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バイオハザード:デスアイランド 第四話

暗闇に包まれていくように、太陽は沈み、
月明りに照らされたアルカトラズ島では
大勢の観光客が変異を遂げた感染者たち
を相手にクリス、クレア、ジルは奮闘していた。

ジルは床の抜けた地下へと逃げ込み、
トドメを刺した最後の感染者の後頭部から、
数少ない武器であるナイフを抜き取っていた。

彼女は立ち上がると、浅い呼吸をしながら
辺りを見回した。
そして再び腰に回していたライトを手に
暗い闇の中を少ない光を頼りにして、
中を進んで行った。

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その頃、海中では檻に入った、人型ではあるが
絶対に人では無い、変異したモノたちが
放たれていた。

杖を突く男は
「恐竜が殺し合ってた時代に、
善悪の概念は存在したか?」と口にしながら
何度も杖で床を突いていた。

「食物連鎖の世界に悪という概念はあるのか?」
彼はアルカトラズ島の多数の監視カメラに
目を向けながら話し続けた。
「あるわけない。本来、世界に善も悪もない」

彼はそう言うと、再びリボルバーから弾丸を全て
抜き取ると、一発だけ込めて大きく息を吸うと、
側頭部のこめかみに銃を突きつけた。
そして長い息を吐いた。
まさに命懸けの何かを成し遂げる為の
運試しのように、躊躇ためらいは一切見せずに
引き金を引いた。その間、彼は息を止めていた。

静かな湖のように静かな世界が生まれて、
寒さに震えるような息をした。
「そうだろ?」と誰もいない場所で、
誰かに向かって問いかけた。「JJジェイジェイ
その名前はクリスを守って死んだ男の名前だった。
彼はずっとこめかみに銃を突きつけたまま、
あたかも傍にいるように、名前だけ呼んだ。

彼は昔の忘れる事の出来ない記憶の中にいた。
「JJ」とおぼしき人物は感染した仲間に
対してマシンガンを撃ちまくっていた。
背中にはアンブレラ社のマークあり、1人の隊員は
銃声に対してなのか、感染した仲間に対してなのかは
不明であったが、「やめろ!」と叫び続けていた。
彼の着用している装備にはアンブレラ社のマークが
刻印のように、胸の中心に縫い付けられていた。

そしてその男性は、杖を突く男の若い時のように
見えた。
肌の質感や、声質、見た目から見ても、
それは古すぎず、新しすぎない忘れる事の無い
記憶だった。

マシンガンを撃ち続けていた男性の息は荒く、
そして鼓動の速度が脈打つほど緊張していた。
弾をリロードしようとしたが、焦りからいつもの
ように華麗には出来ずにいた。
背後から感染者に襲われ、彼は噛みつかれた。
「クソッ」と言いながらも、感染者を振りほどき
銃弾の雨を浴びせた。

そして近づいてくるモノたちにも弾丸が尽きるまで
銃弾を浴びせた。感染者はいなくなり、
彼は荒々しい息をしていた。
そしてマシンガンを手放すように、銃弾とガラスの
破片が散乱した床に落とすと、地面にうずくまる
ようにして叫び続けていた男は立ち上がった。

そして落ち着いた声で、
「本部、応答せよ。生存者2名・・・1人は噛まれ、
大量に出血。救助を要請します」と、今もに泣きそう
な声で助けを求めた。
「却下する。噛まれた者は、誰であろうと射殺せよ」
本部で対応した男の声は、冷静で淡々と命令を下してきた。

その命令は二人の耳に届いていた。
無事な男は哀しみの顏をしながらも、噛まれた男と銃の
奪い合いが始まった。もみ合いの最中、マシンガンは
床に向かって撃たれ、弾丸は男の足に当たったかのように
痛みの叫びを上げた。銃で押し返して、二人は床に倒れたが、
感染した男は、すぐに起き上がり、痛みを感じないのか、
出血しながらも床に銃が無いか血眼ちまなこになって
探し始めた————背後から撃鉄の音がなるまでは。

ゆっくりと、床に身を置く男は振り向いた。
スコープのついたライフルのような銃口が向けられていたが、
男の顏は哀しみに満ちていた。

それは男の記憶で、現実でも同じように苦悩な顏をしていた。
リボルバーをこめかみに突きつけたまま、男は自分自身の
忘れる事の無い記憶に、追い詰められているかのように、
悪夢が引き金を引こうとしていた。

彼の顏が鮮明に男の記憶には残っていた。
まだ人間の意識がある仲間を殺そうとしている自分に対して、
噛まれた男の目は諦めたのか、穏やかな眼を見せていた。
まるで撃っても恨まないと、言っているような顏をしていた。

杖の男は悪夢を現実で見るように、脳に焼き付けられた記憶
によって、再び引き金を引こうとしていた。

忘れ得ない記憶と現実が同時に脳の中に流れ込み、
彼の心は何よりも確かな痛みの中に生きていた。
二発目の引き金が引かれたが、空砲だった。
カチッという音だけが、静かな部屋の中で聞こえた。

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一度ここで場面が変わるので、また続きを見ながら
書こうと思います。
この第四話は、映画の時間は、4分6秒の描写とセリフに
なります。「」は全て台詞にしていて、他は描写に
なっています。もう少し書きたかったのですが、
今日中には書き上げられないと思い、
場面も変わるので、ひとまずはここまでにしておきます。

自分としては、よく書けたほうなので、的確な
苦言やアドバイス等があればコメントをお願いします。
アクションシーンは少ないほうでしたが、
あったら今日中には上げられなかったので
助かりました。

どんむさんの画像を使わせて頂きました。
一応補足としてですが、最後に苦悩から来る
自殺をしようとする男の心境を例えてこの画像に
しました。

少し休んで音楽か何かをもう1本書いて、今日は寝ます。
映画的には実に面白みのあるものなので、
見たい気持ちはあるのですが、見る=書くなので、
少しずつ書いています(笑)




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