0422:やくみん覚え書き/心を惹き付ける啓発
今日の「田村淳の訊きたい放題!」(東京MX)は、マルチ商法がメインテーマだった。具体的なテーマ名は「家族も友達も離れていく?若者に拡大!悪質マルチ商法 どう防ぐ?」、HPに概要がワンペーパーでまとめられている。
私の住む澄舞県(のモデルである実在某県)では東京MXは入らないのだが、この番組は「エムキャス」で視聴可能だ。
もともとは、2年前にこの番組でニセ科学問題を取り上げるというので、いそいそとエムキャスアプリをインストールしたのが最初だ。なので、今でもこの番組の前には「もうじき○○やるよー」というアナウンスが出るという次第。
ちなみに↑のニセ科学問題は追求不足が目立ってやきもきしたが、岡目八目というやつだろう。内容について深くは語るまい。代わりに弁護士さんの所感ブログを貼っておく。
さて、話を戻そう。
この番組をちゃんと観るのは数回目だ。討論バラエティ、なのかな。2年前より更にわちゃわちゃした感じがした。悪い意味ではない、良い意味でだ。マルチ商法やその他の悪質商法のネタ的には、私の知らない知識はなかった。なのに、面白いのだ。何故かと言えば、わちゃわちゃしているから。
田村淳を挟んで、落ち着いた中村仁美と、落ち着かない鈴木奈々というトリオ編成に、ゲストが憲法学者の木村草太と弁護士の大迫惠美子。今回場の空気を支配していたのは間違いなく鈴木奈々。冒頭の「マルチにひっかかったかも!」という話題に始まり、最後まで彼女の勢いが全面に出ていた。それに引っ張られるように(もちろん田村淳の巧みな発話もあってのことだが)他のキャストも笑いながらわいわい騒いで、マルチや悪質商法の問題点、留意すべき点などについて語りあい、見事に番組として成立させていた。
行政の啓発は、よく言えば真面目、ネガティブにいえばおふざけが苦手だ。緩もうとしても緩みきれない。堅いのだ。私自身、消費者啓発担当を経験しているが、緩もうと意識してもその意識自体が固さを伴うことを痛感していた。行政職員は数年で異動する。それまで事務仕事をしていた人が突然「消費者を啓発せよ」といわれて、慣れた頃に転出してまた新たな担当者が来る。つまり、行政がいい啓発ができるかどうかは、担当者の巡り合わせによるところが大きいのが実情だ。
これに対して、視聴者の反応や視聴率というフィードバックを常に意識しながら活動してきた芸能人・テレビ局は、さすがだ。マルチを始めとする様々な悪質商法について、情報自体は昔からよく知られているものだとしても、それをこれだけ楽しく調理できるのだから。例えば「消防署の方から来ました」というネタは昭和期から見知っている。それを新鮮な驚きをもって受けとめ、当意即妙にコメントを交わす。よく知ってるひとは「何をいまさら」と思うかもしれない。違うのだ。人は新陳代謝をする。昭和の人間が耳タコになっているネタも、平成令和の人には新鮮だ。そんな馬鹿馬鹿しい詐欺──そう、馬鹿馬鹿しいからこそ視聴者は笑い、記憶に残り、類似の手口に留意するための種を心の土壌に植え付けられるのだ。
小説「やくみん! お役所民族誌」で、主人公のみなもが第二話から消費者啓発担当の嘱託職員になることは、幾度か記したとおり。彼女は消費者啓発の難しさに苦闘する。今回この番組を観たことで、これまでサブストーリーでしか想定していなかったテレビ局(第一話第一回で既にキーパーソンは登場している)のメインストーリー上の役割を描く道が見えたように感じている。
--------(以下noteの平常日記要素)
■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積159h53m/合格目安3,000時間まであと2,841時間】
実績46分、ドリルのみ。
■本日摂取したオタク成分(オタキングログ)
『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』、AOからの世界線変移を導入したのか、エウレカ本編のキャラを使って別の物語を描くスターシステムに突入。本編の善人が悪人になってたりで少し引くところはあるけれど、面白さは十分。今月公開のエウレカ完結編映画に関連して未視聴のハイエボリューションの批評をひとつ目にしたところでは、そうかこういう並行世界設定をハイエボリューションシリーズで収束しようという魂胆か。お手並み拝見。『田村淳の訊きたい放題!』上記のとおり。
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