水火既済(63)・・・良卦といわれるひとつ

「既済」とはすでに整った、すべてが完成した卦

★何故、良い卦といわれるのか?
①陽と陰が「正位」を得ている。
 (初,3,5爻が陽。2,4,上爻が陰)
②陽と陰が応じている。
 (初ー4が陽と陰、2-5が陰と陽、3-上が陽と陰)

既濟、亨小。利貞。初吉終亂。
既済は、亨ること小なり。貞しきに利ろし。初めは吉にして終わりは乱る。
きせいは、とおることしょうなり。ただしきによろし。はじめはきちにしておわりはみだる。
(どんなに小さいものにでも願いは通る。動機が正しいことを条件とする。初めは良いけれども、最後には乱れる——完成の後には必ず未完成の時が来る——。)

『新訂 現代入門 ―開 運 法―』(井田 成明=著、明治書院)より
既済=完成。ものごとがすでに整う意。
上卦=坎・水
下卦=離・火
水が下がり、日が上って相和、すべて用が終わったことになる。

はじめは良いが、後半は難しくなる。だんだん心が離れていく。

<初九>「其の輪(りん)を曳く 其の尾濡らす咎なし」
前進しようとする車を引き戻す。
川を渡ろうとする狐が尾を濡らして渡れない。
慎重にしていれば災いはない。
用心すること。
進むは不可。
慎重にすること。

<六二>「婦(ふ)其の茀(ふつ)を喪う(うしなう)
逐(お)うことなかれ 七日(しちじつ)にして得」
婦人が車の覆いをなくしてしまった。
探し求めなくても七日すれば自然に戻ってくる。
一時は失望するが、遠からずかなう。時を待て。

<九三>「高宗 鬼(き)方を伐(う)つ
三年にして之に克(か)つ
小人は用うることなかれ」
高宗(殷の王、武丁)が西北方の賊(犬戎けんじゅう=異民族)を
討ったが三年かかってやっと平定した。
小人は起用しない方が良い。
小人の意見を取り入れれば失敗となる。
大事を行うには慎重に。

<六四>「繻衣袽(じゅいじょ)有り 終日戒(いまし)む」
舟底の浸水にはぼろ布で防ぐ。一日警戒を怠らない。
難船の恐れ。既済の卦の半ばがすぎた乱れの兆しのとき。
形あるものは滅するの時。
(のみ【衣=袽/船=筎/×𦀌/×袽】 とは?
ヒノキやマキの内皮を砕いて柔らかくしたもの。舟や樋 (とい) などの材の継ぎ目につめこんで水漏れを防ぐのに用いる。のめ。まいはだ。)

<九五>「東隣(りん)の牛を殺すは西隣の禴祭(やくさい)にして実(まこと)に其の福(ふく)を受くるにしかず」
禴祭(古代中国で、天子が行った祭礼の名)

東隣では牛をいけにえにして盛大な先祖の祭りを行うが
西隣は質素な祭を行う方がかえって多くの福をあずかることになる。
殷王の徳がない。心を合わせて引き締めて行くがよい。
虚飾はいけない。

やく

<上六>「其の首(こうべ)を濡らす 厲うし」
川を渡るに深すぎ、頭まで深みに落ち、濡らしてしまった。
溺れる危険がある。安定は久しきを得ない。
「みちればかくる」は世の習い。





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