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エルドール王国の建国者 ロバート・エルドールⅠ世 伝説の真実の告白

私たち五人は伝説の暗黒竜ギヴェロンを倒すと
誓いを立てた。

私たちはこの件に関しては忘れるものとした。

しかし、私は義に背く行為をした自分が許せない。
だがあの時、私が異論を唱えていたら殺されていた
だろう。

だから、あの時は嘘の誓いを立てた。
実に恥ずべき行為を私はした。

あれから五十年の月日が流れた。
私の命が尽きる前に真実を語る。
今まで誰にも知られる事の無かった事を
私は告白する。

死が近づくのを感じる。
愚かで、勇気も無い、真逆の私だからこそ
書く事を、全ての人々に許しを乞いたい。

流威に話を聞かされた時、誰よりも納得したのは
私だった。

伝説の暗黒竜ギヴェロンの巣窟に辿り着いた時、
我々は命を懸けて、命が果てるまで戦い続けると
誓い、中へと入って行った。

我々はギヴェロンが集めた財宝の山に
驚き声は出さなくとも歓喜したが、
すぐに気を引き締めて、奴を探した。

大きな建造物の中の全ての場所を3日かけて
探したが、どこにも居らず、また人間たちを
殺しに出ているものだと我々は思った。

我々は3日ぶりに最後の食料を食べ尽くして、
奴の帰りを待ったが、それから2日経っても
帰って来なかった。

そして黄金や宝石に満ちた至大な大きな洞窟の
部屋で、宝に目を奪われていて気付けなかったが、
奴はいた。

正確に言えば、奴とは思えないほど小さな竜の子の
ようで、火を吐く事さえ出来ず、衰弱してもう死ぬ
一歩手前の状態だった。

誰もが言葉を失っていたが、その沈黙を破るように、
リザーク・ヴァンベルグが剣で首をねた。

「我々がギヴェロンを倒した。この宝は5人で平等に
分けて、建国のために使うべきだ」

リザークの言葉に何も言えなかった。

これまでギヴェロンによる長い間に出た犠牲は、
命だけで無く、家や食料、国とは呼べない程までに
酷い有様になっていた。

「誰か異論を唱える者はいるのか?」

誰もが沈黙し、黙殺した。

リザークはギヴェロンにトドメを刺したとして、
名をヴァンベルグからギヴェロンに変えた。
如何にも倒したかのようにするために。

「我らが倒したことに間違いはない。
この洞窟の奥にあった底が見えない場所に
ギヴェロンは落ちたという事にしよう。
民も兵士も我らが最後の砦として、待ちわびて
いるはずだ。早急に国の復興に励むのが王の役目
ではないか?」

リザークの言葉に反論出来なかった。
あの状況の中では、誰もが言えずにいた。

私はこの時より、沈黙してきたが、真実を残すと
決めた。全ては国の為にしたことではあるが、
私の心はこの50年で晴れた事は一度も無い。

末裔に重い枷をつける事になるだろうが、
どうか許して欲しい。

再びギヴェロンの末裔が生まれる事になれば、
復讐してくるであろう。
その時が来たら、私の無念の魂を、討伐する事で
どうか眠りにつかせてほしい。


伝説の暗黒竜ギヴェロンの討伐を果たした人物たちと伝説


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