見出し画像

006便 「伝える」未来 行き

こんにちは。元客室乗務員の夏果です!今日の行き先は「伝える」未来。どんな未来に着くのでしょう。早速、離陸〜!


言わなかったら、思わなかったのと同じ?

客室乗務員として働いていた当時、尊敬していた先輩が7人いました。私的に「神7」作ってたんですね。今日はその内の一人、大先輩Kさんの言葉を勝手にご紹介します。

Kさんは、一言で言うと

ざっくばらん。

裏表がなく、さっぱりとしていて、誰に対しても平等に振る舞うその態度は、とても信頼のおけるものでした。

そんなKさん、自分が客室の責任者である時は、必ず同乗する乗務員たちにこう言っていました。

「お客様に関して抱いたポジティブな感情は、必ずその場でその人に伝える事。言わなかったら、思わなかったのと同じ。あなたのその感情、消してしまったらとても勿体ないよ。」

私は当時、この言葉を聞いて、耳が痛かったです。

私には普段、ちゃんと「思っている」のに「思わなかったことにしてしまっている」感情(つまり、ちゃんと伝えていないこと)が、たくさんあるな、と。

その時にふと、祖父の顔が浮かびました。

後悔先に立たず

画像1

私の祖父は、中学3年生の秋に亡くなりました。
私は祖父が大好きで、敬老の日には必ずプレゼントと手紙を贈っていました。でも、たった一度だけ、敬老の日に間に合わなかった年がありました。それが、中学3年生の年のことです。

受験勉強や運動会の練習など、言い訳なら沢山ありました。

模試が終わったら。運動会が終わったら。それまで待っていてね、おじいちゃん、必ず手紙を添えて贈るから。


そんな「思い」があったのに、忙しさにかまけて、それを伝えないでいた私に、祖父との別れは突然やってきました。


敬老の日からちょうど1週間たった日、祖父は体調不良を訴え、叔父の運転する車で病院に行き、数時後に息を引き取ったのです。


病気もなく、健康だったのに、なぜ。

私、まだプレゼント渡してないのに、なぜ。

大事なこと、伝えてないのに、なぜ。

なぜ
なぜ
なぜ・・・


悲しみと、沢山の後悔と、自分への怒りで、押しつぶされそうでした。

本当は、分かっていたんですよね。

いつか別れが来ることも、
プレゼントなんてなくても、30秒電話するだけでも、祖父が喜んでくれることも、
気持ちはきちんと伝えないと伝わらないことも。

それなのに、それら全部を見ないフリしていた私は、一生の後悔を抱えてしまいました。


たった1週間から10日程度の遅れなんて、なんの問題もないと思ってました。実際、なんの問題もないことの方が多いんですよね、普通は。
だから私たちは後回しにしてしまう。
自分の気持ちを伝えるって、本当はとても大切なことなのに。なんででしょうね?難しいんですよね、すっごく。

もう一度、思い出してみる

このことがあってから、私は、大事な人に大事なことを伝える努力をしてきたつもりでした。


でも、大人になるにつれて、忘れてたなぁって、Kさんの言葉を聞いて思いだしたのです。


Kさんの言葉を胸に刻んで以来、お客さんとお話するのが、ちょっぴり楽しくなりました。フライト中、ほんの数時間同じ空間で時を共有しても、その後一生会う事は無いかもしれない人たち。だからこそ、

就活生に

「応援しています」

旅行へ出かける家族連れに

「楽しい思い出ができますように」


たった一言だけでも、伝え忘れはないかな?と考えられるようになったことで、なんだか違う世界が見えた気がしました。


あなたは思いをきちんと伝えられていますか?


こんな偉そうに書いておきながら、私も本当はとっても苦手です。

特に、家族には、恥ずかしくてなかなか本音が言えない。

結婚式の際、両親への手紙も、恥ずかしすぎて読める自信がなく、プランナーさんと司会者さんに

「無理だと思ったら手で小さく×の合図するんで、そしたらもう手紙は渡すだけにして、花束渡す段取りまで飛ばしてください」

と言っていたくらい。


結局読みましたけど、


緊張と照れと嗚咽で

「何言ってるか全然分からなかった」と言われました。


しかも緊張を吹き飛ばそうと、手紙読む寸前にシャンパンがぶ飲みしたら、二次会で気持ち悪くなるという、思い描いた理想とは程遠い式でした(笑)


でも、やっぱり伝えなきゃいけないな、とは思ってます。だからそんな時私は、


キャラクター任せの術

を使います。


私には、似ていると言われる動物がいて、それを自分でキャラクター化して、家族への置き手紙の隅っことかによく描くんですけど(画力がないので、かなりいびつな生き物)


そのいびつな生き物に言わせちゃうんです。吹き出し付けて。


そうすると、なんだか湧いてくる、「自分なんだけど自分じゃない感」(笑)

すんなりと「ごめん」や「ありがとう」が伝えられたりします。


父の日と母の日の手紙に込めた感謝も

ケンカしてしまった夫へのごめんねも

ちゃんと伝えるのがどうしても恥ずかしいときは、

いびつな生き物に頼っています。


あなたは、伝えたいこと、伝えられてますか?なかなか言えないあなた、是非、キャラクター作ってみてください!

今日、私の命が終わったとしても、「あの人にあれを言っておけばよかった」と思わず旅立てるのか。ちゃんと意識しなきゃな、と思う毎日です。

さて、今日のところは着陸!

皆さんが、大切な人に気持ちを伝えられる未来に着いていますように!

ありがとうございました!ではまた次のフライトで。


頂いたサポートは書籍代とし、学びに変えて、また皆さんに還元します。