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『居酒屋の失敗』第六章「宣伝広告とグルメサイト」2.グルメサイト(2)食べログ


 (2)食べログ

①概略

 当時はぐるなびに次ぐ規模だったのが「食べログ」である。今更説明するまでもないが、利用者による評価が点数にて表される口コミサイトで、前職での飲食店運営でも利用していた事もあり、オープン当初から利用した。

 第三者の投稿でなくても、店の営業許可証の写しさえ送れば自らでも簡単にページが開設出来るし、無料会員でもぐるなびのようにトップページだけでなくページも増やせるし、編集も自由に出来る。ネガティブな投稿をされるリスクはあるにしても3つのサイトの中では、食べログ風に言えば一番コスパが良い。
 営業も基本的に電話のみで、有料版への移行を定期的に勧めて来るが、月一程度だし全く不快感はなかった。

 しかし、色んなところから「食べログと連動したサービス」とか「食べログを見て連絡した」とか言う営業の電話が異常に多く掛かってきてかなり辟易したが、逆にその辺からも食べログの影響力の大きさを実感する事となった。

②店の評価と食べログの裏側

 「食べログ」と言えば気になるのは、「どれくらいの点数だったのか?」という事であろう。実際のところ自分の場合は、点数は最高で「3.56」、順位は、立川の居酒屋ランキングで最高4位という、非常に高い評価を頂いたのであった。しかし、これにはちゃんと理由がある。

現在ならば一流店といっても過言ではないくらいの3.56(笑)
なんと!立川の居酒屋ランキングで4位を記録!!!

 まず、当時の採点方法だが、

・レビューをたくさん書いているユーザー(いわゆる「食べロガー」)の採点を重視する
・新しい書き込みの点数を優先して反映する
・書き込みが無いと点数が下がっていく

といった感じだと思う(正式に発表がないので推測含む)。従って、新しい店は書き込みも新しいため、評価が高いとより点数が高くなりやすい傾向がある。

 また、「食べロガー」は、主に30~50代の男性で経済的に余裕のある人達が多く、外食を趣味としている言うなれば「飲食マニア」である。そして彼らに高評価される店の傾向も概ね決まっている。
 こぢんまりした個人店で、落ち着いていて個性的な店はウケが良い。逆に大箱のチェーン店とか、居酒屋甲子園系の元気な接客で若い女性に人気のある店などは、繁盛店でも高評価はつきにくい。
 自分の店は、ウケが良い方に当てはまっていたため、点数が高くなったと思われる。言わば「マニア受けが良かった」という事である。

 更に食べロガー達は横の繋がりが強く、行った店を都度レビューするといったマメな性質からなのか、情報交換がしたいからなのか、仲間意識が強いからなのか、オフ会的な宴会をかなりの頻度でやっている人達も非常に多い。               そして、宴会場所に選ばれ、その時の評価が良いと皆高評価で一斉にレビューするため、一気に高得点となるのである。これも御多分に漏れず、自分の店も一度食べロガー達の宴会場所となったため、更に高得点に繋がったと思われる。

 しかし、宴会をした店の純粋な評価のみならず、宴会が楽しければ高評価となるという事実もある。楽しかった宴会の参加メンバーの書き込みを見ると、「店員が可愛かった!」とかでやたらと女性スタッフの写真がアップされていたりもする。もっと酷い場合は、「酔っ払って良く覚えてない…」なんて事も平気で書いてある始末である。それでも「宴会楽しかった~!」と高得点を付けるのである。

③高評価は売上につながるのか?

 そして一番気になるのは「食べログの高評価は売上につながるのか?」という点だろう。これは、はっきり言って自分の場合は全く関係無かった。つながっていれば今でも店は続けられていたと思う。
 無料会員だとサイトからの予約が出来なかったし、「食べログを見てきたのか?」とも訊かなかったので正確な食べログ効果は分からないが、少なくとも月間売上を坪あたりで比較したら、間違いなく立川の居酒屋で4位などとは程遠く、むしろ下から数えた方が早いくらいの数字である。

 採点している食べロガー達が前述したような調子だし、純粋に味がちゃんと分かって評価している人も少ないし、評価など全くアテにならないという事である。点数で騒いでいるのもごく一部の人間だけで、当時は、それほど影響力はなかったと思う。

 しかし、自分はまだ評価が高かったから良いのだが、低い場合は、悪影響はあると思うので、本来そちらの方が問題なのかと思う次第である。

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