The Guardian 書評


2024年4月11日

Study sheds light on the white dwarf star, likely destroyer of our solar system
4/9: 研究は太陽系の破壊者である可能性が高い白色矮星に光を当てる
ウォーリック大学と他の大学の研究者が行った研究では、燃料をすべて燃やし尽くした末期の星である白色矮星が、太陽系などの惑星系に与える影響を調査した。白色矮星に近づく小惑星や衛星、惑星は、その大きな重力によって次第に砕かれていき、最終的には塵となって白色矮星に吸い込まれる。地球は太陽が白色矮星になる前に飲み込まれる可能性が高いとされているが、他の太陽系の天体は白色矮星に破壊される可能性が高い。

2024年4月18日

4/16:イギリスで露骨に性的であるディープフェイク画像の生成が犯罪となる
イギリス法務省は、露骨に性的であるディープフェイク画像の生成が犯罪となることを発表した。人工知能の進歩により性的なディープフェイク画像の生成が促進されていることを鑑みて、昨年には性的なディープフェイク画像の共有は既に犯罪となっていた。それに続く形で本法律下では、生成者が共有を意図していたかに関わらず、同意なしに画像を生成した者は犯罪記録と無制限の罰金を受け、画像が広く共有された場合は、刑務所に収監される可能性もあると定めた。野党内務長官は発表を支持し、多くの場合で女性が自主性やプライバシーを著しく侵害されるこのような犯罪は容認できないと述べた。

2024年4月25日

Next pandemic likely to be caused by flu virus, scientists warn
4/25:次のパンデミックはインフルエンザウイルスによって引き起こされる可能性が高いと科学者が警告
来週末に欧州臨床微生物学・感染症学会会議で発表される国際的な調査によると、上級疾病専門家の57%が近い将来起こる新たなパンデミックを起こす病原体としてインフルエンザウイルスを挙げたことが分かった。鳥インフルエンザであるH5N1型インフルエンザは、最近では家畜を含む哺乳類に広がり、特にこれまでかからなかった牛にまで感染したことは衝撃を与えた。このことは家畜との接触により、人間に感染するリスクを高めていると言え、ウイルスに対する自然免疫のない人間は莫大な影響を受ける可能性がある。しかしながら、H5N1型ウイルスに対するワクチンは既に開発されており、ワクチン生産の規模やスピードといった物流の問題のみであるとの考えもある。

2024年5月2日

Healthy lifestyle may offset genetics by 60% and add five years to life, study says
4/30: 健康的な生活習慣は、遺伝学を60%相殺し、寿命を5年延ばす可能性があると研究は述べている
寿命の長さが遺伝に影響されていることはよく知られており、また、生活習慣の要因、特に喫煙、飲酒、食事、運動が寿命に影響を与える可能性があることもよく知られている。しかし、これまで、生活習慣要因が遺伝的要因をどの程度相殺できるかについての研究は無かった。学会誌「BMJ Evidence-Based Medicine」に掲載された研究によると、生活習慣に関係なく遺伝的リスクの高い人は21%早期死亡のリスクが高く、一方で遺伝的リスクに関係なく不健康な生活習慣の人は78%早期死亡のリスクが高いことが分かった。結果として、早期死亡の遺伝的リスクは好ましい生活習慣によって62%相殺され、遺伝的リスクの高い人であっても、好ましい生活習慣であれば40歳時点の平均余命を5.22年延ばすことができると述べている。また、最適な生活習慣として、禁煙、定期的な運動、適切な睡眠時間、健康的な食事が挙げられた。

2024年5月9日

‘I’ve been robbed of my dreams’: the sporting tragedy of the war in Gaza
5/7:「夢を奪われた」、ガザ紛争がもたらしたスポーツの悲劇
イスラエルからの攻撃とガザでの戦争が、多くのパレスチナのスポーツ選手にとって悲劇をもたらしている。17歳の左ウイング選手、モハメド・アブ=フジャイルもその一人である。彼はレアル・マドリードのスカウトに招待され、スペインでのサッカーアカデミーでのプレーとプロ契約のチャンスを得ていたが、その夢は10月7日の攻撃で絶たれることとなった。現在彼は、アル=サラーハ・フットボールクラブの避難キャンプで過ごし、サッカーのトーナメントでささやかな慰めを得ているが、家に帰ることもできず苦しい状況にある。この戦争で多くのスポーツ施設やクラブが被害を受け、スポーツを楽しむ機会が奪われていることに加え、ミサイル等の攻撃により多くの選手や指導者が犠牲となっている。このような状況が続く中、パレスチナオリンピック委員会のナディール・アル=ジャヨーシ氏は、スポーツ施設が標的となることで、スポーツ活動が10年間ストップする可能性があると懸念を示している。

2024年5月16日

研究によると、インターネットの使用は世界中の人々の幸福度の向上に関連していることが分かった。研究では、インタビューを通じてインターネットアクセスと利用に関する質問と、生活満足度、社会生活、やりがい、地域社会の幸福度などの8つの幸福度の関連性について調査を行った。結果として、インターネットアクセス、モバイルインターネットアクセス、および利用は、さまざまな幸福度の指標を高めることが示され、インターネットにアクセスできる人の方が生活満足度の指標が8.5%高いことが分かった。しかし、因果関係が証明されていないこと、インターネットの利用時間・利用方法が調査されていないことが指摘されている。また、インターネットが完全に安全なものとはいえず、単純に幸福度の高さを引用し、潜在的なリスクを無視してはいけないことが強調されている。

2024年5月23日

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究では、親は性別に関係なく子供の学力を過大評価する傾向があるものの、特に数学においては息子の能力を過大評価する割合が顕著であることが明らかになった。テストの成績では、女子は読解力で1.7%、男子は数学で0.6%高い点数を取っていたが、男子では親が成績を過信する傾向にあった。このバイアスは高学歴の母親、女性の多い職業に就く母親では緩やかになっていた。親の過大評価は子供の能力を高める傾向にあり、そのために男女の能力に差が生まれている可能性がある。

2024年5月30日

Alarm as German climate activists charged with ‘forming a criminal organisation’
5/23:ドイツの気象活動家が「犯罪組織の形成」で起訴され、警鐘を鳴らす
ドイツの環境活動家グループ「Letzte Generation」の5人のメンバーが「犯罪組織を形成した」容疑で起訴された。5人は2022年4月から2023年5月にかけて行われた製油工場での汲み上げステーションの停止、ベルリン、ブランデンブルク空港での滑走路の封鎖、バルベリーニ美術館での絵画の損壊といった抗議活動について起訴を受けた。活動家らは、抗議活動はすべて公然と行われ、責任を持ち、非暴力で行われたと主張し、今回のような厳しい法律の適用に異議を唱えている。起訴はドイツ刑法第129条に基づくもので、非暴力抗議組織に適用されるのは初めてとなる。被告らに有罪判決が下されれば「Letzte Generation」は禁止組織となり、関連する活動も犯罪となる可能性がある。公民権運動家は、今回の起訴について事実上、将来的な気候運動への支援が犯罪とみなされる可能性があると述べている。

China’s Chang’e-6 probe lands on far side of the moon aiming to return first samples to Earth
6/2:中国の探査機「嫦娥6号」が月の裏側に着陸し、最初のサンプルを地球に持ち帰ることを目指す

2024年6月6日

中国の月探査機「嫦娥6号」が月の裏側にある南極エイトケン盆地への着陸に成功し、サンプル収集に成功したと国営メディアが報じた。嫦娥6号は5月3日に打ち上げられた53日間のミッションの一環で、月の表面と地下からサンプルを採取する計画だ。今後2日以内にサンプル収集を完了し、その後、前例のない月の裏側からの打ち上げを試みる予定だ。月の「ダークサイド」は、このエリアのクレーターは古代の溶岩流によって覆われていないため、月の形成に関する研究に大きな期待が寄せられている。中国の「宇宙の夢」計画は習近平指導下で急ピッチに進められており、過去10年間にわたり宇宙計画に多大なリソースを投入し、宇宙ステーション「天宮」の建設、火星や月へのロボット探査機の着陸といった成果を上げている。一方、猛追されるアメリカは中国の宇宙計画が軍事目的を隠すためのものであり、宇宙での優位性確立を目指していると警戒している。中国は2030年までに有人月面探査を計画しており、月面基地の建設も視野に入れている。対してアメリカも2026年までにアルテミス3計画で再び宇宙飛行士を月に送る計画である。両国の競争はその激しさを増している。

2024年6月13日

欧州議会選挙では、気候科学を否定する政党の政治家が増加し、汚染削減を迅速に進める政党が減少した。4日間の選挙結果は未だ確定していないものの、極右政党が躍進し、緑の党は約4分の1の議席を失う結果となった。ヨーロッパの極右政党はグリーン・ディールに反対するという点で一致しているものの、副次的な問題として扱っており、極右政党の支持者の多くが気候変動の科学を受け入れていることから、これらの政策が完全に撤回されることはないと予想されている。しかし、気候政策のさらなる強化には影響が出る可能性がある。既に中道右派の欧州人民党は、一部のグリーン・ディール政策への支持を撤回しており、次の欧州委員会の議長は議席を多く失った緑の党からの圧力をさらに受けにくくなる見込みである。選挙結果は、有権者が気候問題よりも経済、移民、戦争に関心を持っていることを示しているが。クリーンエネルギーへの投資を加速し、気候中立への道を確保することが求められている。

2024年6月20日

Electrical brain stimulation can ease heartbreak, study finds
6/16:脳への電気刺激によって失恋を和らげることができると判明
恋愛の別れの感情的な痛みは非常に深刻であり、愛のトラウマ症候群(LTS)という独自の臨床名があるほどである。LTSは、精神的苦痛、うつ病、不安、不眠症、気分のむら、強迫観念、自殺のリスクの増加、不安感、無力感、罪悪感を引き起こす可能性がある。これまでの研究で別れや死別の経験には神経心理学的な関連性があり、特定の前頭前野が関与していることが指摘されていた。今回の研究では、経頭蓋直流刺激(tDCS)ヘッドセットを5日間1日2回20分間装着し、前頭前野の2つの部位に対して電流を流すという実験を行った。結果として、刺激、特に背外側前頭前野への刺激によってLTS症状が軽減され、実験後の抑うつ状態と不安の改善が認められた。治療終了1か月後も被験者の状態は継続しているという。感情の調整には認知行動療法などの効果的なアプローチもあるが、すべての患者に効果があるわけではなく、関係する脳領域を直接治療する方法は有用であるのかもしれない。

2024年6月27日

今年のメッカ巡礼は最高気温51.8℃を記録し、その猛暑により1,081人の死者が報告されている。メッカ巡礼はイスラム教の5つの柱のうちの1つであり、資力のあるすべてのイスラム教徒が少なくとも一度は完了しなければならないとされている。今週、メッカのグランドモスクでは最高気温51.8℃を記録し、その猛暑による死者が問題となっている。犠牲者の半数以上は高額な公的許可証を買う余裕がなかった巡礼者である。サウジアラビア当局は何十万人もの未登録巡礼者を一掃したと報告していたが、儀式には多くの未登録巡礼者が参加していたようだ。未登録巡礼者は、登録者のために用意された空調の効いた空間にアクセスすることができなかったため猛暑の影響を直に受けたものと考えられる。メッカ巡礼の時期は現在の暦で毎年約11日遡るため、来年はより涼しい条件で行われる見込みである。しかし、夏にメッカ巡礼が行われる予定である2047年から2052年、2079年から2086年にかけて熱によるストレスは「極度の危険闘値」を超え、「世紀が進むにつれて頻度と強度が増す」可能性が指摘されている。


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