忘らえぬ記憶
どれくらい前の夏だろうか、
ネット上に蠢く好事家達のハートを鷲掴みにした女性がいた。
私も一発でやられた一人だ。
彼女の名前はザクザクババア(川)
彼女をひと夏の思い出にしたくなかった、、、
とある街道沿いに彼女はいる。
彼女の側を離れずに源流を目指すと
地蔵堂からは民家横の細い路地の側溝を流れ
上り坂が未舗装の道に変わり
大通りの喧騒が虫の鳴き声に変わる頃
誰もいない、名も知らぬ谷戸にたどり着いた。
そこは雑草が伸び放題の小さな公園で
コンクリートブロックの壁の隙間から
彼女の最初の一滴は始まっていた。
彼女は最初から最後までコンクリート側溝を流れていた。
ザクザクババア(川)
貴女の本当の名前とこの場所を私は知っています。
ここは狭山丘陵で貴女の名前は夕日台川
たとえコンクリートに囲われても
流れ続ける水だけは昔も今もこれからも
あの谷戸から湧き出る清冽な水でありますように、、、
残堀川との合流地点に建つ地蔵堂でそうお参りして
貴女をあの夏の思い出にして来た、ただの季節の変わりめの頃
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