ツイノベはここでまとめればいいんだと気付きました(前もまとめてたのに今気付くのです……)

皆様いかがお過ごしでしょうか。
そろそろ暑さも引いて、雨が降ったり曇りだったら、かと思ったらまた暑くなったりとせわしない毎日ですね。
石川県大雨大丈夫でしょうか。うちの前も大雨が降ると水が上がるし真横が川なので全然人ごとじゃないです。震災で水没した地域ですしね……。
無事であることを祈ります。

この間ポッと思いついてツイノベしたのですが、なんと🧡が800近く付けられていました!
そんなに見られたのか! と驚くと共に、とても嬉しくて。
ここでツイノベまとめればいいじゃん? ってnoteの存在を思い出しました。
なかなか書き込む暇がない……のではなくて、他のことに目が行ってしまっていて、ここは優先順位がだいぶ下なのです……。

最近ではXも宣伝ばっかりになってしまったりしているので、もう少し楽しい発信もして行きたいなと思います。


さて。ツイノベをまとめようと思いますので、一気読みしたい方はここでずらっと一気読みで楽しんで貰えたらと思います。

就任した魔王×人間の国の王様


ある日夜が明けなくなった。 朝の時間になっても空は暗く、陽が昇らない。 天変地異かと人間の国では大騒ぎになる。 とある一国の王様は、その夜に心当たりがあった。

『日中は嫌いだ。俺の真っ黒な姿を見られるから。皆キモいって言うから日中には出歩かない』

「……って言ってたヤツがいたなあ」

玉座にだらっと座り、頬杖をついていた王様は、その言葉の主を思い出していた。
黒い髪を長く伸ばし、その瞳は真っ黒。背中にある大きな羽根も、後ろに見えた立派な尻尾も、頭の上にある角すら真っ黒だった。なのに、他に似合う色がわからないと真っ黒な服を着ていたその男。
王様が明るい色の服を着ろと言っても無理だだめだギャーギャー騒いで結局黒い服しか着なかった。
その割に肌は白く、黒との対比が激しかった。下手すると肌が光って見える程に。

「あいつ……もう少しで天候をいじれるって言いながら郷里に帰っていったけど、天候どころか陽まで弄れるのか」

「陛下、このまま陽が昇らなかったら作物が育ちません。灯の燃料など、国中をまかなうこともできないです。どうしますか」

宰相に問われ、王様は頬杖を着いたまま、どうすっかなーと呟いた。
そういえばあいつの郷里って、魔国じゃん。天候をいじれるようになったら王を継ぐって言ってたけど。
ってことは今、魔国の王はあいつってことか。

「……国王の代理、出しといて。俺は魔国の新王就任祝いに行ってくる」

よっこいしょ、と玉座から立ち上がると、王様はじゃ、と気軽に手を上げて宰相が返事をする前にさっさと転移をした。行き先は城下町の中。

「あいつが好きだったのって王都サブレだろ、それから……生のクリームが載ったのも好きだったけど、形崩れないかな。あと、便利屋のペンが一番書きやすいって言ってたっけ」

あいつが好きだったものを思い出して、次々買い込んでいく。 王に就任したら早々この国になんて来れないだろうから。

「夜が明けなくてもたくましく店を開いててくれてよかった」

街は混乱していたけれど、店はちゃんと開店している。夜店のようないつもと違う王都の雰囲気はまるで違う国にいるようで、少しだけ新鮮だった。
大量に買い込んだものを魔法鞄に詰め込んで、王様はさらに転移した。

次の瞬間には、目の前に髪も角も瞳も羽根も尻尾も服装まで真っ黒の男が目の前にいた。
男は目をまん丸にしていた。なんでそんなに驚くのか。
一国の王になったら多少のびっくりくらい笑顔で隠すものなのに。
あんまりに素直な反応に、思わずハハっと声を出して笑ってしまう

「な、な、なんで……」

驚く顔の男は、大きな玉座に縋り付くようにしてビビっていた。

「魔王に就任したんだろうと思って、お祝いを持ってきたんだ。王様同士ならこんな風に祝ってもいいだろう?立場はもう同じだから」
「はぁ?! だからって直に謁見の間に飛ぶなよ!?常識はどこいった!?」「俺が元からこんな性格だっていうのは君は知ってただろ。それより祝いの品を受け取って」

王様はずかずかと近付いて行くと、魔法鞄からつぎつぎと買い込んだものを取り出した。

「あ、これ、俺の好きなサブレ」
「こっちもあるよ」
「特産の果物か」
「あとは君の気に入っていたペン」
「おう……」
「それから、君に似合うと思った服でしょ、君が好きだった場所の弁当、それと、君が一番手に馴染むって言ってた場所の杖、それと、剣と、防具と……」
「待て待て待て。多い。多すぎるから。それに細かい! 一国の王ならこういうのを祝いに持ってくるんじゃなくて、普通は就任おめでとうの一言だろ」
「ちゃんと祝いたいじゃん。それに君が好きなやつ色々探してきたんだよ。陽が上がらないのに店が開いててよかったよ」
「まあ好きなもんばっかだけど! ……っつうか連絡も何もしなかったのに俺が魔王に就任したなんてどこで知ったんだよ……ハァ」
「いや、だって夜のままだから」
「日中が嫌いって言ってたから、もし陽が弄れるようになったら絶対に夜にしたままにするかなって。そう言うのって魔王しか権限ないんだよね」
「そうだな。だから天候弄れるようなった瞬間親父から玉座ぶんどったけど。絶対に陽は上げないからな!」
「君がそうしたいなら」

王様の返事に、魔王は怪訝な顔をした。

「普通そこは止めるところだろ。作物が育たないから陽をあげてくださいお願いしますって」
「君は俺におねだりされたかったの?」
「そっ、ういうわけじゃ」
「俺はね。陽の光にすら負けない君の黒が好きなんだ」

王様は、目を細めて本当に嬉しそうな顔で続けた。

「もちろん夜の闇に溶け込む君も最高にクールで素晴らしいと思うけれど、陽の光の下にあってこそその存在感を周りに知らしめる君が好きだ」
「……褒めたって夜は明けねえぞ!」
「だから、君がそうしたいならいいよ。でも俺は夜だと埋没していいところがなくなっちゃうけどね」
「俺のこの金髪は陽の光があってこそ輝くけれど、夜は煤けた単なる薄い色だ。でも、君が夜に君臨する姿は好きだから、俺のことなんてどうでもいいな」
「いやお前人間の国の王様だろ」
「君が魔王になるっていうから、対等でいたくて王様になっただけだよ。でもなって見ると誓約が多すぎる」

はぁ、と溜息を吐く王様に、魔王は俺の方が溜息吐きたいよ、と顔を顰めた。

「きっと今頃俺の国では俺の捜索隊が結成だれてるだろうね。俺の裁可が必要な書類が滞って統治が進まないだろうね。だから国から出るなって言われて、じゃあ君が魔国に帰ったら会えなくなるじゃんって、その時初めて王様になったこと後悔したんだ」
「俺に……逢いたかったのか? 隅っこで膝抱えてた俺に?」
「そうだよ。その隣に座って本を読むのが一番好きだったんだ。俺の場所はここしかないって思ってた。玉座は俺にとっては息苦しくて寂しくて、孤独な場所だったよ。君の隣じゃないから。並び立てるはずなのに、全然並べなかった」

王様の言葉に、魔王は返す言葉がなかった。
魔王がただの一人の男であったとき、確かにこの目の前の王様が、まだ王という肩書きもなく、ニコニコと肩を寄せていた。
あれは確かに心地よかったし、胸が温かくなった。
自分の存在価値を確かなものにしてくれたのは、この目の前の男だった。

「あ、そうだ。いいこと考えた」

いきなり王様が手をポンと叩いた。 こういうときは、決まって頭が痛くなるようなことを言い出す王様に、魔王は怪訝な視線を向けた。

「いいことって?」
「魔国とうちの国で和平を結べばいいんだね」
「和平……まあ、戦争する気は無いけど」
「うちの国、俺、先王に直に指名されたんだよ。王になれって。ってことは、俺も直に指名していいってことだよね。次の王様にうちの可愛い弟の誰かを指名して、俺は和平の証にって魔国に嫁に来る」
「ハァ!? おま、何言ってんの!」
「え、ダメ?」
「だめって、それお前が俺の嫁になるってことだろ」
「うん、そう」
「気軽に言うなよ...…嫁ってどういうもんかわかってるのかよ。もう二度と国に帰れないかもしれないし、魔族の中に人間一人なんだぞ」
「いいよ。隣に君がいれば。っていうか君がいればあとは誰もいらないし。国民たちすらも。だから、本当は俺、王様失格なんだよ。丁度いいよね」

にこやかにああいえばこういう返しをする王様に、魔王は疲れを感じて盛大に溜息を吐いた。
そして、手のひらで魔力を練り、短く魔国特有の言語を呟いた。

瞬間、ゆっくりと空に陽が登り始めた。 魔王城謁見の間に、ゆっくりと眩しい朝日が射し込む。
その陽の光で、王様の金の髪がまるで王冠のように輝いた。

「……お前は、夜の闇よりも陽の光の下の方がすげえ似合う。でも、誰のものでもなくなる夜のお前も、嫌いじゃない。俺でもお前をとどめておけると錯覚出来るから。本当はお前は、世界を背負って立てる能力があるのに」

独り言の様に呟く魔王の顔は、ほんの少しだけ泣きそうに歪み、次の瞬間にはスッと苦笑に戻った。

「和平を結ぶ。でも、条件は王がうちに嫁に来ること。そうすれば通常通りに陽が昇るようにしてやるよ」  

照れたように目を逸らしながらそんなことをいう魔王に、王様は輝くような笑顔を浮かべた。

「そこはほら、照れずに俺をまっすぐ見て言って欲しかったな」

こうして人間の国は陽の光を取り戻し、新たな王が起った。
ほんの数年の統治で終わりを告げた王様は人身御供の様に魔国に送られ、黒く禍々しい馬車は王様を乗せて走り去った。
けれど、その中に座っていた王様は、本当に幸せそうに微笑んでいたと、王様を見送った国民は誰もが言った。

嫁に来た元王様は、ここまで来てまだ躊躇う魔王を言いくるめて絆して押し倒して襲い受けとなり、幸せで楽しい一生を送ったという。

「ところで陽を弄れるほど魔力が強いなら、俺が子を孕めるような魔法ないの?」
「ってか俺の子産みたいの……?」
「三十人くらい産みたい」
(マジかよ……)


   終わり。

※魔王が夜が明けないようにしたのは、暗いところが落ち着くのと、王様に陽を返してお願いしますって言わせたかったから。でも常識があるから、まず書簡→本人が来いと突っぱねる→協議の末、魔国で王様を歓待、の流れに持っていこうとしてたやつ。全てすっ飛ばして王様単身来たけど。


というわけで、最初から両片思いの襲い受け、押しかけ嫁のはなしでした(^_^)v
王様はすごくハイスペックで、このまま王様業を続ければ賢王とか呼ばれるような存在になりそうな人。
魔王は争いを好まず、自分が何を言われても黙ってればまあ嵐は去るだろ、と思ってるような人。
きっとこのあと人間族の誰かが魔王の悪口でも言おうものなら、戦争を始めるのは王様。そして完全勝利を収めて帰ってくるやつです。

 楽しんで貰えたでしょうか。
 そのうちまた、沢山宣伝出来るよう頑張ります!
ので、これからも沢山私の話で楽しんで貰えたら嬉しいです。

年末に向けて、皆さんゆるゆると頑張りましょう。

朝陽天満

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