見出し画像

舞浜の著作権ネズミに忖度した自由詩

これは
自由詩であることを
意図してはいない
各フレーズを別々の行に書くことは
早く読むことを容易にする
そして,だれでも
いそがしいのである
  いまは

リリアン・リーバー
ガロアと群論
浜 稲雄訳
株式会社みすず書房
©️1979 in Japan by Misuzu Syobo
より引用

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

九月になって

だいぶ涼しくなったので

三途の川沿いを散歩していた。

ふと背後に気配を感じたので

振り返ると

舞浜の夢の国にいる筈の

著作権に厳しいネズミが

三途の川の向こう岸で

手招きしていた。

橋を渡って近づくと、

あっちあっちって

ジェスチャーするので

行ってみると

板バネみたいな金属の上に

チーズが置いてあって

これこれ!って指差すので、

取ってあげようと

手を伸ばしたら

いきなりバチーンって音がして

何かに体を挟まれて

息が出来なくて苦しくて

やだあのひとあそこがちまきみたいになってる

でもでもカッコイイって

思ってたら、

それまで無言だった

著作権ネズミが口を開いて

「どうせアナタ、

このままオシャカになるんだから

その前に夢の国に連れて行ってアゲルwa」

と言って、

三途の川と此岸彼岸の薀蓄を語り始めた。

我々が居る此岸は、

どこかのブラックホールの中に

在るのだという。

どういう事かと云うと、

事象の地平面の内側に

存在するので、

どこかの宇宙の

どこかのブラックホールの中であっても

外側から観測することができず、

それ故に存在する事が

許されるのだという。

カー・ニューマン解によって

導き出された宇宙は

ドーナツ形なので

中心部(重心)は

到達できない別空間で、

其処に特異点がある。

我々は

ドーナツの内側にいて、

外側に出られないので、

どこまで行っても

果てが無く

特異点には

永遠に到達できない。

そして

楕円曲面体の内側故に

全体を見渡すことは

出来ない。

ドーナツは特異点を中心に

回転しており、

角運動量・質量・電荷という

3つの物理量を持ち

事象の地平面の外側を並進する

時間および回転という

2つの等長可変群の

作用を受けている。

ブラックホールの外側の宇宙では、

吸い込まれようとするあらゆる物は

しばらくの間、

事象の地平面の外側にある

降着円盤上を回転しながら、

徐々に事象の地平面に近づく過程で

(角運動量を増大させながら)

その質量を増やしていき

やがて、

事象の地平面のわずかに外側にある

エルゴ領域に到達し

光速を超えたとき、

無限大の質量に耐えられなくなる。

すると

全ての原子は

原子核を崩壊させながら

素粒子に変化していき、

事象の地平面の内側に消えてゆく。

その現象を我々の側からは、

宇宙の果てから飛んでくる

ニュートリノとして観測できる。

なお、

外の宇宙のエルゴ領域上で

光速を超えた一部の質量は、

ブラックホールを脱出できる速度を得て

ブラックホールの

極方向に飛び出すジェットになり、

再び宇宙を漂う星間ガスに戻る。

ただし、

飛び出すジェットの一部は

エルゴ領域上で

原子核が崩壊して素粒子になっているので、

飛び出す途中で、

構造の再構築が起こり、

ほぼ全てが水素原子になる。

つまり、

吸い込まれる前の

あらゆる質量が、

エルゴ領域上の光速を超えた後に

水素原子になることは

エントロピーが減少することであり、

時間を遡り過去に戻ったことを意味している。

光速を超えると過去に行けるタイムマシンは

この現象に他ならない。

ドーナツ宇宙と降着円盤は、

極方向に同じZ軸を持つが、

その回転は逆であり、

スピン量子数は

+1/2

-1/2

+1/2ⅰ

-1/2ⅰ

いずれかの値となる。

量子数の組み合わせが

(+1/2、-1/2ⅰ)または、

(-1/2、+1/2ⅰ)の場合、

等長可変群の中で

もう一つの群(部分群)をつくる。

この場合、

実数項だけを選んで加法を行うと

あり得ないことに

偶数が生まれ、

これらの偶数だけで

群に対する4つの要求を満たす。

なぜかといえば、

1、偶数の和は偶数

2、0は単位元

3、任意の整数の逆元は

  それに対応する負の偶数であり、

  その平行根は虚数

4、結合の法則が成り立つ

従って、

(+1/2、-1/2ⅰ)、

(-1/2、+1/2ⅰ)の群は

不変部分群である。

重要なのは、

それらが

極大不変真部分群としての性質を持ち、

それ自身が

より不変部分群が存在しないような

大きな値の場合に

降着円盤上の質量の

等価慣性モーメントが

ブラックホールの引力に

吊り合うベルトルを

常に再構成しながら、

その半径と角速度を

維持できるという事である。

時間の経過に従い、

宇宙はブラックホールに吸い込まれ

徐々に小さくなり、

逆に、

我々のドーナツ宇宙は大きくなり、

ついには、

外の宇宙は

降着円盤だけになる。

そして、

降着円盤自身も

ブラックホールに吸い込まれ

消えてしまう。

ここまでの話は、

それ以外の座標・それ以外の

宇宙の存在を否定しない。

つまり

上で述べたような出来事が

それ以外の世界でも起こり、

降着円盤とブラックホールだけの宇宙が

複数存在しない可能性を

否定する。

それらお互いの座標は

独立しているので、

自由な向きのまま、

お互いの引力で引き寄せあい、

近づいてゆく。

このようが現象が

幾層にも重なる宇宙の中で

無限多数に発生し、

微小な確率で、

Z軸がぴったり180°反転した

二つのブラックホール宇宙

(降着円盤とブラックホールだけの状態)が

近づき重なることがある。

このとき、

二つのブラックホール宇宙の

並進する時間および、回転という

2つの等長可変群の作用により

ドーナツ宇宙の角運動量の和が

ゼロになり、

お互いの降着円盤の角運動量の和も

ゼロになる。

すると

角運動量を失ったドーナツ宇宙は

特異点に向かって落ち込み、

降着円盤もドーナツ宇宙に向かって

落ちてゆく。

ちょうど原子爆弾の爆縮レンズのように、

ドーナツ宇宙の収縮を、

降着円盤が外側からつぶしてゆく。

そして、

全ての質量が特異点に集まり、

全ての質量と素粒子が

特異点に集中したとき

エントロピーはゼロになる。

この状態が

ビッグバン直前の火の玉宇宙の姿である。

この先の

一つの宇宙が生まれ成長してゆく姿は、

我々は既に

現代宇宙物理学から導き出している。

生命の誕生に似ている。

テロメアを減らしながら

成長してきた命を旅立った

卵子と精子が出会い、

新たな命が生まれる。

新しいテロメアに守られながら

新しい命が成長してゆく。

超次元的存在が見守る宇宙の姿

宇宙+宇宙=新しい宇宙

卵子+精子=新しい命

1+1=1の奇跡

無限の宇宙は曼荼羅

永遠に繰り返す虚実が紡ぎだす

真実と虚偽の世界故に

あらゆる事象を包括できる慈悲

・・・・・・・・・・・・・・・

ここまで話して

饒舌な舞浜著作権ネズミは

僕に向かって最後にこう言った・・・

君はあと少しで

事象の地平面の内側にある夢の国に

吸い込まれることになる。

向こうの世界で君は

一つ残らず君を

悲しませないものを

君の世界の全てにすればいい

そして僕は途方に暮れる

いいなと思ったら応援しよう!