青春の離れ島 私とPretty Liar

私がデレステを始めたのは2019年10月である。初めて引いたSSRのカードは限定のハロウィン南条くんで、これ以来南条くんを特別視している。正しく言うと、このカードを引いたのはちょっとした運命であると敢えて思いこんで、わざとらしく贔屓目で南条くんを応援するようにしていた。

というのも私がデレステを始めた理由はキャラゲーの楽しみ方を知るためであるからだ。かつてポケモンをやっていた時分対戦以外に全く興味がなく、グッズを一つも持っていなければ好きなポケモンもいなかった。私にとってポケモンはタイプと種族値という二つのデータが与えられたもので、対戦に勝つための道具に過ぎなかった。そういう楽しみ方しかできない自分を不満に思っていた。

デレステは私にキャラクターそのものを好きになるきっかけを与えてくれるのではと期待していた。だから初めて引いたSSRの南条くんには不自然なまでの関心を持とうとしたのだ。

デレステを始めてからアンインストールするまで私はデレステのことしか考えていなかった。高校から帰ってきたらまずニコニコ動画のアイマスカテをチェックし、一通り動画を見終えたらpixivで「デレマス」の検索をかけて寝るまで見続けていた。当時(2019)の新しい絵より、デレマスの勢いが最もあったと考えられる2015~2016(アニメやってた頃)の絵ばかりがpixivに流れてきて切ない思いをしていたことを記憶している。精一杯デレマスを堪能していたが特別好きなキャラができることは無かった。今に至るまで特別なキャラクターは自分の中にいない。私はシャニマスの桑山千雪をアイコンにしているが自信をもって担当ですみたいにいうことは出来ない。Twitterで他の千雪Pを見ると如何に自分の気持ちは薄弱であるかを痛感させられる。

そんな中でも私の記憶に強く残り続けているものの一つがPretty Liar(以下PL)である。まず曲がかっこよすぎる。選曲画面で流れるサビがヤバい。「もう一人のわたし もう恋してる証」なんてことだ、歌がうますぎる。久々に聞いたら鳥肌が立ってしまった。私は曲を一回聞いただけでははまらないのだがこの曲は別格である。MVの黒く輝くメイク部屋、衣装、そしてダンスこれらすべてがセクシーで私を魅了した。これだけほめているが私は曲の2番を聞いたことがない。当時の私は自由に使えるお金が無かったのでCDは夢のまた夢だった。お金を掛けるという発想が無かった。この記事を書き終えたら買う予定である。

PLのコミュを読み衝撃を受けたことは覚えてたのだがデレステはいまアンインストールしていて読めない。したがって細かいことは書けないが印象に残っていることはある。コミュ内で楓は「ありのままの姿を見てほしい」と本音を漏らすがそれを聞いた奏がキレる。デレステのコミュはいつも仲良し、時には切磋琢磨みたいな緩めの話ばかりだと思ったので初見時は驚いた。奏がキレるのは二次創作ですら珍しいし、楓のその後の対応も高垣楓至上最もかっこいい(デレのコミュは滅多に読まないので簡単に”最も”とか言ってはいけないが本当にかっこいい)。コミュを読んだ後、多くのプレイヤーはミステリアスアイズを意識する事を避けられなかっただろう。それほどPLのコミュはユニットの2人に迫っていた。

ここからは急に私の話になってしまうが容赦頂きたい。私の高校は学年の20%が現役で東大に行くいわゆる進学校なので高校2年生の時には既に受験で目をぎらつかせている友達が多かった。私は周りの流れに完全に流されてしまうタイプなので勉強や受験のことを強く意識するようになると同時に、それ以外のことを考える事に罪悪感を抱くようになってしまった。デレマスに捧げていた時間は罪悪感そのものだったので、理由をかこつけてアプリをアンインストールした。

また受験勉強で、明確な理由や動機がなければ時間を掛けても身にならない勉強があるということを強く実感した結果、明確な理由が存在しない作業をする事が出来なくなってしまった。例えばデイリーミッションとか周回がより辛くなった。誰もありがたがってやっていないが私には一層つらい。ソシャゲが主体のデレマスを再びプレイする事はもう出来ないくらい作業がつらい。この作業している時間で身になることや楽しいことをする時間が奪われていると考えると酷い喪失感に襲われる。さらに私は常に脳汁が出るものしか好きになれなくなった。勉強やサークルでの運動は将来につながる可能性があるため面白くない瞬間があっても続けることができるが、アイマスのようなサブカル系の趣味は面白くて感動をくれる存在ではあるものの、言ってしまえばそれでお終いなのでやっていてつらい時間が存在したら掛け値なしで好きになることは出来ない。

デレステをやっていた時もシャニマスをやっている時も、「今画面に写っているアイドルは知らない人たちが作り上げた偽物だ」と思ってしまい苦しい。こういう事を卑屈に思って得する事は一切ないのに、どうしても止まらない。私はキャラゲーに向いていない。間違いなく。

それではなぜ今でもアイマスを続けているのか、それは自分の余計な思考をぶっ飛ばすぐらいの凄い曲とユニット、すなわちPLとミステリアスアイズみたいなのが出てくることを期待しているからである。思い出補正もあるかもしれないがPLのような私の思考を超えて否が応でも感動させるエネルギーを持った何かを私は欲している。PLを聞いている間、余計な事は一切頭に思い浮かばない。そこにあるのは自分の鳥肌と確かな感動だけである。

長かった受験勉強が終わりアイマスに復帰した。大学生になってからお金を手にし、ライブに行ってみたが正直に申し上げると期待していた感動が無かった。楽しかったが卑屈なことを度々考えてしまった。満足できなかった理由として席が悪かっただけかもしれない、曲の知識が足りなかっただけかもしれない、色んな「だけかも知れない」を満足できなかった理由として考えたがそれを乗り越えられるほどの爆発的な感動をライブは持っていなかった。PLは持っている。

再度言うがPretty Liarを聞いている時の自分の気持ちに噓はないと断言できる。いつ聞いても鳥肌が立つし感動する。また高校生活を彩ってくれたものとしての、所謂思い出補正が乗っかっているのも大きいだろう。間違いなくデレステは高校生活の一部で青春だった。

これからも私は爆発的な感動を得るためにライブにもイベントにも参加する予定である。ただPLに相当するものに出会える自信がない。高校生の内に、いや受験勉強が始まって思考や趣味が変わる前にライブやイベントに行っておきたかった。気持ちの面ではアイマスを楽しみたいのだが自分の理性はもう受け入れてくれない可能性がある。

今後、第2のPLに出会えなければ私が中学高校でアイマスに捧げてきた時間が浮かばれない。文章を書いたらこの寂しさが楽になると思っていたが、実態が浮き彫りになって余計寂しくなった。このままではPretty Liarがくれた思い出や感動は、私の人生の中で他の何とも結びつくことはないだろう(経験値として生かされることはない)。もしくは忘れて消えてしまうかも。

Pretty Liarは今年で4周年を迎えるという。私に青春と感動をくれたこの曲に感謝を送りたい。いつかセトリがPretty Liarだけの100%実現不可能なライブをやって欲しい。そうしたら始めから終わりまでMAXの爆発的な感動を抱くことができるから。声優とキャラクターをどう見たらいいのかが未だによくわからないのでMRでやってほしい。

企画と素敵なホームページ制作をして下さったはやかわめぐるさんに感謝致します。

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