ディスコ

ディスコは、AI用の高性能メモリ(HBM)製造に不可欠な後工程装置、特にウェーハーの薄化や形状加工に使用されるグラインダーで高いシェアを持っています。

ウェーハーの薄化や形状加工に使用されるグラインダーで高いシェアを持っているというのは、ディスコが提供するグラインダー装置が、半導体ウェーハーの加工市場において広く採用され、多くの顧客から信頼されていることを意味します。具体的には、以下のような点が挙げられます:
ウェーハエッジグラインダー:ウェーハの端を研磨する際に使用され、ウェーハの品質向上に貢献します。
ウェーハ表面研削盤:ウェーハの表面を平滑に加工するために使用され、製造効率の向上に寄与します。
これらのグラインダーは、半導体デバイスの製造において重要な役割を果たし、ディスコはこれらの装置で市場における高いシェアを確保しています。市場の成長動向としては、半導体産業の成長や技術革新の進展により、ウェーハグラインダーの需要が増加しており、自動車産業や電子機器市場の拡大も、ウェーハグラインダーマーケットの成長を後押ししています
また、「TAIKOプロセス」というディスコ独自の技術があり、これはウェーハを研削する際、ウェーハ最外周のエッジ部分を残し、その内周のみを研削して薄化する技術です。このプロセスにより、ウェーハの取り扱いや後工程でのダイシングが容易になり、歩留まりの向上にも寄与しています
ディスコのグラインダー装置は、これらの特徴により、半導体製造業界で高い評価を受け、市場でのシェアを拡大しています。

半導体製造プロセスにおける「中工程」という概念は、従来の前工程と後工程の間に位置する新しい工程を指し、ウェーハーのバックグラインドやダイシングなど、チップをパッケージングに適した形状に加工する工程を含んでいます。

ウェーハーのバックグラインドやダイシングとは、半導体チップをパッケージングに適した形状に加工するための重要な工程です。以下にそのプロセスを簡潔に説明します:
バックグラインド(Backgrinding):
ウェーハーのバックグラインドは、半導体デバイスが形成されたウェーハーの裏面を薄くする工程です。
これにより、ウェーハーはデバイスとして搭載する際に薄く、軽量であることが求められるため、50~70μm程度まで薄化されます
ダイヤモンド粒子を含んだ砥石で削り、所定の厚さになったら裏面に次のダイシング工程に備えてキャリアテープを貼ります
ダイシング(Dicing):
ダイシングは、ウェーハー上の個々のチップを切り分ける工程です。
最も一般的な方法は、ダイヤモンド粒子が付着したブレードを高速回転させ、ウェーハ上のスクライブラインに沿ってチップを切断するものです
レーザーを用いる方法もあり、これにより精密なカットが可能になります
これらの工程を経て、ウェーハーは個々のチップに分割され、パッケージングのための基板に固定され、外部電極との配線接続が行われます。その後、樹脂で成形され、最終的なチップ製品として完成します。この一連のプロセスにより、半導体デバイスは電子機器に組み込まれる前に、適切な形状とサイズに加工されるのです

ディスコはこの中工程においても、その技術力と製品で市場に貢献しており、AIチップの高度化に伴い、その重要性が増しています。日本の半導体製造装置メーカーは、AI市場の成長とともに、世界的にもその地位を確立しているのです。

ディスコは、半導体製造装置の分野で高い技術力を持つ企業です。

特に、**Kiru(切る)、Kezuru(削る)、Migaku(磨く)**という3つの精密加工技術に特化

しており、これらは半導体や電子部品の製造に広く活用されています。
Kiruは、シリコンウェーハなどの半導体材料をブレードダイシングやレーザダイシングによってチップに切り分ける技術です。
Kezuruは、ウェーハのバックグラインドやダイシング後のエッジ処理など、材料を削る工程に関わる技術です。

ブレードダイシングとは、専用のブレード(ダイヤ砥粒の入った刃)を使用して、焼結材などを加工する方法です。この切削加工では、ブレードが加工物を削り取ることで加工を行います。ブレードの種類には、レジンブレード、メタルブレード、ビトリファイドブレードなどがあり、それぞれ特徴が異なります。加工時には、カットスピードやブレード回転数、切り込み量などの条件が重要になります

一方、レーザダイシングは、レーザーのエネルギーを利用してダイシング加工を行う方法です。レーザーダイシングには、レーザーアブレーションダイシングとステルスダイシングの2種類があります。レーザーアブレーションダイシングでは、高エネルギーのレーザーをウェーハに照射し、蒸発・昇華させて切断します。ステルスダイシングでは、レーザーをウェーハの内部に集光させて改質層を形成し、その後外力を加えて個片化します。レーザーダイシングは非接触加工であり、ウェーハへのダメージを抑えながら加工が可能です。
ブレードダイシングは、スピンドルに取り付けた極薄のダイシングブレードを高速回転させながらウェーハーを切断する最も一般的な方式です。この方法はウェーハーと砥石の摩擦による熱の発生や加工くずを除去するために冷却水を噴射しながら切断が行われます。
一方で、レーザーダイシングは、レーザーを使ってウェーハーの一部を蒸発・昇華させて切断する「レーザーアブレーションダイシング」や、ウェーハーの内部にレーザーを集光させて改質層を形成したうえで外力を加えて切断する「ステルスダイシング」といった技術があります2。レーザーダイシングは非接触加工であり、ウェーハーへのダメージを抑えながら加工が可能ですが、特定の材料や複雑な構造を持つチップの加工に適しているため、一般的なブレードダイシングと比べて特殊なケースで使用されることが多いです
したがって、一般的なウェーハー加工にはブレードダイシングが広く用いられていますが、レーザーダイシングもその特性を活かして特定の応用分野で重要な役割を果たしています

Migakuは、ウェーハやチップの表面を磨き、滑らかにする技術で、高品質な半導体製品を作るために不可欠です。

ディスコは、これらの技術を用いて、特にAI用の高性能メモリ(HBM)製造に必要な装置を提供しています。例えば、SiCなどの高硬質素材向けのチップ分割装置や、ユーザビリティと省スペース化を実現したオートマチックグラインダ「DAG811」など、革新的な製品を開発しています
ディスコが開発したSiCなどの高硬質素材向けのチップ分割装置とオートマチックグラインダ「DAG811」について、以下のような特徴があります:
チップ分割装置(DDS2020):
SiCやサファイアなどの高硬質素材に対応したフルオートダイセパレータです。
新しいブレーキング機構を採用し、低荷重での分割を可能にしています。
ブレーキング荷重を計測し、グラフ表示することで、未分割チップの検出と歩留まりの向上を実現しています。
ブレーキングのためのテープフレームの貼り替えが不要で、工数とコストの削減に貢献しています

オートマチックグラインダ「DAG811」:
「DAG810」の後継機として開発され、ユーザビリティと省スペース化を実現しています。
装置内レイアウトの最適化により、ホイール交換が容易になっています。
モニタサイズを拡大し、新GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を採用することで操作性が向上しています。
インフィードとクリープフィードの2つの研削方式に対応し、化合物半導体などにおいても良好な研削結果を実現しています
これらの製品は、ディスコの技術力の高さと、半導体製造における革新的な取り組みを示しています。特に、AI市場の成長に伴う高性能半導体の需要増加に対応するために、これらの先進的な装置が重要な役割を果たしています

また、ディスコは研究開発にも力を入れており、新しい材料や技術の開発に取り組んでいます。これにより、半導体の小型化や薄型化、さらには硬質素材の加工など、今後の半導体市場のニーズに応えることができるようになっています
ディスコの技術は、半導体製造の各段階で重要な役割を果たし、AI市場の成長とともに、その需要はさらに高まることが予想されます。日本の技術力を代表する企業の一つとして、ディスコは世界市場での競争力を維持し続けています。

ディスコの主なライバル企業としては、東京エレクトロンやレーザーテックが挙げられます。これらの企業も半導体製造装置の分野で高いシェアを持ち、ディスコと競合しています。ディスコは特にダイシング装置において世界シェア率70%を誇り、半導体製造に欠かせない優良企業として知られていますが、この分野での競争は非常に激しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?