間もなく日本上陸のEUV露光装置、実用化

EUV(極端紫外線)露光装置が日本に上陸するニュースは非常に興味深いです。Rapidusが2024年内に北海道千歳市の工場に導入する予定で、これが国内初のEUV露光装置となる見通しです1。この装置は、オランダのASMLが世界で唯一製造しており、最先端半導体の製造に不可欠な技術です
EUV露光技術は、半導体の微細化を進めるために重要で、特に7nm以下のプロセスノードで必要とされています。この技術の導入により、日本の半導体産業がさらに発展することが期待されます。
EUV露光装置の導入は日本の半導体産業にとって大きな進展です。
Micron Technologyは2025年に広島工場にEUV露光装置を導入し、2026年からDRAMの量産に使用する予定です
TSMCは2027年の稼働を目指して熊本第2工場にEUV露光装置を導入する計画です
産業技術総合研究所(産総研)は、米Intelと連携してEUV露光装置を使った研究開発拠点を整備する予定です
これにより、日本の半導体製造能力が大幅に向上し、グローバルな競争力が強化されることが期待されます。


ASMLがEUV露光装置の開発に成功し、ニコンとキヤノンが失敗した理由については、いくつかの要因が挙げられます。
技術的な難易度: EUV露光技術は非常に高度で、光源の出力を高めることや、光の吸収を最小限に抑えるための真空環境の維持など、多くの技術的課題がありました1。ASMLはこれらの課題を克服するために多額の投資と長期間の研究開発を行いました。
資金力と持続力: ニコンとキヤノンは、ArF露光装置の競争でASMLに遅れを取り、2010年代初頭にはEUV露光装置の開発を続けるための資金力や持続力を失っていました2。一方、ASMLは持続的な投資を続けることができました。
リーダーシップ: ASMLの成功には、前社長兼最高技術責任者(CTO)のMartin van den Brink氏のリーダーシップが大きく寄与しました。彼の指導の下、ASMLは技術革新を続け、EUV露光装置の実用化に成功しました。
戦略的パートナーシップ: ASMLは、カールツァイスなどのパートナー企業と協力し、光学系の開発を進めました。このような戦略的パートナーシップが、技術的なブレークスルーを可能にしました。
これらの要因が組み合わさり、ASMLはEUV露光装置の市場で圧倒的なシェアを獲得することができました。
TSMCは2019年に業界で初めてEUV露光装置を量産に導入し、その後、Samsung ElectronicsやSK hynix、Intelも続きました。ASMLはこれらの需要を独占しており、2023年の出荷台数は53台に達しました。EUV露光装置の価格は、現行機で200億~300億円、次世代機では500億円を超えるとされています
この技術の導入により、半導体の微細化が進み、性能や効率が大幅に向上しています

EUV技術の将来展望は非常に明るいです。以下の点が特に注目されています:
微細化の継続: EUV技術は、7nm以下のプロセスノードでの微細化を可能にし、半導体の性能と効率を大幅に向上させます。次世代のEUV露光装置である「High NA(高開口数)」技術は、さらに微細な2nm以下のプロセスノードを実現するために開発が進められています12。
新材料とトランジスタ構造の革新: EUV技術の進展に伴い、新しい材料やトランジスタ構造(例えば、GAAFETやFinFET)の開発が進んでいます。これにより、ムーアの法則がさらに延命され、半導体の集積度と性能が向上します
産業全体への影響: EUV技術の普及は、スマートフォン、自動運転車、データセンターなど、さまざまな分野での技術革新を支えます。これにより、デジタル社会の発展や経済安全保障の観点からも重要な役割を果たします。
日本の役割: 日本でも、RapidusやTSMCの熊本工場などでEUV露光装置の導入が進んでおり、国内の半導体製造能力が強化されています。これにより、日本の半導体産業がグローバルな競争力を維持し、さらなる発展が期待されます。
EUV技術は、今後も半導体産業の中心的な技術として進化し続けるでしょう

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