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此花区中学対抗バドミントン大会

俺の住んでた此花区には3つの公立中学がある。
此花中学、梅香中学、春日出中学。
この3つの名前をもじって「このバカカス」と呼ばれる此花区の中学生。俺たちが中学生の頃はその名に相応しく荒れていたと思う。
ちなみに俺は此花中学。
校庭にはバイクが走り、校舎にはスプレーで落書き、1年生の頃は裏門にパトカーが常駐していた。
修学旅行前にはインスタントカメラやガムなどの泥棒市が開かれたりもした。
それでも平成生まれのゆとり世代、先輩の頃はこれよりもっと荒れていたと聞いている。

そんな此花中学は部活が全然盛んではなく、
どの部活も大所帯という風でも熱血という風でもなく、
バスケ部だけがめちゃくちゃ真剣で元日とテスト期間以外休み無しの超ガチ勢だったくらいである。

中学3年生のある日、
それが何月の頃の話かも覚えていない、暑くも寒くも無かったくらいの頃。
職員室前の掲示板にこの様なプリントが掲示された。

此花区中学対抗バドミントン大会
参加自由!
○月○日此花中学体育館にて開催!

これを見た誰かが言った。
他の中学のやつらに負けてられるかい。
ナメられたらアカンぞ。

在学途中で部活を辞め、青春をタバコやらゲームやら万引きやらで腐らしめ、女っ気もなければ本気で不良としてツッパる気もない、制服を着崩して先生にナメた口聞いてただけの中途半端な野郎どもが中学対抗という言葉に燃えに燃え、集った人数16人。
担当教諭に参加を表明し、地域の体育館を借りて練習すること2週間。
その大会が何セットマッチで、シングルスなのかダブルスなのかも知らさせぬまま、ただナメられたくないという思いのみでその日を迎えた。

俺らはバドミントンをしにきたんやない。
ケンカをしにきたんや。
学校指定ジャージも着ず、プーマやアディダスのジャージで、ラケットも持参したりしなかったりで乗り込んだ母校の体育館。
他校のクソガキどもはどこじゃい!




梅香中学と春日出中学は顧問引率のもと、
女子バドミントン部がユニフォーム姿でしずしずと登場した。

もちろん男子VS女子の試合が組まれることなどなく、
地獄の内輪レクレーション大会が幕を開けた。

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