マイクロンテクノロジーが引っ張る半導体市場 ARM 日本政府の半導体投資


日本政府が次世代半導体の開発支援に本格的に乗り出しています。文部科学省は2025年度予算に、1nm世代以降の半導体開発などに94億円を計上しました。また、経済産業省は米Intelと協力し、EUV(極端紫外線)露光装置を国内の大学や企業が利用できる環境を整える計画です。
この取り組みは、次世代半導体の開発や人材育成を目的としており、特にEUV技術の導入が注目されています。EUV露光技術は、7nm以降の微細回路パターンをシリコンウェーハ上に転写するための重要な技術であり、これにより半導体の性能と効率が大幅に向上します


1nm世代以降の半導体は、現在の最先端技術のさらに先を見据えたものです。1nmは10オングストローム(Å)に相当し、これほど微細なプロセス技術は、半導体の性能と効率を飛躍的に向上させる可能性があります
主な特徴と技術
微細化の限界突破:
1nmプロセスは、従来のシリコンベースの技術の限界を超えるために、新しい材料や構造が必要です。例えば、2D材料(遷移金属ジカルコゲナイドなど)や3D構造(立体的なトランジスタ配置)が研究されています
EUVリソグラフィ:
極端紫外線(EUV)リソグラフィは、1nmプロセスの実現に不可欠な技術です。EUVは、非常に短い波長の光を使用して、微細な回路パターンをシリコンウェーハに転写します
新しいトランジスタ構造:
1nm世代では、従来のFinFETからGAA(Gate-All-Around)ナノシート構造や、さらにはアトミックチャネルと呼ばれる1~数原子層の厚みの2D材料を用いたトランジスタが検討されています
期待される応用分野
AIと自動運転:
1nmプロセスの半導体は、AIや自動運転技術の性能向上に大きく寄与することが期待されています。これにより、より高速で効率的なデータ処理が可能になります
エネルギー効率の向上:
微細化により、消費電力が大幅に削減されるため、エネルギー効率の高いデバイスが実現します。
このように、1nm世代以降の半導体技術は、未来のテクノロジーを支える重要な基盤となるでしょう。

ARMは最近、PHLXセミコンダクター指数(SOX指数)に組み込まれました。これにより、ARMの市場での重要性がさらに強調されています
ARMのPHLXセミコンダクター指数(SOX指数)への組み入れは、同社の半導体業界における重要性と急速な成長を示す重要な出来事です。以下にその詳細と意義をまとめます。

## SOX指数への組み入れ

ARMは2024年9月20日付でPHLXセミコンダクター指数(SOX指数)に正式に追加されました。SOX指数は、米国上場の半導体企業30社で構成される修正時価総額加重指数で、半導体セクターのベンチマークとして機能しています

## 組み入れの意義

### 業界での地位の確立

- この組み入れは、半導体業界におけるARMの進化する地位を反映しています
- ARMのCEO Rene Haasは、この追加が同社の拡大と多様化するソリューションの急速な成長を示していると強調しました

### 市場での認知度向上

- SOX指数への追加は、ARMの市場影響力と財務安定性の認識を示すものです。
- 投資家や業界アナリストにとって、ARMの成長見通しを評価する上で重要な指標となります。

## ARMの成長と市場での位置づけ

### 株価パフォーマンス

ARMの米国預託証券(ADR)は、2023年9月のNASDAQ上場以来約150%上昇しています。この急激な株価上昇は、主に人工知能(AI)技術への需要増加に起因しています。

### 技術的優位性

- ARMのアーキテクチャは、エッジAIの発展において重要な役割を果たしています
- AppleのiPhone 16に搭載されるA18プロセッサにもARMのアーキテクチャが採用されています

### アナリストの評価

- Morgan StanleyはARMを「新たなトップピック」に指定し、エッジAIへの移行における同社の重要性を強調しています[4]。
- Raymond JamesのアナリストSrini PajjuriはARMに「オーバーウェイト」の評価を与え、目標株価を160ドルに設定しました[4]。

## 今後の展望

ARMは、AI、IoT、5G技術の需要増加に伴い、半導体業界の成長において重要な役割を果たすと期待されています。同社の技術は、データセンターからエッジコンピューティングデバイスまで、幅広いAIアプリケーションの基盤となっています

SOX指数への組み入れは、ARMの市場での重要性と成長潜在力を裏付けるものであり、同社が半導体業界の主要プレイヤーとしての地位を確立したことを示しています。

マイクロン・テクノロジー(MU)は、AI半導体メモリーの需要が好調で、強気な業績見通しを示したことから、9月26日に株価が約15%急騰しました。これにより、半導体株全体が上昇し、SOX指数も同日に3.5%上昇しました。
エヌビディア(NVDA)は小幅な上昇にとどまりましたが、株価は6月中旬からの上値抵抗線を初めて突破しました。これにより、AI関連株のラリー再開の機運が高まっています

マイクロンの最新の決算内容を確認しました。2024年8月通期の決算では、売上高が前年同期比62%増の251億ドル、営業利益が13億ドル、1株当たり利益(EPS)が0.70ドルとなり、黒字転換を果たしました1。特にAI半導体メモリー「HBM」の需要が好調で、エヌビディア向けの「HBM 3E」の量産が業績を押し上げました。
この決算を受けて、マイクロンの株価は9月26日に約15%急騰し、SOX指数も3.5%上昇しました。エヌビディアも0.4%の上昇で、6月中旬からの上値抵抗線を初めて突破しました
2024年度4Q(6-8月期)実績
売上高: 77.5億ドル(前年同期比93%増)、市場予想の76.6億ドルを上回る。
AI需要の堅調さにより、データセンター向けDRAM製品とHBMの売上が大幅に増加。
調整後EPS(1株当たり利益): 1.18ドル(前年同期は1.07ドルの損失)、市場予想の1.12ドルを上回る。
2025年度1Q(9-11月期)ガイダンス
売上高: 87億ドル±0.2億ドル(市場予想は83.2億ドル)。
四半期ベースで売上高が過去最高に達する見込み。
調整後EPS: 1.74ドル±0.08ドル(市場予想は1.52ドル)。
主なポイント
マイクロンは、スマートフォンやPC、自動車向けのDRAMから、AIデータセンター向けの高性能HBMまで幅広い半導体メモリーを生産。
今年2月にエヌビディアのAI半導体「H200」GPUに搭載する「HBM3E」の量産を開始。
HBMが新たな収益源となり、スマートフォンやPCの市況低迷の影響を相殺。
2024年と2025年分のHBMはほぼ完売しており、業績への貢献度が高まる見通し。
この決算内容から、マイクロンのAI関連メモリーの需要が非常に強いことがわかりますね
マイクロンの経営陣のコメントから、いくつかの重要なポイントが浮かび上がります:
データセンター需要の堅調さ:
AIサーバーの成長は今年も来年も堅調で、2025年に向けてAIの勢いが続くと予想されています。
HBMの好調な立ち上げ:
HBMの生産は順調で、歩留まりも改善。出荷に占めるHBMの比率は四半期ごとに増加しており、2025年初めには「HBM3E 12-high」の出荷を開始する予定です。
競争力のある製品性能:
マイクロンの「HBM3E 12-high 36GB」は、競合他社の「HBM3E 8-high 24GB」よりも20%低い消費電力で、50%高いDRAM容量を提供しています。
需要超過と価格設定:
HBMの需要が供給を上回っており、販売価格の引き上げと長期契約を確保。2024年と2025年分はほぼ完売していることが示唆されています。
次世代品「HBM 4」への自信:
次世代の「HBM 4」でもリーダーシップを発揮できると自信を持っています。
これらのコメントから、マイクロンがAI市場での強いポジションを維持し、今後も成長を続ける見込みがあることがわかります

マイクロンの決算内容から、AIデータセンター向けの高性能メモリーHBMに対する需要が引き続き好調であることが示されました。経営陣は「AIの勢いは2025年に向けて間違いなく続くだろう」と予測しており、AIデータセンター向けの投資ブームは少なくとも来年まで続く見込みです。
さらに、世界最大手の事業用不動産サービス会社CBREの「北米データセンター動向(2024年上半期)」レポートもこれを裏付けています。同レポートによると、北米で「建設中」のデータセンターの規模は今年上半期にすでに2023年通年を上回っており、ハイパースケーラーが新たに開発する施設の多くは今後数年間で運用を開始する予定です。AI需要がさらなるニーズを促進していると指摘されています
AIデータセンターでは、エヌビディアのAI半導体だけでなく、大容量で高性能なメモリーやストレージが必要とされます。これにより、マイクロンのような企業が大きな利益を得ています。
さらに、AIデータセンターの建設には多くの関連企業が関わっており、以下のようなニッチトップ銘柄も注目されています:
注目のニッチトップ銘柄
アリスタネットワークス (ANET.US):
ネットワーク機器メーカーで、大規模データセンター向けの高性能ネットワーキングソリューションを提供しています。現在の株価は約380.26ドルです
モノリシック・パワー・システムズ (MPWR.US):
半導体ベースの高性能電力ソリューションを提供する企業で、特にデータセンターやAIアプリケーション向けの製品が強みです。現在の株価は約924.99ドルです
コヒレント (COHR.US):
データ通信用光トランシーバーの業界リーダーで、光デバイスやレーザー技術に強みを持っています。現在の株価は約266.22ドルです
コーニング (GLW.US):
光ファイバー大手で、通信ネットワークやディスプレイ技術において重要な役割を果たしています。現在の株価は約44.87ドルです
これらの企業は、AIデータセンターの建設ラッシュに伴い、今後も成長が期待されます

AI関連株の持ち直しにはマイクロンの好決算だけでなく、米国の利下げ継続とソフトランディングの期待も大きな要因となっています。FRBは年内に0.25ポイントの利下げを3回実施する見通しを示しており、これが市場の買いシグナルとなっています1。この「ゴルディロックス」状況が続くことが、AIラリーの本格的な復活には重要です。
投資戦略のポイント
米利下げペースと景気動向:
米国の利下げペースや景気の動向には注意が必要です。ハードランディングの懸念が強まった場合、投資戦略を見直す必要があるかもしれません
AIデータセンターの建設ラッシュ:
AIデータセンターの建設ラッシュが続いており、これが半導体企業の需要を支えています。エヌビディアやマイクロンなどの企業は、この需要の恩恵を受けています。
中長期的な投資妙味:
AI半導体株は中長期的に見ても投資妙味があります。特に、AIデータセンターの需要が堅調であることから、今後も成長が期待されます5。
具体的な銘柄
マイクロン・テクノロジー (MU.US):
予想PERが約12倍と低く、SOX指数の37倍を大きく下回るため、上昇余地が大きいです6。
ラム・リサーチ (LRCX.US):
半導体製造装置メーカーで、AIデータセンター向けの需要が高まっています。
エヌビディア (NVDA.US):
AI半導体の王者であり、データセンター向けの需要が堅調です。
オント・イノベーション (ONTO.US):
半導体産業向けの計測および検査ツールメーカーで、AI関連の需要が高まっています。
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSM.US):
ファウンドリー世界最大手で、AI半導体の受託製品を担っています。
アプライド・マテリアルズ (AMAT.US):
半導体製造装置の大手で、AIデータセンター向けの需要が堅調です。
ブロードコム (AVGO.US):
メタ・プラットフォームズやアルファベットのカスタムAI半導体を作っています。
コーニング (GLW.US):
生成AI向け光接続製品を提供しており、光ファイバー大手です。
これらの銘柄は、AIデータセンターの建設ラッシュや半導体企業の決算内容が示す需要の堅調さを踏まえると、中長期的に有望です

SOX指数構成銘柄のうち、AIやデータセンターに関連する企業の株価と平均目標株価の乖離率について、以下の情報をまとめました。
株価と平均目標株価の乖離率
マイクロン・テクノロジー (MU.US):
株価: 約95.77ドル
平均目標株価: 141.73ドル
乖離率: 約48%の上昇余地
ラム・リサーチ (LRCX.US):
株価: 約803.75ドル
平均目標株価: 1016.6ドル
乖離率: 約26.5%の上昇余地
エヌビディア (NVDA.US):
株価: 約123.51ドル
平均目標株価: 148.82ドル
乖離率: 約20.5%の上昇余地
オント・イノベーション (ONTO.US):
株価: 約203.51ドル
平均目標株価: 261.21ドル
乖離率: 約28.4%の上昇余地
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSM.US):
株価: 約182.35ドル
平均目標株価: 210.79ドル
乖離率: 約15.6%の上昇余地
アプライド・マテリアルズ (AMAT.US):
株価: 約196.78ドル
平均目標株価: 234.78ドル
乖離率: 約19.3%の上昇余地
ブロードコム (AVGO.US):
株価: 約179.50ドル
平均目標株価: 190.54ドル
乖離率: 約6.1%の上昇余地
コーニング (GLW.US):
株価: 約45.13ドル
平均目標株価: 43.52ドル
乖離率: 約-3.6%の下降余地
株価が平均目標株価を上回っている企業
モノリシック・パワー・システムズ (MPWR.US):
株価: 約914.74ドル
平均目標株価: 860.32ドル
アリスタネットワークス (ANET.US):
株価: 約380.26ドル
平均目標株価: 360.00ドル
コヒレント (COHR.US):
株価: 約90.68ドル
平均目標株価: 85.00ドル
アーム・ホールディングス (ARM.US):
株価: 約146.43ドル
平均目標株価: 140.00ドル

補足
HBMの需要がどのように成長しているか詳しく教えてください

帯域幅メモリ(HBM)の需要は、特にAIやデータセンターの発展に伴い急速に増加しています。以下に、HBMの需要成長について詳しく説明します。
HBMの市場規模と成長予測
市場規模: 2024年には約25億2,000万米ドルに達し、2029年までに79億5,000万米ドルに成長すると予測されています。この期間中の年平均成長率(CAGR)は25.86%とされています12。
需要の牽引要因: AIやデータセンター、高性能コンピューティング(HPC)分野での需要増加が主要な要因です。特にAIモデルのトレーニングや推論において、HBMの高速データ転送能力が重要な役割を果たしています
HBMの技術的進化
HBM2からHBM3へ: HBM2は、初代HBMに比べてデータ帯域幅が2倍に拡大され、エネルギー効率も向上しました。現在の最新世代であるHBM3は、さらに性能が向上し、1.2TB/sの帯域幅を達成しています13。
次世代HBM4: HBM4は、HBM3の約1.5倍のデータ帯域幅を提供し、最大で1.8TB/sに達するとされています。これにより、未来のAI技術やHPCアプリケーションにおいて、さらに迅速で効率的なデータ処理が可能になります
主要メーカーの動向
SKハイニックス: 現在、HBM市場で50%以上のシェアを占めています
サムスンとマイクロン: これらの企業もHBMの量産を計画しており、技術革新と生産能力の拡大に注力しています
需要の具体例
AIデータセンター: AIサーバーの成長は堅調で、AIの勢いは2025年に向けて続くと予測されています。特に、エヌビディアのAI半導体「H200」GPUに搭載する「HBM3E」の量産が進んでいます
持続可能性: HBMは従来のDRAMに比べてエネルギー効率が高く、電力消費を大幅に削減できるため、環境負荷の低減に寄与します
HBMの需要は、AIやデータセンターの発展とともに今後も増加し続ける見込みです。

補足2
他社もAIデータセンター向け投資を増やしているのでしょうか?

他社もAIデータセンター向けの投資を大幅に増やしています。以下にいくつかの具体例を挙げます:
主要企業の投資動向
アマゾン:
アマゾンは今後15年で1500億ドル(約22兆5000億円)をデータセンターに投じる計画を発表しました。特にクラウド需要が大きく伸びる日本での投資が注目されています。
マイクロソフト:
マイクロソフトはオープンAIと共同で1000億ドル(約15兆円)規模の大規模データセンターを建設する予定です。また、今後2年間で29億ドル(約4350億円)を日本でのAIやクラウド基盤の強化に投資すると発表しました
エクイニクス:
エクイニクスは、32カ国に248のマルチテナント型データセンターを所有し、AIをサポートするデータセンター・サービスの市場規模が2026年までに210億ドルに達すると予測しています
投資の背景
AIの普及:
AIの普及に伴い、データセンターの需要が急増しています。特に生成AI(Generative AI)の導入が進む中で、データ処理能力の向上が求められています
ハイパースケーラーの役割:
AWS、Microsoft Azure、Googleなどのハイパースケーラーは、巨大なサーバーリソースを保有し、AI開発企業や利用企業にオンデマンドでGPUサーバーを提供しています
需要の具体例
北米データセンター動向:
世界最大手の事業用不動産サービス会社CBREのレポートによると、北米で「建設中」のデータセンターの規模は今年上半期にすでに2023年通年を上回っており、AI需要がさらなるニーズを促進しています。
このように、AIデータセンター向けの投資は世界中で加速しており、今後も成長が期待されます。 


株価の上昇余地が大きい半導体株
エヌビディアやマイクロンほど知られていないが、ニッチトップ銘柄として注目される企業もあります。以下はその一部です:
シキノハイテック (6614):
自動車業界用半導体テスターの開発を主力とし、半導体設計や画像処理システムでも高い開発力を持っています。
大阪有機化学工業 (4187):
特殊アクリル酸エステルを強みとし、半導体に使われるモノマーで世界的高シェアを誇ります。
レーザーテック (6920):
EUV露光装置の検査装置で100%のシェアを持ち、最先端の回路形成に必須の技術を提供しています3。
これらの企業は、AIや半導体市場の成長に伴い、今後の株価上昇が期待されます。

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