他の狐のとこに嫁に行ってしも~たんじゃ。
Ⓝ 何ですって!!どうしてですの?なぜ風さんは二人に別れを…?
Ⓚ わしもようわからんのんじゃけどw。嫁に行かざるをえん理由があったんじゃろ。梅の花の花言葉に「忍耐」ってあるから、狐も相手の幸せを想って耐え忍んだんと違うかな?
Ⓝ 切ない(´;ω;`)ウッ…切なすぎるじゃありませんか。なぜハッピーエンドにしてあげないのですか?風さんには失恋ソングなんか似合いませんわ。
Ⓚ じゃけど、人も狐も、「失う」ことで強くなっていく生き物でしょう。わしだって今までいろんなもん失くしてきた。でも失くすことで初めて、大切なことに気が付いて…。人生は常に学びやから。
Ⓝ そうですね。確かに思い通りにならないことで、自分を見つめて内観して、自分は本当はどうしたいのかをじっくり考えるのも大切だとは思います。でもちょっと悲しすぎません?このストーリー。
Ⓚ いやいや。実はまだ続きがあるんよ。6月の青い梅の実をせっせと集めて、嫁いだ彼女の家までその梅を届けに行った。どうか体に気を付けてこの梅を家族の皆さんでと…。
Ⓝ え、え~。人が、いや、狐が良すぎませんか?忘れたいのに忘れられないじゃないですか?未練たらたらでかっこ悪くないですか?
Ⓚ 忘れなくていいんちゃいます?狐が狐を想う。その気持ちに嘘はないでしょ。彼は純粋に忠実に、彼女の幸せを願ったんだと思いますよ!ただ思い出の梅はどうしても届けたかった。彼女と幼い時から一緒に集めていた梅だったから。
Ⓝ ちょっと。風さん。泣けるじゃないですか( ;∀;)。狐くん幸せになってほしいな。どうにかしてあげて下さいな!!
Ⓚ その年の秋。栗の実がなる頃。狐のもとに彼女は帰ってきたんじゃわ♬
やっぱり自分の幸せは誰が決めるものでもなく、自分で決めるものだからって彼女気付いたみたいじゃね!!良かった良かったw(何とかなった💦ワラ)
Ⓝ あら!素敵な展開✨やっぱり風さんは優しさでできてますのね!尊敬いたしますわ。今年は私も梅ジュース作ってみようかしら!
Ⓚ ぜひわしにも分けて下さいwww
(完)
また6月の梅の実がなる頃、ここに戻ってこよっと。
ナウシカ ᵃʳⁱᵍᵃᵗᵒ~(˘͈ᵕ ˘͈♡)ஐ:*
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