名詩鑑賞

BUDS MONTAGE / 舐達麻(prod.GREEN ASSASSIN DOLLAR)


https://www.youtube.com/watch?v=zaBp1Jh3Bkc&vl=ja


6月、夢の中

万葉の歌人は現代にも生きていた。彼らは故郷を、自然をただ愛し、亡くなった友に想いを馳せる。彼らは祈る。それらの言葉を極めて叙情的に、雄大に詠っている。彼らの詩から感じる哀愁、ノスタルジイの正体は、千年前の遺伝子の共鳴に違いない。

BADSAIKUSH

上を見て 振り返る 繰り返しては 下を見て探してた半透明な 結晶 聞こえなくなった右耳や左腕の静脈に溶けていった

言葉遊び。上下左右を散りばめながら、多分覚〇剤やってた時のことを思い出している。

刺した針の数が今に水を刺し嫌気が刺した

覚〇剤の縁語である”刺した”からうまく慣用句を繋げ、それを辞めたときのことを歌っている。この辺りはとても修辞的で、口に出してみると面白い。

zigzagの裏巻き 願い事のようにリリックを書いて

このロマンチシズム。まさにこの歌詞は願い事である。

2、3日後体が空く 家まで迎えに行くからよまた 会おう

これは死んだ104に向けた言葉で、寂しくてまた会いたくなるのを”体が空く”と表現したと解釈。彼らはきっとマリファナを吸っている時、104に会いに行ってるのでしょう。

俺は俺だが お前と俺で 俺になる

”お前”は死んだ友達(104)のこと。彼の心の中で、104はまだ生きている。

G-PLANTS

殻を破り役回りはむいていく風上 根元から絡まりつき刈り取りした塊 

K音の重韻が心地よい。

降りしきる雨の中 飛沫揚げた羽ばたき 空を舞う でけぇ羽振り よくする羽振り

H音とS音からなる主調は6月、霧のような空気を思わせる。

神の施し 寄せて返す 俺の所に

美しすぎる例え。月夜の海岸、女神と二人きりの詩景が浮かぶ。


感想

古今和歌集 仮名序にはこんな言葉がある


花に鳴く鶯、水にすむ蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。
力をも入れずして天地を動かし目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女の仲をも和らげ、猛き武士の心をも慰むるは、歌なり。

古今集「仮名序」

これこそまさに、冷徹なハスラーですら慰むる歌ではなかろうか。

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