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0495:(GaWatch映像編010)『全告白!国際ロマンス詐欺〜漫画家が陥った“偽りの恋”』

 標題の番組を視聴。知っているつもりで知らなかった令和の詐欺の実態を突きつけられて衝撃を受けた。

 井出智香恵という漫画家を私は知らなかった。昭和の少女漫画、その後はレディースコミックにと、私の弱いジャンルの作家だからだ。数日前のTwitterタイムラインで、私がフォローしてる弓月光の絡みでこの人と今回の番組の情報が少し出てきた。それで全番組録画からこの番組を探して視聴したものだ。

「国際ロマンス詐欺」という言葉は近年聞き覚えがあるし、私が現役の消費生活センター職員だった時代(平成20年代のうち6年間)にもいわゆるサクラメールの1ジャンルとして外国人との恋愛を餌にした詐欺の情報はいろいろ耳にしていた。ただ、この時点ではほぼメールのやりとりだけという印象だったから、この番組で明らかにされた手口はそれこそ衝撃だった。

 まず、相手は井出氏の職業・業績を知った上で、アプローチをしてきた。数撃ちゃ当たる式のコピペではなく、ターゲットを見定めてのものだったわけだ。有名人を名乗ること、自分のものだというパスポートや免許証の写真を見せることは、他のサクラメールでもある。しかし、「本物なら動画を見せて」という問いに対して、実際に相手(アメリカの有名芸能人だ)が喋っている動画を送ってきた。これは番組の中で種明かしをしているが、今時はVTuberみたいに実在の人物のデータを元にあたかもその人物が喋っているように偽装することが簡単らしい。「黒い紙を紙幣に戻す薬品」の話は聴いていたけれど、それを番組内で実演してくれたのも初見だった。この紙幣を、実際に外国人が井出氏宅に持参したのだから、メールだけで完結するサクラメールとは違う大がかりな詐欺であることが分かる。

 うーん、これは恐いな。ここまでやられたら、騙されても無理はない。ちょっとうちの子供たちに見せとかんとな、この番組。

 井出氏がここまで自分の被害を赤裸々に語ってくれたのは、とても価値がある。「騙される過程」「周囲に詐欺と指摘されても耳を貸さない状況」「どのように現実に戻って来れたか」が、このひとつのケースに詰まっている。

 1番「ああ……」と思ったのは、家族が「それは詐欺だ」といっても本人がまったく耳を貸さずに相手に貢ぎ続ける、その状況だ。要はサンクコスト問題、と乾いた地面から冷静に言ってしまうと、当事者の湿った情感を見失う。娘さんが「一生分の喧嘩を一ヶ月でやったみたいに言い合いをした」と語っていたのが、胸に刺さる。それほど、本人は分からないのだ。それほど、周囲も大変なのだ。

 消費生活センターを舞台にした公務員小説「やくみん! お役所民族誌」では、もうじきおばあちゃんが詐欺グループの毒牙にかかり、パニックになる場面だ(今書いてる第13回から二話くらい先かなあ)。家族間の言い合いはしない予定だが、家族の外で「乾いた地面から冷静にいう」人物は登場する。二階堂がそれにどのように答えるかを、この数週間頭の中でシミュレートしている。だってそれは、私がこの作品を通じて「言いたいこと」のひとつだから。

--------(以下noteの平常日記要素)
■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積206h24m/合格目安3,000時間まであと2,794時間】
実績26分、択一ドリルのみ。今日の時間の余裕はまだあるけど、やくみん方面に振り向けよう。実は暴力団社会の参考として前から読みたかった『ドンケツ』ファーストシリーズを全巻買っちゃったんだよね。2巻の時点では、よく分からん。きっとこっからだ。

■本日摂取したオタク成分(オタキングログ)
『ODD TAXI』第7~8話、もうただただ展開に惹き込まれてる。一度観てるのにね。やはり本作は出来がいい。『陰謀論のおしごと』第2話、前回は日本語吹き替えに切り替えられると知らなくて字幕で観てた(聞き取りやすい米俗英語ではあったけど私の語学力では字幕頼り)。今回いじってみたら吹き替えで観れたので、吹き替え音声と日本語字幕で試したら、結構「文字」と「声」で翻訳変えてるんだねえ。なんて変な所に意識が向かいつつ、本編も相変わらずの勢い。『全告白!国際ロマンス詐欺〜漫画家が陥った“偽りの恋”』上記のとおり。『ブラタモリ 竹富島に"生きる"とは?』ははあ、むっちゃ面白かった。この島の信仰心の在り方に焦点を当てていて、地学以上に文化人類学のフィールドワーク味が強い回だな。

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