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エアコン普及率、SpaceX、液体冷却ソリューション、ARMのデータセンター向けの戦略

エアコン普及率

エアコンの普及率に関する情報ですが、2021年のデータによると、欧州のエアコン需要は8,885千台で、前年比は102%となっています。一方、インドネシアでは2017年時点でエアコンを所有している家庭は全体の20.52%であることがわかっています。インドに関しては、具体的な普及率の数値は見つかりませんでしたが、酷暑によるエアコンの使用急増が報告されており3、今後の市場拡大が期待されています。
これらの情報から、涼しい地域である欧州ではエアコンの必要性が低いため普及率が10%程度に留まる一方で、暑い気候のインドやインドネシアではまだ普及率が一桁パーセントと低いものの、将来的には市場が大きく伸びる可能性があると考えられます。特に人口が多いこれらの国々では、エアコン市場の拡大が見込まれており、大きなビジネスチャンスがあると言えるでしょう。

日本の家庭用エアコン市場では、ダイキンが18%のシェアでトップを維持しており、パナソニックが15%で2位、日立が13%で3位、東芝が11%で4位、三菱電機が9%で5位となっています1。業務用エアコン市場においては、ダイキンが約40%のシェアで首位を占め、三菱電機が約25%で2位、日立が約10%で3位、東芝キャリアが約8%で4位、三菱重工が約8%で5位、パナソニックが約5%で6位となっています
世界市場に目を向けると、ダイキンは売上高でトップの位置にあり、2017年には2兆2906億円を超える売上を記録しています。一方、世界のエアコン販売台数シェアでは、中国企業が上位を占めており、珠海格力電器が20.6%で1位、美的集団が14.7%で2位、ハイアールが10.8%で3位となっています
日本のエアコンメーカーは、国内市場の成熟に伴い、海外市場での展開を強化しています。ダイキンは積極的なM&Aを通じて、世界トップの空調機器メーカーへと成長しました。日立製作所、東芝、三菱電機も、海外企業との提携や買収を進めており、特に欧州市場でのシェア拡大を目指しています。
今後のエアコン市場は、エネルギー効率と低温室効果を両立させる次世代の冷媒物質の開発が求められており、AIを活用した省エネ技術や故障予知技術の進化が期待されています。また、日本のエアコンメーカーは、海外市場でのシェア拡大に向けた競争が激化しており、国際的な展開がますます重要になってきています。最新の市場動向を踏まえた上で、日本のエアコンメーカーは今後も世界市場での影響力を維持し、成長を続けることが予想されます。

SpaceX

SpaceXがStarlink向けに開発した光衛星通信端末の外販についての情報は、2024年3月に開催された「SATELLITE 2024」で発表されました。この技術は、従来の電波を使用した通信と比較して、高速・大容量・低遅延の通信が可能であり、国際的な周波数調整が不要で秘匿性が高いという特徴があります
SpaceXは、最近打ち上げられた3000機の衛星に、一機当たり3端末を搭載しており、これにより低軌道に9000台の光通信端末による大規模なメッシュネットワークを構築しています。このネットワークは、1日に約26万6000回の光通信を確立し、42PB以上のデータをやり取りする能力を持っていると報告されています
光衛星通信端末市場への新規参入により、SpaceXは既存のプレーヤーと競合する可能性がありますが、その規格がSDA(Space Development Agency)に準拠しているかは明らかにされていません。しかし、SpaceXの参入により、光通信端末市場に新たな潮流が生まれていることは確かです
また、KDDIとSpaceXは、衛星とスマートフォンの直接通信サービスを提供するための業務提携を行い、2024年内にサービスの提供を開始する予定です。このサービスにより、auスマートフォンがStarlinkの衛星と直接つながり、空が見える状況であれば圏外エリアでも通信が可能になるとされています
これらの進展は、宇宙ビジネス業界において大きな影響を与え、今後の通信技術の発展に対する期待が高まっています。
SpaceXの光衛星通信端末は、非常に高速で大容量のデータ通信を可能にする先進的な技術です。このシステムは、電波を使用する従来の衛星通信とは異なり、レーザー光を用いて通信を行います。以下は、光衛星通信端末の動作原理の概要です:
光トランスポンダ: 光トランスポンダは、送信信号処理部、デジタル信号処理部、ローノイズアンプ、光アンプ、受信信号処理部、ハイパワー光アンプなどから構成されます。これらの部品は、信号の増幅、変調、復調を行い、光通信装置の核となる部分です
光捕捉追尾技術: 衛星間での通信リンクを確立するためには、光捕捉追尾技術が必要です。これにより、相互に送信されるレーザー光を捕捉し、追尾することができます。この技術により、衛星は予測される通信相手衛星方向を中心にレーザー光をスキャンし、相手の正確な位置を把握して通信を行います
高出力光増幅器: 宇宙環境で安定して動作する高出力の光増幅器が使用されます。これにより、非常に狭いビームを使用して通信を行うため、傍受が困難でセキュリティ面でも優れています
光通信ネットワーク: 光衛星通信システムは、観測データを静止衛星が中継し、地上局に送る仕組みを持っています。これにより、通信時間が大幅に増加し、より効率的なデータ転送が可能になります
SpaceXの光衛星通信端末は、これらの技術を組み合わせて、高速で安全な通信を実現しています。特に、光通信は電波通信と比較して帯域が広く、高速・大容量の通信が可能であり、将来の宇宙通信の発展に不可欠な技術とされています
SpaceXの光衛星通信端末は、他の市場参加者と比較していくつかの点で優れているとされています。以下は、SpaceXの技術が他社の技術と比較して持つ主な利点です:
データレート: SpaceXの端末は、最大200Gbit/sのデータレートをサポートできるとされており、これは業界の先端レベルです1。
リンク距離: これらの端末は、最長リンク距離が5400km、最短リンク距離が122kmであり、LEO(低軌道)およびMEO(中軌道)でのアプリケーションに汎用性があります1。
規格の違い: SpaceXの光通信端末の規格は、米国宇宙軍傘下の宇宙開発局(Space Development Agency:SDA)に納入されたTESAT端末の規格とは異なる可能性があります。SDA規格が宇宙空間でのレーザー光通信のデファクトスタンダードとなることが予想されている中、SpaceXの端末がSDA規格に準拠しているかは不明ですが、新規参入により市場には新たな潮流が生まれています
これらの点から、SpaceXの光衛星通信端末は、高速で広範囲にわたる通信能力を持ち、市場に新しい選択肢を提供していると言えるでしょう。ただし、他の企業の技術も進化しており、例えばドイツのMynaricやTESATなどが小型衛星向けや大型衛星向けの光通信端末を提供しています。また、日本のJAXAが開発した光衛星間通信システム「LUCAS」は、通信容量が1.8Gbpsとなり、DRTSの7倍以上高速化されていることが報告されています
したがって、SpaceXの技術が他社の技術と比較してどれだけ優れているかは、具体的な使用シナリオや要求される性能指標によって異なると言えます。市場には多様な選択肢があり、それぞれの技術が特定のニーズに合わせて設計されています

液体冷却ソリューション

SuperMicroは、AIやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けに、液体冷却ソリューションを拡張しており、製造拠点をグローバルに拡大しています。これにより、月産5,000台規模のラックスケール製造能力を展開し、最大100kW/ラックの提供時間を短縮しています
また、SuperMicroはAI開発用途に最適な、NVIDIA水冷GPUを搭載するデスクサイド型液冷プラットフォームを発表しており、静音性に優れた液冷プラットフォームは、ペタフロップス級のパフォーマンスを備えたハードウェアとソフトウェアソリューションがAI開発を加速します
このような技術革新は、データセンターの運用効率を向上させ、エネルギー消費を削減することに貢献しており、業界全体にとって重要な進歩です。SuperMicroは、AI開発用途に最適化されたデスクサイド型液冷プラットフォームを提供しています。このプラットフォームは、高性能でありながら静音性と電力効率に優れており、以下の特徴を持っています:
NVIDIA水冷GPU搭載: NVIDIA GPUを搭載し、AI開発に必要な様々な機能を備えています。これにより、ペタフロップス級のパフォーマンスを実現し、AI開発を加速します
自己完結型の液体冷却機能: 4つのNVIDIA® A100 Tensorコア GPUと2つの第4世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーによる排熱の冷却ニーズに対応し、システム全体の効率を向上させます。オフィス環境でも利用できる静音性(約30dB)を実現しながら、フルパフォーマンスを提供します
ラックマウント可能: オフィス環境の他、データセンター環境に設置する際のラックマウントも可能であり、IT管理を簡素化できます
さらに、SuperMicroはNVIDIA BlackwellおよびNVIDIA HGX H100/H200を搭載したラックスケール・プラグ・アンド・プレイ液冷AI SuperClusterを発表しています。これは、生成AIの開発から展開までをNVIDIA AI Enterpriseソフトウェアプラットフォームに最適化し、さまざまな業界や企業の生成AI導入を加速するクラウドネイティブ・ソリューション向けに設計されています
これらの液冷ソリューションは、データセンターの運用効率を向上させ、エネルギー消費を削減することに貢献しており、AI時代の革新的なイノベーションをもたらすと期待されています。SuperMicroの液体冷却技術は、AIおよびHPCワークロードの高速化を可能にする強力なシステムを提供することで、業界におけるリーダーの地位を確立しています。

補足)液体冷却ソリューションとは?なぜひつようなの?

液体冷却ソリューションとは、水やその他の液体を使用して、データセンター内のサーバーやその他の機器を直接冷却するシステムです。このシステムは、空気ベースの冷却システムよりも効率的で、特に高密度ラックを冷却する際に効果的です
液体冷却ソリューションが必要な理由は、以下の通りです:
高い熱伝達特性: 液体は空気よりも熱伝達率が高く、同じ量の熱をより効率的に移動させることができます。これにより、サーバーなどの機器が発する熱を効率的に冷却することが可能になります
省エネルギー: 液体冷却は、空冷システムと比較して最大3000倍も効率的であり2、エネルギー消費を削減し、運用コストを低減することができます
高性能化への対応: CPUやGPUなどの高性能化に伴い、熱負荷が増大しています。特に300Wを超えるハイパワーCPUでは、水冷システムによる適切な発熱処理が必要とされており4、液体冷却はこれに対応するための有効な手段です。
環境への配慮: データセンターの電力消費量は増加の一途をたどっており、サステナビリティの観点から省エネ化が喫緊の課題となっています。液体冷却は、データセンターのエネルギー効率を改善し、環境への影響を減らすことに貢献します
これらの理由から、液体冷却ソリューションは、データセンターの運用効率を向上させるために重要な技術となっています。また、AIや機械学習などの高性能コンピューティングアプリケーションが増えるにつれて、液体冷却の需要はさらに高まると予想されます。

補足2)日本電産はこのほど、SupermicroのAIサーバー水冷モジュールの生産能力ニーズに応えるため、タイでの生産能力を当初の月産200台から10倍の月産2,000台に拡大する見通しであると発表

日本電産がSupermicroのAIサーバー用水冷モジュールの生産能力を拡大したことについて、以下の情報があります:
日本電産は、データセンター向けの水冷モジュール製品ラインアップを拡充し、高性能化により熱負荷が増大するCPUやGPU、ASICなどの冷却ニーズに応えています。特にハイエンドCPUでは発熱量が300Wを超え、従来の空冷では不十分とされており、水冷へのニーズが高まっています1。
また、水冷は空冷に比べてサーバ運用全体の消費電力を約30%削減することが可能であり1、水冷システムの故障はICTサービスの機能停止リスクに直結するため、CDU(Coolant Distribution Unit)に搭載されている主要パーツの冗長性が極めて重要です。日本電産のCDUは、業界で初めて重要部品であるポンプ、電源、コントロールボードについて冗長性を持たせ、ホットスワップが可能な保守性/長期信頼性に優れた機能を搭載しています。
日本電産は、タイにおけるCDUの生産ラインを増強し、2024年6月までに月産200台から月産2,000台に拡大する予定です2。これにより、SupermicroのAIサーバー水冷モジュールの生産能力ニーズに応えるとともに、サプライチェーンに参入する日本電産潮中の動きも注目されています。
このように、日本電産は水冷モジュールの生産能力を大幅に拡大し、データセンターの冷却ニーズに対応するための技術革新を推進しています。これは、エネルギー効率の向上とICTサービスの信頼性維持に貢献する重要なステップです。他社も水冷モジュールを提供しています。例えば、ニデック株式会社は、サーバーの熱対策に関して放熱ファンやヒートシンク、水冷などのさまざまな製品を組み合わせたソリューションを提供しており、水冷システムの利点として冷却性能の高さや電力消費量の低さを挙げています。
また、三櫻工業はデータセンター向けに水冷冷却装置を開発しており、NECネッツエスアイは液浸冷却装置の実証実験で消費電力を94%削減する成果を出しています
これらの企業は、データセンターの消費電力問題を解決するための液冷方式の技術に注目し、それぞれが独自の水冷モジュールや冷却システムを開発・提供していることがわかります。水冷システムは、今後もデータセンターの冷却ニーズに応える重要な技術として注目されていくでしょう。

ARMのデータセンター向けの戦略

データセンター向けのAI処理において、NVIDIAのGPUは確かに主要な役割を果たしており、AIの学習や推論に広く利用されています。Armのサーバー向けCPUコアがNVIDIAのMPU・GPU統合型プロセッサーICに採用されていることは、Armがデータセンター市場での存在感を高めようとしていることを示しています。
Armがデータセンター向けのCPUコアに注力する理由は、市場シェアを拡大し、インテルやAMDといった競合他社に対抗するためです。現在、Armのシェアは約10%とされていますが、データセンター市場は急速に成長しており、特にエネルギー効率や性能面での要求が高まっているため、Armにとっては大きな機会があると考えられます。
MPUの処理割合が5%と小さい市場であるとしても、Armがこの分野に注力するのは、長期的な戦略の一環として理解できます。データセンター向けの技術革新は、将来的にはNVIDIAのGPUに対抗する製品を生み出す可能性があり、これは技術の進歩と市場の多様化に寄与するでしょう。
Armの取り組みは、データセンター向けのAI処理能力の向上につながり、最終的にはエンドユーザーにとってのサービスの質の向上に貢献することになると期待されています。このような競争は、技術革新を促進し、コスト効率の向上をもたらす可能性があります。Armのデータセンター向けCPUコアに関しては、特に「Neoverse」シリーズが注目されています。このシリーズは、高性能で省エネルギーなサーバー向けプロセッサコアとして開発されており、以下のような特徴を持っています:
Neoverse V3: これはハイエンドモデルで、前世代のNeoverse N2に比べてCPU性能が50%高くなっています。1ソケットあたり最大128コアに対応し、DDR5/LPDDR5などの高速メモリ規格をサポートしています
Neoverse N3: これは32コアの場合でも消費電力を40W以内に抑えることができる省エネルギー設計が特徴です
NVIDIA Grace CPU Superchip: NVIDIAが開発したデータセンター向けCPUで、Armのプロセッサ、オンチップファブリック、SoC設計、耐障害性の高い高帯域幅低電力メモリ技術を組み合わせています。このスーパーチップは、NVLink Chip-2-Chip (C2C) を介して、NVIDIA Grace CPU間またはNVIDIA Hopper GPUと900 GB/sの双方向帯域幅で通信することができます
Armのデータセンター向けCPUコアは、高性能でありながら省エネルギーという特性を持ち、データセンターのサーバー市場において競争力を持つように設計されています。これらのCPUコアは、AIやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)などの要求の厳しいクラウドワークロードや、高性能で電力効率に優れた高密度のインフラストラクチャを実現するために開発されています。Armの技術は、データセンター市場でのシェアを拡大し、インテルやAMDといった競合他社に対抗するための重要な要素となっています。

補足)MPUとは「マイクロプロセッサユニット」(Microprocessor Unit)の略で、コンピュータの中央処理装置(CPU)の一部として機能する半導体デバイスです。MPUは、コンピュータプログラムの命令を読み取り、それに従ってデータの演算や装置間の転送、他の装置の動作制御を行います。一般的には、コンピュータの「脳」と考えられており、その演算能力と速度がコンピュータ全体の性能を大きく左右します。
MPUは、以下のような特徴を持っています:
命令セットアーキテクチャ(ISA): MPUは特定の命令セットアーキテクチャに基づいて動作し、これにより実行可能な命令のコード体系が決まります。
マイクロアーキテクチャ: 同じ命令セットを持つMPUでも、内部の具体的な回路構成や設計によって、命令の実行速度や消費電力などが異なります。
ビット数と動作周波数: MPUは一度に処理できるデータの量(ビット数)と、内部の回路が動作する速度(動作周波数)によって性能が決まります。
マルチコアプロセッサ: 現代のMPUは、複数のプロセッサコアを一つのチップに統合しており、これにより並列処理能力が向上しています。
MPUは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、サーバーなど、さまざまなデジタルデバイスの中核として使用されています
補足2)MPUの処理割合が5%と小さい市場とはどういう意味ですか

MPUの処理割合が5%というのは、データセンターでのAI処理において、MPU(マイクロプロセッサユニット)が担う役割が全体の5%程度であるということを意味しています。これは、データセンターのAI処理におけるMPUの使用が比較的少ないことを示しており、市場全体として見た場合に小さい割合を占めているということです。つまり、AI処理の大部分はGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などの他の専用プロセッサによって行われているという状況を指しています。
この情報は、データセンター市場におけるプロセッサの種類とその使用割合に関する洞察を提供し、特定のプロセッサがどれだけの処理負荷を担っているかを理解するのに役立ちます。MPUが市場の小さな部分を占めているという事実は、AI処理におけるGPUの重要性を強調しており、Armなどの企業がデータセンター向けのCPUコアに注力する理由を説明する背景情報となります

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