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フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 読了!


フェルマーの最終定理が数論の最高峰である。「自然という書物は数学の言葉で書かれている」数論の最新テクニックを総動員したワイルズの証明が、超人的な力業である

ワイルズは、この問題を解決したただ1人の人間になりたかった。彼に人生の7年間を捧げさせ、自分の目標を誰にも漏らさなかった

フェルマーの最終定理の起源は古代ギリシャ
ピエール・ド・フェルマーがこの定理を今日に知らされている形にするよりも2000年も前のこと

ワイルズは、「その問題はとても簡単そうなのに、歴史上の偉大な数学者たちが誰も解けなかった。それは10歳の私にも理解できる問題。絶対にこれを手放すまいと思った。この問題を解かなければならない。と」

幾何学(ジオメトリー)という言葉は「土地(ジオ)を計る(メトリー)」という意味

ある者は富への愛によって動かされ、ある者は権力と支配を欲する情熱に盲目的に引きずられている。もっと優れた人は、人生の意味と目的を見出すことに専心する。これこそが、知恵を愛する人

ピュタゴラスは『2べき』と完全性とのつながりを発見した。それに磨きをかけたのがエウクレイデス(ユーグリッド) 完全数はつねに2つの数の積で表され、その一方は2のべき数、他方は次の2のべき数から1を引いたものになる

ピュタゴラスは、あらゆることがらの背後に数が潜んでいる。「万物は数なり」と言い切るまでになった

「逆説的にみえるかもしれないが、精密科学はどれもみな近似に支配されている」

フェルマーの最終定理
x^n + y^n = z^n
この方程式は、nが2より大きい場合には整数解をもたない

競技場にいる人間のうち2人の誕生日が同じになる確率は、1組も同じにならない確率よりも高くなる

フェルマーが発見したことの1つに「友愛数」または「友数」と呼ばれる数の問題がある。ペアになった2つの数で、一方の数が他方の数の約数の和になる。220と284が友愛数

ボンベリは「虚数」と呼ばれる新しい数『i』を創った。「-1の平方根は何か、という問題の答え」という単純明快な定義を与えた

ラッセルは『私の哲学的発展』のなかで、フレーゲの仕事に疑問を抱くきっかけとなった閃きについて触れている「集合というものは、あるときはそれ自身の素数になり、またあるときはそうでないように見えた。たとえば、ティースプーンの集合はティースプーンではない。だが、ティースプーンではないものの集合は、ティースプーンではないものの1つ」

アンドレ・ヴェイユ
「神は存在する。なぜなら数学が無矛盾だから、そして悪魔も存在する。なぜならそれを証明することができないから」

帰納法による証明は、本質的に次の2つの手順から成り立っている
1.最初の場合に命題が真であることを証明する
2.命題がある場合に真ならば、すぐ次の場合にも真であることを証明する

加法によって得られる結果はすべて、整数のなかにおさまる。このことを「整数は加法について閉じている」あるいは「整数は加法について群をなす」

いっぽう、整数は「除法」について群をなさない。なぜなら、ある整数を別の整数で割った結果は必ずしも整数ではない

「言葉にしようがない、美しい瞬間。とてもシンプルで、とてもエレガントで。どうして見落としていたのか自分でもわからなくて、信じられない思いで20分間じっと見つめていた。それから、日中は数学科のなかを歩き回り、何度も机に戻っては、それがまだそこにあることを確かめた。ちゃんとあった。自分の気持ちを抑えられなくて、とても興奮していた。あれは研究人生で最も重要な瞬間。あれほどのことはもう2度となしえないでしょう」

ケプラーの球体充填問題
惑星の軌道は円ではなく楕円であることを示した。オレンジの山をもっとも効率的に積み上げるにはどうすればいいか。好奇心をそそる問題

1975年、ハーケンとアッペルの2人はコンピュータが単なる計算にとどまらない仕事をする場面に居合わせた。コンピュータが、アイディアの面でも力を発揮した

「大人になってからも子供のときからの夢を追い続けることができたのは、非常に恵まれていた。これがめったにない幸運だということは分かっている。しかし、人は誰しも、自分にとって大きな何かに本気で取り組むことがてきれば、想像を絶する収穫を手に入れることがてきる」

シンプルな式で誰でも証明できそうなフェルマーの最終定理の証明がどのようにされたのか、物語としてもとても面白い小説です。数論に関する考え方を知るのにとても良い本で、色々な気づきがある本でおすすめです

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